2001/6/24号

2週間で5本。すっかりペースダウンをしてしまいました。
でも、これと言って見たい映画がないのも事実。

g:mt  監督:ジョン・ストリック・ランド  出演:アレック・ニューマン、スティーブ・ジョン・シェパード
Greenwich Mean Time  1998年 イギリス映画
今週のイチ押し作品!:ロンドン・グラフィティ?? 高校時代のからの仲良し4人組サム,チャーリー,リックス、そしてビーン。彼らの未来はどこまでも明るかった。金持ちの御曹司サムは音楽に傾倒するリックス、ビーン、そして女性ベイシストのモーリーを音楽業界でデビューさせようとしていた。また,彼自身もマネージャーとしてこの業界での成功を目論んでいた。そのバンドの名前は「G:MT」。そしてチャーリーはバイク便の仕事をしながらプロカメラマンの仕事を目指していた。しかし、彼らに様々な試練が訪れる。音楽業界で顔が効くサムの叔父は、トランペット奏者のビーンを時代遅れだと非難し、サムに彼を外すようアドバイスされる。リックスは恋人の妊娠を知らされ、そしてチャーリーはバイクの事故でほとんど体が動かなくなってしまう。
私評:ロンドンはグリニッジ・ビレッジの青春映画。ミュージシャン、マネージャー、写真家とそれぞれの夢を追いかける青年たちの暴走が心地良いです。彼らが高校時代に見た未来、それはどこまでも明るく限りない可能性に満ちていた。そんなパワーで結束された4人組。この映画は決してハッピーな映画ではないです。あまりにむごい現実に彼らが打ちのめされて行く様を、まざまざと見せ付けられます。登りつめるのはとても難しいけど、堕落の道へは急スピードで転がり落ちてしまう。でも、希望を削がれ、夢を見失いそうな時でも、友達は傍に居てくれる。きっと手を差し伸べてくれる。そう信じたくなる映画でした。この映画の音楽がまた最高。 この映画用に編成されたg:mtバンドがめっちゃイイです。ボーカルのヒンダ・ヒックスは映画にもボーカルとして登場。彼女の歌は素晴らしい!! そして旧g:mtのメンバーのシンセ,ベース、トランペットというシンプルな編成の音楽もイイです。しかも、トランペットはあのレスター・ボーイ!! ちなみにこの映画の製作は「プルーフ・オブ・ライフ」の監督のテイラー・ハックホードです。 
A.I.  監督 : スティーブン・スピルバーグ  主演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウ
A. I.  2001年 アメリカ映画
今週のイチ押し:His love is real. But he is not... 近未来の地球はロボット技術の向上は目覚ましかった。そんな中で非常に精巧で、しかも感情を持ったロボットの開発が進んでいた。そしてついに,子供のロボットが完成した。彼の名はデイヴィッド。そして彼は「愛する」気持ちをインプットされ、ある夫婦の養子となる。そこで彼は両親の愛を得ようと、精一杯の愛情を両親に注ぐのだった。しかし、悪性の病気の末期症状にあった彼らの「実の子」が奇跡的に回復し、夫婦の元へと戻ってきた。ついには家を追われることになり、一人森の中に取り残されるデイヴィッドとクマのぬいぐるみのロボットテディ。しかし、彼の中にインプットされた「愛する」気持ちと「愛されたい」という願望が、彼らを母親との再会の旅へと誘うのだった・・・・。 

私評:スピルバーグ監督の渾身の作品が,ついにベールを脱いだ。今回は日米同時公開と言うこと、そして最後の最後まで秘密で作られたと言うこともあり、この作品への期待度の大きさは半端じゃなかった。しかし、この映画は素晴らしかった。まずは映像。前半部分は部屋の中シーンが多かったのですが、中盤以降はまさに脅威の映像のオンパレード。それは近未来の街の景色でもあり、そして続々と現れるロボットたちでもあります。今のテクノロジーだからこそできるシーンですね。特にロボットたちにはビックリでした。しかし,やはりこの映画の面白さはストーリーだと思う。スピルバーグが書いた脚本は、まさに「未来版 ピノキオ」。当初この映画を監督するはずだったキューブリックが、どのような構想を持っていたのかは,今となっては計り知れない。それゆえキューブリックのテイストをことごとく消し去り、スピルバーグ印の映画に仕上げてしまったところが、この映画の面白さだと思います。キューブリックだったら,どんな作品になったかはもちろん興味津々ですが、やはりこの映画はスピルバーグで良かったのでは?? ラストの「最良の1日」は生涯忘れることができないくらいの,最高のシーンでした。
天国から来た男たち  監督:三池嵩史  主演:吉川晃司、山崎努、大塚寧々
The Guys From Paradise  2000年 フランス映画
私評 : エリート商社マンの早坂は出張先のフィリピンで麻薬不法所持で逮捕されてしまう。必死に無実を訴えるが彼は刑務所へ送られてしまう。頼りの妻と会社の後輩も手も足も出ないようだ。そんな彼を刑務所で迎えたのはアヤシイ日本人たちだった。しかも、囚人の吉田は刑務所長と押収した麻薬を売りさばき私腹を肥やしていた。そんな彼が目をつけたのが早坂だった。しかし、吉田を追って日本からはるばるやってきたヒットマンが,彼らを執拗に追い掛けてくる。そしてついに刑務所を脱走するが・・・。 

ほとんど全編をフィリピンで撮影。しかも刑務所のシーンは実際の刑務所で,本物の囚人を使って撮影したと言う。その辺りの迫力はすごい。(逆に照れてニヤニヤ笑っているヤツもいるけど) そしてフィリピンは行った事があるので、あの独特の雰囲気が画面から伝わりましたね。映画自体は展開も早くすごく楽しいのですが、どうしてもやっつけで作ったと言う感が否めないです。しかし、そんなことはまったく気にせず、エンドクレジットまで一気に楽しむことができました。この映画の吉川晃司はめっちゃカッコイイ。体がデカイからよけいにスクリーン栄えするんですよ。しかも,運動神経が良いからね〜。山崎努のシブーイ演技、そして久々にスクリーンで見た大塚寧々も色っぽくて良かったです。でも、一番印象的なのはやっぱり遠藤憲一。最後に見せたサムライスピリッツには感動でした。 映画は初日に見に行ったので三池監督の舞台挨拶が見れました。映画と同様実にパワフルな感じの人でした。 
Stereo Future  監督:中野裕之  主演:永瀬正敏、桃生亜希子、麻生久美子
Stereo Future  2001年 日本映画
私評:売れない役者圭介は恋人のエリのため役者になる夢を捨て一緒になろうと切り出した。しかし、彼女はそんな彼の前から去ってしまう。しかし、圭介に運が向いてきた制作中のサムライ映画の主演の人気女優が彼に目を付けたのだ・・。一方,エリはショックから言葉を失ってしまう。そんな彼女の前に自然主義のアヤシイ外人が現れる。また、TV局で働くエリの姉は環境問題を鋭く抉る番組を次々と制作する・・。

4つのSF(Stereo Feature, Samurai Fighter, Silent Female、Sound Funky)から形成されたなんとも不思議な映画。話自体はたいして面白くもないのだが、その場その場での変なギャグに笑え、そして続々登場する美女たちに目を奪われた。中でも桃生亜希子は良かったな〜。 もちろん美女なんだけどちょっとミステリアスで、しかもイノセントな感じで・・。とても気になった。蛍光色のファンクな映像と心安らぐ癒し系の自然の中での映像のハーモニーも心地良いです。永瀬正敏はどうも苦手なんです・・。 この映画の彼も私にはイマイチ・・。 逆によかったのは吹越満と風間杜夫。 ノリノリの演技でした。 
SHOWER こころの湯  監督 : チャン・ヤン  主演:チュウ・シュイ、プー・ツンシン
Shower  1999年 中国映画
私評:イイ湯だな〜♪ 父が営む銭湯「清水池」を久々に訪ねたターミン。彼は父の仕事を継がず都会で働いていた。ところが知的障害を持つ弟のアミンが寄越した1枚の葉書が、彼をこの地へ呼び戻したのだった。久々に父の働く姿を見たターミンの心は複雑に揺れ動いた。そして都会に帰ろうとするターミンを引きとめるかのように、アミンが行方不明になったり,父が風邪を引いたり・・。そして銭湯の仕事を手伝いながら,彼は始めてこの仕事を愛する父の気持ちに触れることができた。ところが,そんな矢先、再開発のために銭湯の立ち退きを迫られる・・・。

またしても、父と息子のドラマに感動させられてしまった。先日見た「山の郵便配達」や「遠い空の向こうに」なども良かったけど,この映画も良かった〜。軸になる話は上に書いたとおりなのですが、その他にもこの銭湯を訪ねてくる客たちのエピソードが、本当に面白い。 シャワーを浴びながらオペラを歌う青年、格闘コオロギに燃えるおやじ達、夫婦仲に悩む常連・・・。そんな話の一つ一つがとても丁寧に描かれています。この辺りは監督の前作「スパイシー・ラブ・スープ」のオムニバス方式と重なるかも?でも、この映画の本当の主役はこの風呂自体。私も子供の頃は家風呂がなくて、銭湯に通っていたので私が少年時代に見ていてた風呂屋の風景がとても懐かしい、そして不思議空間へと誘ってくれました。あの銭湯独特のほのぼのした感じが伝わってきました。これで牛乳を売ってたら完璧なのに・・(笑)。 


前回の記事も読んでね〜!



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