2002/5/26号

今週は4本+2回目の「パニック・ルーム」を鑑賞。今年劇場,試写会で見た映画の数が
100本になりました。あくまでも,劇場に通った数ですので,複数回見た映画も含みますが・・・

 監督:ニック・ハム  出演:ソーラ・バーチ、デスモンド・ハリントン
The Hole  2001年 イギリス映画
今週のイチ押し:行方不明になっていた名門ハイスクールの4人の生徒の一人が帰ってきた。彼女の名前はリズ。心身ともにボロボロになっていたリズ、そして残りの3人の生徒にいったい何が起きたのか?リズのカウンセリングを請け負ったフィリッパに対し、リズは重い口を開き始める。実は彼女が大好きな青年・マイクと仲良くなるきっかけが欲しくて、友人のマーティンに頼んで4人での穴蔵でのパーティを企んだのだという。そして穴蔵へと入るドアの鍵を掛けたまま,マーティンが・・・・。一方、マーティンはリズとはまったく違う証言を始める。果たして真実を語っているのはどちらなのか?すべての真実は穴の中に・・・・・
私評:学園はスマートな女の子のための世界。私はただ遠くから見ているだけ・・・・。「ゴーストワールド」ソーラ・バーチが嫌いで、遥か彼方に行ってしまった彼女でしたが、この作品でまたまたカンバック!元々、彼女って全然美人じゃないし、スタイルだって良いわけじゃないのですが、スクリーンで見る彼女は目を引くんです。この映画でも不思議な魅力を振り撒いていました。今回,ソーラは地味で奥手な女の子と、悪女の両方を演じます。しかし、どちらのソーラもすごく印象的でした。ストーリーもすごく面白い!黒澤明の「羅生門」を髣髴させるような虚構の世界をいくつも描き出す手法も秀逸。そしてついに「穴」の中での真実が映し出される。そして最後の最後にとんでもないどんでん返しが待っています。思わず唸ってしまった。それに付いてはここに書きたくても書けません。ソーラのブスさを際立たせる(笑)、ブロンドの美女フランキー役はキーラ・ナイトレイ。すごい美人です!リズの憧れマイクとフランキーの恋人ジェフはなんとなく、「スクリーム」のスキート・ウーリッチ&マシュー・リラードと被るんですが・・・(謎)。監督のニック・ハイムは「マーサ・ミーツ・ボーイズ」の監督です。
ワンス & フォーエバー  監督:ランダル・ウォレス  主演:メル・ギブソン、バリー・ペッパー
We were Soldiers  2002年 アメリカ映画
ベトナム戦争初期の1965年11月。アメリカ軍は戦いの最前線に400名の兵を送り込んだ。そこは「魂の叫ぶ丘」と呼ばれる,ベトナム軍の戦いの拠点だった。ヘリコプターを駆使し、次々へと山間部に兵を送り込み、敵兵を撲滅するのが目的だった。トンネルを駆使し、実に2000人ものベトナム兵が次々と現れ、ムーア中佐率いるアメリカ軍は窮地に追い込まれる。生死をともにする覚悟で戦いに挑んだムーアだったが、彼の目の前で次々と殺されて行く若き兵士たちを目の当たりにする。そしてその戦いの生々しさを伝えようと戦いの真っ只中に飛び込んできた従軍記者のジョーも、あまりに壮絶な戦いを目撃するのだった。しかし、辛い思いをしているのは最前線で戦う男たちだけではなかった。ムーアの妻は次々と送られてくる兵士の訃報を告げる電報を届ける役を買って出た・・・・。


私評:I NEVER LEAVE ANYONE THIS BATTLE FIELD, DEAD or ALIVE!! ・・・・・またしても、すごい戦争映画がやってきた。イア・ドラン谷の戦いは,壮絶の一言。飛び交う銃弾のスゴイのなんのって・・。とにかく立ちあがって前進するのでさえ恐ろしい。まるで煙のようにヌーっと現れるベトナム兵、そしてまるで怖いものなんてないかのように、次々と飛び込んでくる。そして彼らを殺しまくるアメリカ兵たち。その様子はまさに地獄絵でした。先日見た「ブラック・ホーク・ダウン」も凄かったけど、この映画はもっとすごかった。また、この映画では国に残してきた家族の話が盛り込まれている。待つ女たちの悲しみには,本当に涙が止まらなかった・・。最近の戦争映画を観ていて,いつも思うのですが戦争にはヒーローはいないのです。戦いたくて戦っている人間はほんの一握りで、ほとんどの人は仕方なく戦っている。これは当然の事ですが、この映画はそんな事実を真正面から見せつけらる。しかも、家族の話、そして敵兵も同じように悲しみを背負って死んでいくというシーンを盛り込んでいます。いかに、戦争が無意味であるか、そして失うものがどれだけ多いかを思い知らされました。メル・ギブソンは歴戦の兵であると同時に、家族を、そして部下たちを思い遣るヒューマニティ溢れる中佐役がピッタリだった。そして従軍記者役は、戦争映画に良く登場するバリー・ペッパー。また、ムーアの帰りを待つ気丈な妻役がマデリーン・ストウ。監督はメル・ギブソンの「ブレイブ・ハート」で脚本を書いたランダル・ウォレス。
グラスハウス  監督:ダニエル・サックハイム  出演:リーリー・ソビエスキー、ダイアン・レイン
The Glass House  2001年 アメリカ映画
突然の交通事故で両親を失ったルビーと弟のレット。悲しみに沈む二人を引き取ったのはグラス夫妻だった。そして二人は海辺に建つ豪勢なガラスの家に住む事になる。裕福で優しいグラス夫妻との生活は一見何不自由がないようだったが、ルビーはどうも腑に落ちない。ルビーに注がれるイヤらしい視線、盗み聞きされている電話、・・・。日に日に募る不安を弁護士に打ち明けるが・・。そしてルビーはついに事件の核心に迫っていた・・・・

私評:もう、誰も信じてはいけない・・・・。ショッキング・ムービー・プロジェクトと名打って、ソニーが3作品をリレー形式で上映した。その一つがこの「グラスハウス」だ。(他の2作品は「ヴァンパイア・ハンター」と「アナトミー」)今、若手の女優の中でも注目株リーリー・ソビエスキーが本格的に主役を演じた記念すべき作品です。ストーリーも在り来たりではあるのですが、最後までしっかり見ることができました。所々、ツッコミ所はありますが、それも含めて愛すべき作品です。リーリー嬢がやたらとデカくて、しかもあの低音のドスが効いた声は、怖がるヒロイン役にちょっと無理があったかも??しかも、「グラスさんが住んでいるグラスの家」って言うシャレとしか思えない設定も笑える。ところがこの映画の脇役陣は実に充実しています。グラス役はスウェーデンの名優ステラン・スカルスゲールド。ミセス・グラスは麗しのダイアン・レイン。今回はジャンキーな悪役。彼女がすがる怪しい弁護士役がブルース・ダーン!!レット役は「ジュラシック・パークV」のトレバー・モーガン。多くを期待しなければ充分に楽しめるサスペンス映画ですよ!
摸倣犯  監督:森田芳光  出演:中居正広、山崎務、津田寛治
Mohouhan  2002年 日本映画
個人の豆腐屋を営む有馬の孫娘、鞠子が行方不明になって10ヶ月後、公園のゴミ箱から女性の片腕とハンドバッグが見つかった。犯人と名乗る男はテレビのワイドショーに電話を入れ、発見された腕とバッグは別の女性のものだと告げる。そして各TV局に自分たちが捕らえた女性たちの無残な映像を送りつけてきた。そして彼はTV,携帯電話、インターネットを使い次々と犯行声明を繰り返す。そんな時、ある交通事故が事件を一変させる。事故で炎上した車から発見された二人の男の遺体。そしてその男の家から連続女性殺害事件の手掛かりが発見される。世間はこの事件の犯人は彼らだと断定する。そんな時、ピースと名乗る男がメディアに頻繁に登場し始める。そしえt彼はこの事件のもう一つの側面を示唆するのだが・・・・・。

私評:なんで僕のレベルに来てくれないんだ・・・・。宮部みゆき原作の超ベストセラー映画の映画化です。宮部ファンの私はもちろん原作も読んでいて、しかもこの作品の「質の高さに感服」、「登場人物の描き方に感動」し、またしても宮部ワールドの虜にさせられた作品でした。しかし、原作の素晴らしさが映像にはまったく反映されていなかったです。キャストはピース役の中居正広を始め、山崎務、津田寛治、木村佳乃らが的確に演技をこなしていて合格点。ダメなのは森田監督の演出です。原作で深く掘り下げて描き出された登場人物の内面はまったくと言って良いほど描かれておらず、今回始めて挑んだフルデジタルで遊び放題。無駄としか言いようがない、ふざけた演出の挿入、そしてラストも改竄・・・。これじゃあ、せっかくの素晴らしい原作がボロボロ。原作を読んでしまうと映画とのギャップが大きくなるかもしれないけど、この映画は酷すぎる。でも、原作を読んでない人たちに分からないんじゃないかな?まあ、これはあくまでも私の意見ですのでこの映画を良いという人もいるでしょう。今年一番の期待作だっただけに,私は大ショックでした・・・・。


前回の記事も読んでね〜!



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