2001/6/11号

今回はヨーロッパ映画を押さえて、ハリウッド映画がイチ押しです。 先の読めぬ重厚なドラマ系と
痛快娯楽系の映画です。 

誘拐犯  監督:ローベル・ゲディギアン  出演:ライアン・フィリップ、ベニシオ・デルトロ
Way of The Gun  2000年 アメリカ映画
今週のイチ押し作品!:これぞ,シナリオの妙・・・。その日暮らしのアウトロー、ロングボーとパーカー。金に困った二人は精子を売りに訪ねた病院で、代理母の報酬についての話を聞き愕然とする。そして二人は大富豪のチダックの代理母ロビンを誘拐する事に成功する。チダックの表の顔は石油王であったが、裏ではもう一つの顔を持っていた。さっそくチダックは二人に刺客を送る。ようやくチダックと連絡をとる事ができたロングボーとパーカーはメキシコの国境近くの町で、身代金の受け渡しを指示した。果たして二人は身代金を手にいれる事ができるのか? そしてロビンは無事に子供産むことができるのか??今,最後のバトルが開始される・・・。

私評:「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家、クリストファー・マックファリーが初監督した作品。 やはりこの映画でも彼の脚本が生きている。 次々と変わって行く状況、そして明らかにされていく登場人物の秘密。 それらが上手く絡みあいそしてクライマックスの、壮絶な銃撃戦へと移行していく。 銃撃戦はペキンパー映画を髣髴させる迫力だった。また、この映画の見所は、史上最”遅”のカーチェイス!! これは最高だった! 主演のライアン・フィリップとベニシオ・デルトロのコンビは良いですね〜。 ライアンは今回ビッチな女をめっちゃ殴りつけるようなちょっと狂暴な男(このシーンが好き!!胸がスカッとした)。今までのただのハンサムボーイとはちょっと違ったダーティーヒーローがカッコ良かった。 ベニシオ・デルトロはシブイ。ちょっと腹が出てるし、決して(見た目は)カッコイイ男ではないのに・・。 久々にスクリーンで見たジュリエト・ルイス。今回は妊婦役なので大人しいかと思ったら大間違い。迫力満点でした。この映画にはジュリエットの父親ジョフリー・ルイスも出てます。最後の最後にカッコイイところを持って行ってしまうのが、ジェームズ・カーン。全編に渡って見所がたっぷりの映画でした!! 

デンジャラス・ビューティー  監督:ドナルド・ピートリー  出演:サンドラ・ブロック、マイケル・ケイン
Miss Gongeniality  2000年 アメリカ映画
今週のイチ押し作品!:キレイなだけじゃつまらない・・・・。グレイスはFBIの女捜査官。仕事はできるし頭も切れるが、女らしさが微塵もない。化粧もしなければオシャレもしない。ある日爆弾犯がミス・アメリカのコンテスト会場に爆弾を仕掛けるという事が判明する。FBIの中から囮捜査のため、選ばれミスコンに出場する事になったのはなんと、グレイシーだった。 美容プロの手に掛かりまずは外見は美しくなった彼女だったが、中身は前のまま。しかも、ミスコンに出場する女たちはただのバカと蔑視していた。しかし、グレイシーは彼女たちと友好を深め、信頼を勝ち取るまでになる。また,グレイシーの中でもミスコンの出場者の女の子達への考え方が変わりはじめた。 その頃、爆弾犯は着々と準備を重ねていた。
私評:元気をいっぱい貰いました。最近、ヒット作がなくてパッとしなかったサンドラ・ブロックでしたが、久々の大ヒット。しかも、彼女の代表作になるような最高に楽しい映画でした。この作品はまさに彼女のための映画ですね。とにかく笑える!サンドラ・ブロックとゲイの美容師のマイケル・ケインのやり取りはめっちゃ笑えました。また、ミス・コンの主催者役のキャンディス・バーゲン・・・。もう、すっかりおばあさんになってしまって・・(ショック)。70年代映画のヒロインも時の流れには勝てない・・。 この映画のメッセージはポジティブに人生を生きよう!ってことかな? 世界中で特に女性に支えられてきたこの映画。 やはり、女性は必見?? もちろん、男の私が見てもめっちゃ面白かったですよ。 シナリオも変な捻りがなくてストレートなところが良いと思いましたが、いかがでしょう??ラストはちょっと感動もさせてくれるし・・。 
郵便屋  監督・主演 : ティント・ブラス  主演:
Fermo posta Tinto Brass  1995年 イタリア映画
私評:イタリアのエロスは明るく陽気! ティント・ブラス監督の元には、彼をエロスの大家と崇めるファンから相談の手紙が絶えない。今日も彼の元には悩める女性たちから赤裸々な私生活の悩みが寄せられた。そしてティント監督は、お気に入りのアシスタントと一緒に手紙を読み耽り、アヤシイ妄想をするのだった・・・。 

ティント・ブラス監督はイタリアのエロス映画の巨匠。しかし、日本では彼の作品になかなかお目に掛かれない。一番有名なのは「カリギュラ」かな?オールスター総出演のポルノ映画でした。「郵便屋」は7つの話のオムニバスになっている。それぞれが、手紙の再現になっている。内容はけっこう過激だったり、変態チックだったりするのですがいわゆるポルノっぽい嫌悪感がなく、明るく陽気に描かれている。 音楽もやたらと明るいです。 映画館には女性客もけっこう来ていましたが、この映画は見やすいかも知れない。でも、薄っぺらでな〜んにもない映画です。お気軽に見れるポルノ映画と言う事ではオススメしたい映画ですね。 
ホタル  監督:降旗康男  主演:高倉健、田中裕子
Hotaru  2001年 日本映画
私評:ホタルになって帰ってきます・・・・・。山岡は鹿児島の漁師。妻の知子が腎臓を患って以来沖合いを止め、養殖に従事していた。昭和天皇が崩御してまもなく,青森の山中で藤枝と言う男が死んだ。山岡と藤枝は共に特攻隊の生き残りだった。二人は特攻という使命を帯びながら,その事を果たせなかったという複雑な思いを胸にここまで生きてきたのだ。そして散りゆく命の数々を見つめ続けた人物がいた。山本富子…若者達から”知覧の母“と慕われた女性である。山岡は彼女からある依頼を受けて、韓国へと渡る事になった・・・・。 

今頃、なぜ特攻隊の映画なのか? 激動の昭和を生きた人々がそろそろ語り継ぐ時代になったのかもしれない。そして戦争の愚かさ、悲惨さを改めて語る時なのかもしれない。戦争は死に行く者たちはもちろん、残された者たちも不幸です。そんな悲しみが胸に突き刺さる映画でした。「鉄道員 ぽっぽや」の時も書きましたが、高倉健という人の涙は威力があります。彼の真っ直ぐな人柄がそうさせるのでしょう。今回の妻役は田中裕子。彼女はとても控え目な役であるのですが、とても良かった。そして降旗作品の常連の奈良岡朋子、井川比佐志、小林稔侍らがしっかりと映画をバックアップし、泣かせてくれます。そしてカメラマンの木村大作の美しい映像には感動しました。ラストのエンドクレジットのバックに映る、各ロケ地の映像は本当に美しい。おかげで,クレジットの字を全然読めませんでした。 こういう映画にはめっぽう弱い私です。アメリカの「パール・ハーバー」に対抗しているのか???
ハリー、見知らぬ友人  監督:ドミニク・モル  主演:セルジオ・ロペス、ローラン・リュカ
Harry  2000年 フランス映画
私評:親切も度が過ぎると迷惑・・・。 夏の暑い日、ミシェルは妻と3人の娘を連れておんぼろの別荘に向かっていた。エアコンの壊れた車の中はイライラが募っていた。立ち寄ったドライブインのトイレの中でミシェルは偶然高校の同級生のハリーと出会う。再会を喜ぶハリーは恋人と一緒にミシェルの別荘を訪ねた。次の日ついにミシェルの車は壊れてしまう。それを見たハリーは彼らのために、なんと車を買ってきた。「そんな高価な贈り物は受け取れない」というミシェルにハリー「何事にも解決策がある。エアコン付きの車は家族のアンバランスを救う」という。そしてハリーは次々とミシェルのために行動を起こすのだが・・。 

予告編で見たイメージとはまったく違う内容に、ちょっとたじたじ・・。最近、よくこう言う事があります。しかし、この映画も良い方に裏切られた。ハリーの一風変わった「独自の理論」に翻弄されるミシェル。なんとなく筋が通っているような気もするのです。 しかし、その理論を通すためにはどんな事でもしてしまうのが怖い。すごく大人の部分と子供の部分が共存するハリーの内面が、最初は面白おかしいのですが、時間を追うごとに恐ろしくなって行く。この辺りの展開は、ちょっとヒッチコックのテイスト(タイトルもハリーは「ハリーの災難」、見知らぬ友人は「見知らぬ乗客」あたりからパクッタのか?)です。ハリーの恋人役のソフィー・ギルマンがチャーミングで良かった〜。 
シックス・パック  監督:アラン・ベルベリアン  主演:リシャール・アンコニナ、キアラ・マストロヤンニ
Six-Pack  2000年 フランス映画
私評:パリの猟奇殺人。 犯人はやっぱり・・・??パリ市内のカーニバル会場。一人で歩いていた女は一人の男の視線に気付いていた。初対面の二人だが、彼女は心を許してしまう。気が付くとそこは人気のない場所。いきなり男はナイフを振り下ろす・・。それから1週間後、無残な彼女の死体が発見される。同じ手口で殺された女性はこれで5人目だ。刑事のナタンとフィリップは必死に捜査をするが手がかりはつかめない。その時捜査線上に一人男が浮かぶ。アメリカで10件もの事件を起こした通称「シックス・パック」だ。彼をおびき出すため女性刑事を囮捜査を依頼する・・・。

先日見た「クリムゾンタイド」といい、この「シックス・パック」といいフランスも猟奇殺人映画がブーム? あまり,エグイシーンはないのですが、めっちゃドキドキしました。捜査線上に犯人が浮かび上がってからも、”ある理由”で彼に手が出せずイライラ・・。しかし、頭の良い犯人はなかなか尻尾を出さない。 メモ帳を手に勘を大事にするベテラン刑事とパソコンを操る新人刑事のやり取りも見所のひとつ。しかし、私がこの映画を見に行ったもう一つの目的はキアラ・マストロヤンニ! しかし、なかなか彼女が登場しない・・。 後半になってやっと登場しました。 やはり彼女は母親のカトリーヌ・ドヌーブに似てますね。また,この犯人がめっちゃ不気味。 いわゆる正統派のサイコスリラーなのですが、ラストの展開はちょっとビックリでした。 ちなみにシックスパックとは「缶ビールの6個パック」のこと。アメリカのポルノのスラングで「街で拾う女」のことを指すらしいです。 


前回の記事も読んでね〜!



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