2003/6/9号

今週は見まくりました。今年見た映画も数が早くも100本を突破!
この調子でがんばるぞ〜!!

デッド・コースター  監督 :デヴィッド・エリス  出演:A・J・クック、アリ・ラーター
Final Destination 2  2002年 アメリカ映画
今週のイチ押し:キンバリーは友人3人とドライブに出かける。これから始まるバカンスに胸を躍らせる。しかし、そんな彼女の脳裏に凄まじい光景が浮かぶ。ハイウェイで起こる玉突き事故。そして次々と人々が死んでいく。そしてついには自分の目の前にトラックが迫る・・。その事故を予見したキンバリーは車を止め、道を塞いでしまう。ハイウェイの入り口で揉めているとき、彼らの目の前を事故の原因となったトラックが通り過ぎる。そして彼女の言うとおり、トラックは大事故を起こして大炎上。こうしてキンバリーのビジョンの中で死んだ11人が助かった・・・と思った瞬間3人の命が・・・・。生き残った8人は元々死ぬ運命にあった。死ぬ運命を変えることはできない。そして8人は次々と恐ろしい事故に遭い、ひとり、そしてまたひとりと命を落としていく。キンバリーは1年前に起きた飛行機事故で生き残った学生が同じような目に遭ったことを知り、唯一の生存者であるクレアを訪ねるが
私評:新しい命を助けるのだ・・・・この映画は「ファイナル・デスティネーション」というホラー映画の名作の続編です。内容は前作と同じで、死ぬはずだった人間たちが偶然死を免れたが、運命には逆らえず死神によって次々と殺されていくという話。しかし、この映画の面白いところは殺人鬼がいるわけではなく、事故によって殺されていくところ。そして今回は前作以上にスプラッター度を増しています。思わず「うわー!」と声を出してしまいそうなシーンが幾つもありました。そして注目は冒頭のハイウェイの事故のシーンです。マトリックス・リローデッドのアクション監督が手掛けたというこのシーンはすごい迫力ですよ。しかも、目を覆いたくなるような残酷シーンが・・・・。予想もできない展開の中、今回は時間も90分と短く、その中にホラーを楽しむ要素がぎっしりと詰まっています。それこそ瞬きするのも惜しいくらい、ドキドキするシーンのつるべ打ち。ホラー映画はやっぱりこうでなくちゃ!主演は「バージン・スーサイズ」のA・J・クック。そして前作に続き「キャンディマン」のトニー・トッドが不気味な役で登場します・・。
おばあちゃんの家  監督:イ・ジョンヒャン  出演:キム・ウルブン、ユ・スンホ
The Way Home  2002年 韓国映画
今週のイチ押し:都会に住む7歳の少年サンウは、職をなくした母親が新しい仕事を見つけるまで山奥に一人で住むおばあちゃんの家に預けられることに。おばあちゃんは耳が聞こえない。そんなおばあちゃんをサンウはバカ呼ばわり。そして我侭も言い放題、悪戯もし放題。しかし、そんなサンウを黙って見つめるおばあちゃん。おばあちゃんの生活は庭で取れた少しの野菜を物々交換して立てられていた。ある日、サンウはおばあちゃんと一緒に町へと降りた。そこでおばあちゃんは庭で取れたかぼちゃを売り、サンウには食事を取らせる。しかし、自分は何も食べず、サンウの食べる姿を嬉しそうに見つめていた。用事があるというおばあちゃんを残し、サンウはバスで山へと帰っていく。彼はバス停でおばあちゃんを待ったがおばあちゃんはバスに乗っていない・・・・。
私評:これはケンタッキーチキンじゃないよ!わーん・・・私は岩波ホールが大嫌いなのですが、この映画は見ないわけには行かないでしょう。期待値150%、満足度200%の感動作でした。最初の頃のサンウの悪戯には閉口しました。思わず「このガキ、ぶっ飛ばしてやる!」と心の中で何度も呟いておりました。しかし、このガンジーのようなおばあちゃんは言葉で伝えるのでも、体罰で戒めるのでもなくじっと耐えて心を伝えるのです。このおばあちゃんの数々の思い遣りを踏みにじってきたサンウが、やっとおばあちゃんに心を開いたときは、それこそめちゃめちゃ感動でした。ラストは本当に号泣・・。なんか見え見えの展開なんですけどね・・。この映画にはとても印象的なシーンがたくさんありました。それらの一つ一つに私は涙・涙・・。本当にこういう映画にはめちゃめちゃ弱い私です。私の母方のおばあちゃんがまだ生きているので、会いに行こうと思います。でも、(自分で言うのもなんですが・・)私はおばあちゃん孝行な孫なんですよ。きっと私の顔を見るだけでおばあちゃんは喜んでくれるはず・・・。
マイ・ビッグ・ファット・ウェディング  監督:ジョエル・ズウィック  出演:ニア・ヴァルダロス、ジョン・コーベット
My Big Fat Greek Wedding  2002年  アメリカ映画
今週のイチ押し:ギリシャ系アメリカ人のトゥーラは30歳。ギリシャ人の血を誇りにする父親からは「結婚をしろ!!」と何万回も言われている。しかも、父は純血のギリシャ人との結婚を望んでいた。昔気質の父は「女は早く結婚して、子供を作り、料理を作れ!」が口癖。しかし、そんな父親を上手にコントロールしている母親には敵わない。父が経営するギリシャ料理のレストランでウエイトレスをしていた彼女は、そこでイアンという素敵な男性を見つける。しかし、容姿にまったく自信がないトゥーラは思わず身を隠してしまう。そんなある日、彼女は母親の協力を得てコンピューターを習うため学校に入学。外見にも磨きをかけ始める。そしてイアンとの再会。二人はあっという間に恋に落ちた。そしてイアンからプロポーズされ有頂天になっていたトゥーラだったが、彼女には大きな問題が立ち塞がっていた。それは彼女の家族・・・
私評:男は一家の頭だと言うけど、女は首なのよ。だから、男が向く方向は女が決めるの・・・めちゃめちゃ面白かったです。全米で大ヒットした理由も納得です。とにかく笑える。まずは、ギリシャ人の独特な風習や考え方が笑える。本当かどうかは否ですが、国によって考え方の違いがあるのは当然。それらがとても面白く描かれているのです。とにかく陽気で、しかも子沢山の家族は集まるとすごいことになります。頑固親父を何とか説き伏せて二人は、二人が望む結婚式を挙げるべく東奔西走。そしてビッグでファットな結婚式に辿り着けるのか??監督も役者も有名人は一人もいません。(というか、美男も美女も出てきません)しかし、トム・ハンクす夫妻がこの映画に惚れ込んで製作をバックアップしたんですね。アメリカでこれほどまでヒットして、リピーターが続出したのはこの映画のなんとも爽やかで見た人をハッピーにさせてくれるパワーなんでしょう。そしてこの映画のキャッチコピー「日本の結婚率上げてみせます」は最高!!あやかりたい・・・ 
コーリング  監督:トム・シャドヤク  出演:ケビン・コスナー、スザンナ・トンプソン
Dragonlry  2002年 アメリカ映画
ERに勤めるジョーは、妻のエミリーを事故で亡くした。彼女は未開の地のボランティア医療に参加し、バスの事故に逢ったのだ。現地に飛んだジョーだったが彼女の遺体は発見することができなかった。しかし、彼の周りで不思議な出来事が起こり始める。予てから彼女が担当していた小児病棟に赴いたジョーは、瀕死の少年が担ぎこまれる現場に遭遇する。その時少年は確かにジョーの名前を呼んだ。そして昏睡状態だった少年も夢の中でエミリーと出会い、ジョーへのメッセージがあると告げる。そして彼らの意識に浮かんだ不思議な十字の文字。それ以来、彼の周りでまるでエミリーが生きているかのような不思議な出来事が続く。彼女が生前に話していた「トンボ」が、象徴的に彼の脳裏に浮かんでは消える。そしてついに不思議な十字の謎が解けたジョーは単身、彼女が働いていた村へと飛ぶ・・・・
私評:彼女が虹の中で呼んでいる・・・・・とてもファンタスティックなラブ・ストーリーでした。物語の最初の方のエミリーからのメッセージはちょっと怖い。いわゆる心霊現象ですからね。また、少年たちが残すメッセージ、そして謎の文様が解き明かされたときから、物語はすごい加速で終末に向かって疾走します。それはジョー自身の愛の力がなせる業なんですよね。ラストのオチはここには絶対に書けませんが、私はすごく好きです。ケビン・コスナーはやっぱりこういう役が似合う。さすがに歳をとったので往年のアクションシーンはありませんが、今回も謎を追いジャングルを駆け回ったり川に飛び込んだりと大活躍。私は久しぶりに彼の映画を見て「イイ!」と思いました。エミリー役はスザンナ・トンプソン、臨死体験を研究するシスター役はこれまた適役のリンダ・ハント、そしてジョーの隣人で彼を励ます心優しい女性役はキャシー・ベイツという豪華な顔ぶれ。監督は私が大好きな「パッチ・アダムス」のトム・シャドヤック。この映画を見たらば「愛の奇跡」を信じてみたくなるのでは??
人生は、時々晴れ  監督:マイク・リー  出演:ティモシー・スポール、レスリー・マンヴィル
All or Nothing  2002年 イギリス・フランス映画
タクシーの運転手のフィルはスーパーで働く妻のペニー、清掃婦の娘、そして無職の息子との4人家族。その日の出来事をぼそぼそと話すフィルの話は誰も聞いていない。4人の食卓に漂っているのは不安と不満。フィルの同僚のロンはアル中の妻と、一人娘の3人暮らし。そしてペニーとスーパーで一緒に働くモーリンは反抗ばかりの娘と2人暮らし。モーリンの娘はどうしようもないバカと付き合っていて、しかも彼の子供を身篭ってしまう。彼ら3家族は同じ集合住宅に住んでいる。ここはいわゆる低所得者の住む住宅。そんなある日、フィルの一人息子が心臓発作を起こして病院に担ぎ込まれる。仕事中のペニーは連絡を受けて、病院へと向かう。フィルに連絡を取ろうと必死に携帯を鳴らすが彼からの返答はない。一命は取り留めた息子を見て泣き崩れるペニー。そしてやっとフィルが病院にやってくる。彼は携帯のスイッチを切っていたのだ・・・・。
私評:俺は枯れてカサカサの老木だ・・・・・イギリス映画ってどうしてこういう映画が多いのでしょう。ケン・ローチしかり、そしてこのマイク・リーしかり・・。日々の生活にも困っている家族たち。フィルが翌日に払う無線の金が足りなくて、娘や妻から小銭まで借りて回るシーンは、なんだかとても切なかった。だけど、みんながみんな貧乏だから暗いのかというとそうではない。モーリンはそんな生活の中でもすごくポジティブだったりします。この原題の"All Or Nothing"というのは的を得たタイトルです。何でもかんでも欲しがるのではなく、ひとつ何か大切なもの=家族を得ることによって人生は晴れる。そして邦題もすごく的をついています。私なんかはけっこう恵まれていて、一週間が7日あれば5日くらいは笑っていられる。そんな晴れの日ばかりを過ごしていると、太陽の恵みも晴れの日の爽やかさも薄れてしまう。ところが、この映画の主人公たちのように「ときどき晴れ」に人たちには晴れの日がとてつもなく大切に思えるのでしょう。ほとんど笑顔がなかった彼らがやっと見せた白い歯。その笑顔の威力は強烈でした・・・。
 神に選ばれし無敵の男  監督:ヴェルナー・ヘルツォーク  出演:ティム・ロス、ヨウコ・アホラ
Invincible  2001年 ドイツ・イギリス
1932年、ポーランドの小さな村に住むジジェは父親と鍛冶屋をしていた。ある日、酔っ払いに絡まれ怒り心頭したジジェは店で大暴れをしてしまう。その弁償金を稼ぐため、彼はサーカスで「世界一の力持ち」と戦い賞金を獲得して支払いに当てた。そんな彼をベルリンに住む男がスカウトする。散々悩んだ末、広い世界を見るためジジェは一人ベルリンへと向かう。そこで彼が雇われたのはエリク・ヤン・ハヌッセンが営業する「神秘(オカルト)の館」だった。ハヌッセンは「千里眼を持つ男」としてショーに参加していた。彼の言葉は多くの民を動かし、そして感銘させた。彼が見た未来のビジョン、それはヒットラーによる政権な確立と彼による大勝利。ユダヤ人だったジジェは排ユダヤ運動が盛んになる中で身分を隠し怪力男のショーで有名人になる。時代は動こうとしていた。果たして神に選ばれし男とは??・・・・・
私評:私には全てが見える。偉大な指導者が現れる。彼の名前はアドルフ・ヒットラー・・・・私はこの映画を見る前の予備知識としてハヌッセンのことは知っていたのですが、ジジェについてはまったく知りませんでした。ですから、私はこの映画はすっかりハヌッセンの映画だと信じていた私は、ちょっとビックリ。しかし、このタイトルが示す「神に選ばれし男」がどちらを指すのかを自分なりに色々と探りを入れたりして物語を楽しみました。人を欺くことによって成りあがろうとする詐欺師なのか、それとも屈強の身体だけが頼りの心優しき青年なのか??しかし、ジジェがユダヤの素性を隠していることに葛藤を感じ始める頃から物語は思わぬ方向に動き始める。そしてそれと同時に時代も大きな転換期を迎えるのです。この辺りの展開は(事実としても)すごく面白かったです。ハヌッセンを演じるのはティム・ロス。めちゃめちゃはまり役でした。そしてジジェを演じるのは素人ながら97年に"World Strongest Man"を獲得した本当に怪力の持ち主ヨウコ・アホラ、そして彼が心惹かれるピアニストはこれまた、映画は初体験ながら世界的に有名なピアニストのアンナ・ゴウラリ。彼女が実際に劇中で奏でるベートーベンのピアノ協奏曲は圧巻。見所がいっぱいの映画でした!
スパイ・ゾルゲ  監督:篠田正浩  出演:イアン・グレン、本木雅弘、葉月里緒菜、夏川結衣
Spy Sorge  2003年 日本映画
尾崎秀実の家に警察が踏み込んだ。彼は何も言わずに警察に連行された。そして時を同じくして、ドイツの新聞記者リヒャルト・ゾルゲ宅にも警察が踏み込んだ。容疑はスパイ行為。取調べが進む中、尾崎は過去の経緯を話し始める。初めて彼がゾルゲに会ったのは上海だった。文化のごった煮のような上海の町に赴任していた尾崎は、そこでアグネスという女性と出会い意気投合する。そして彼女が紹介したのがゾルゲだった。彼は日本の動きを知りたいと尾崎に懇願する。それは腐りきった政治が蔓延るこの街を一掃できるのだと。そして時代は満州事変へとなだれ込む。日本に戻った尾崎は大阪勤務を言い渡される。そんなある日、またしてもゾルゲからのコンタクトが。彼は日本に来ていると言う。そして尾崎を通じて日本の政治の動きを、事細かに収集したゾルゲが最終的にその情報を流していた先とは・・・。
私評:最後に私はこれを言いたい。共和主義、万歳!・・・20世紀の歴史を動かした男リヒャルト・ゾルゲ。ロシア人でありながら、ドイツ人に化け、日本国内の上層部の情報を吸い上げていた男。しかし、彼の情報ソースとなっていた尾崎秀実がいなければ、彼の成功はありえなかった。ゾルゲのことは知っていましたが、まさかこんな裏話が幾つもあるとは・・・。そして昭和の歴史を紐解くかのように、満州事変、226事件、そして第2次世界大戦という激動の時代を駆け抜けた男たちの叙事詩でした。監督の篠田正浩が全精力を傾け、自身の最後の作品に選んだだけあって、力の入り方が違います。映像もすごいです。しかし、いかんせん3時間は長かったです。主演はイアン・グレン。最近だと「ダークネス」「トゥーム・レイダー」に出演していましたね。今回のゾルゲ役は知的でちょっとあくどい感じがピッタリ。そして尾崎役はもっくん。彼はイイ役者ですよね〜。今回はかなりインテリの役なのですが、まったく違和感なし。三宅華子役の葉月里緒菜もいい雰囲気でした。しかし、この映画の一番の見所はCGで蘇った古きよき上海、銀座、そして浅草の風景かも?
ザ・コア  監督:ジョン・アミエル  出演:アーロン・エッカート、ヒラリー・スワンク
The Core  2003年 アメリカ映画
ある日、突如として心臓にペースメーカーをつけた人たちが急死した。そして次の異変は鳩たちが突如方向を失い、建物や人に突っ込んできたのだ。事の重大さを察知した地球物理学者のジョシュは、ある学説を打ち立てた。それは地球の中心にあるコアが動きを止めてしまったということ。地球はこのコアの流動により電磁波を発生させていたが、これがなくなることにより太陽光線を直接浴びることになり、人類はおろか地球上の生物は滅んでしまうという。しかも1年以内に。彼の説は受け入れられアメリカ政府は極秘でプロジェクトチームを結成する。世界的に有名な地球物理学者コンラッド、高エネルギー武器の専門家レベック、地球探査艇の設計者ブラズルトン、空軍のパイロットのアイバーソン船長と天才的女性パイロットレベッカ・チャイルズ。彼らは地底深く潜り、コアを核爆発によって再起動させようとする。しかし、地球滅亡のシナリオは予想以上に早く訪れると知った彼らは、即刻行動を開始する。しかし、未知の世界へと足を踏み込んだ彼らに予想外のアクシデントが次々と襲う・・・・・・・
私評:ミッション失敗・・・・これで22回、人類は滅んだわ・・・・久々に登場した超大型デザスタームービー。しかも、今回の相手は地球自身というのが面白いですね。地底深く潜っていくために開発された新型地底探査艇の形がミミズ型というのも、私的にはポイントが高いです(笑)。しかし、こうやって考えると私たちは地球のことをまだ何も知らないのですね。この映画で描かれた地底の映像を見て、なるほどと思うことが何度もありました。しかし、それ以上の美しい映像の数々に私は驚いた。地底深くの水晶の密集地帯、突如降り注ぐマグマ、そしてついに訪れたコア。これらの見たこともない世界にけっこう感動してしまった。しかも、物語はもうひとつの「秘密」を抱えたまま進行していきます。この辺りもドキドキさせられました。所々でちょっとインパクト不足の感もありましたが、十分の及第点。主演は地味な作品が多かったアーロン・エッカートとヒラリー・スワンク。この二人が実に良かったです。その他にもチェッキー・カリョ、スタンリー・トゥッチ、デルロイ・リンドーなど曲者揃い。期待していなかっただけに、予想以上の面白さに大満足でした。


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