2002/5/19号

見るときにはまとめて見るけど,見ないときはこんなもんです・・。
2週間で7本。それでも2日に1本は見てるのか!!

マッリの種  監督:サントーシュ・シヴァン  出演:アイーシャー・ダルカール、ヴィシュヌ・ヴァルダン
The Terrorist  1998年 インド映画
今週のイチ押し:19歳の少女マッリはテロリスト。数々の功績をあげてきた彼女の次のミッションは某「VIP」を抹殺するための人間爆弾。ゲリラのキャンプ以外の世界を知らないマッリにとって、それは栄誉であり、そして革命に命を捧げるのは当然の事であった。一人任地へ向かう彼女の案内役はロータスと言う少年。彼はマッリを大好きだと言ってくれたが・・・。任地に到着した彼女は村人の家に,身分を偽り住みついた。作戦決行の日までの数日間で,彼女の心には数々の感情が浮かんでは消えた。しかし、今までの彼女にはなかったある「感情」が確実に芽生え始めていた。そしてついに作戦決行の日が訪れる・・・・
私評:お前は優秀なThinking Bombだ・・・・。昨年のNYのテロ事件以来、「テロ」という言葉にはかなり敏感になっている人が多いと思いますが、この映画の主人公の少女はまさにその「テロリスト」。しかし、彼女を見ていて一番思ったことは生まれつきのテロリストはいないと言う事です。彼女の場合は育った環境がまさにテロリスト養成所で、テロ行為自体が「栄誉」であり「勲章」であると洗脳されているのです。それはマッリに限ったわけではなく、自爆テロを集った時に集まった少女たち全員が同じ考えを持っている。考えてみれば戦時中の日本軍の神風特攻隊と同じなんですよね。世界中にテロリストはたくさん居るかもしれませんが、その個人個人が悪いとは思いたくない。彼らを取り巻く社会が、そして環境を是正できれば良いのですよ。Natural Born Terorristはいない。この映画は製作費わずか5万ドル。それゆえ数々の規制が多いけど、それを補って余りある美しい映像、そして主演のアイーシャー嬢らの演技が素晴らしいです。終始、彼女の息遣い、溜息、うめき、そして悶え声をマイクが拾う。それは彼女の感情の揺らめきを表す最高の手法だったと思います。インドの小池栄子こと(?)、アイーシャー嬢はなんと「スター・ウォーズ エピソード2」でナブーの女王役に抜擢されたそうです。
ザ・ワン  監督:ジェームズ・ウォン  主演:ジェット・リー、デルロイ・リンド
The One  2002年 アメリカ映画
今週のイチ押し:宇宙には複数の世界が存在する。125のパラレルワールドがそこにはあり、自分と同じ人間が125人存在するのだ。自分以外の124人を倒した時、最後に生き残った自分は全能の存在<ザ・ワン>になれるのだ。その事に気付いたユーロンはすでに123人の自分を抹殺した。一人殺すごとに死んだ人間のパワー、そして知識を生き残った者たちで分かち合い、最後に残ったユーロン、そして、ゲイブは超人的な力を有していた。ユーロンを追うのは多次元宇宙捜査局のエージェントたち。果たして勝負の行方は??・・・・
私評:125人のジェット・リー”バトルロワイアル」が始まる!・・・ジェット・リーのアクションの凄さをあらためて見せつけられました。あまりに過激なので、逆に笑ってしまった・・。VFXの技術とジェットのキレの良い技が融合し、まさにミラクルな映像が誕生したわけです。その内容については、ここで語りたくても語れません。しかし、相変わらず演技はめちゃヘタクソです(笑)。前作までは英語の問題もあり、セリフ自体が少なかったのですが、今回はしゃべるしゃべる!!英語も上手になり、これでハリウッドでも怖いもの無しですね。まあ、この映画については、あまり語ってしまうとネタバレになってしまうので、とにかく観てください。上映時間はたったの87分。観て損なし!! 
ナースのお仕事 ザ・ムービー  監督:両沢和幸  主演:観月ありさ、松下由樹、神田うの
Nurse no Oshigoto  2002年 日本映画
新婚ほやほやのいずみと健太郎。しかし、いまだに新婚旅行にも行けず、いずみの怒りは爆発寸前。そんなある日、以前にこの病院に入院していた猿渡が、翔子を訪ねてやってくる。この病院に入院していた時の居心地の良さが忘れられず、再入院を申し込みに来たのだ。しかし,健康そのものの彼は、即断られてしまう。逆上した彼は銃を片手にナースステーションを占拠。人質に取られたいずみらナースたちの運命やいかに・・・??

私評:まったく・・結婚なんかするんじゃなかった!離婚よ!リ・コ・ン!!・・・大人気のTVシリーズ「ナースのお仕事」が映画になりました!!と言っても、私はTVシリーズはまったく見たことがありません・・。と言うわけで,初めての「ナースのお仕事」ワールドにチャレンジしてきました。ところが、これがけっこう笑える!!観月ありさってこんなコメディエンヌだったの??ほとんど,演技とは思えないドジで能天気なナース役がピッタリ!!いや〜、ちょっと見直しちゃいました!!松下由樹、神田うのも思いっきり地のままって感じですね。まあ、ウド鈴木にこんな大役を与えた時点で、この映画のクオリティーはガター!!っと落ちてますよね。まあ、お気楽ナースたちのおバカな生態というサブ・タイトルにすれば、納得がいく映画かも??ところが、後半でちょっとした事件が起きてビックリ!!ちょっとウルウルしてしまった〜!でも,オチはミエミエでした。まあ、せっかく見るのならエンドクレジットの後の寸劇までしっかり見てくださいね。
アリ  監督:マイケル・マン  出演:ウィル・スミス、ジョン・ヴォイト、ジェイミー・フォックス
ALI  2001年 アメリカ映画
1964年、弱冠22歳にしてボクシングの世界の頂点に立ったカシアス・クレイの人生はまさに順風満帆かに見えた。モハメド・アリと改名した彼は美しい妻を娶りまさに幸せの頂点にいた。しかし、時代は折り下ベトナム戦争に突入。戦争を嫌い,徴兵を拒んだアリは合衆国の政府により逮捕され、チャンピオンの地位は剥奪、そして試合に出場する事も禁止されてしまう。何もかもを失いそうになったとき、彼にふたたびチャンスが巡ってくる。実に10年の時を経て、ふたたびリングに上がる日がきたのだ・・・

私評:The Champ is Here!! The Champ is here!!♪・・・・モハメド・アリは私くらいの年齢の人なら,誰でも知ってますよね。それでもやはり印象的なのはアントニオ猪木との「異種格闘技戦」かな?私はジョー・フレイザーとの復帰戦、そして伝説になっているアフリカでの黒人同士の世界タイトル戦「モハメド・アリ VS ジョージ・フォアマン」の試合もしっかりTVで見ました。この映画でもクライマックスになっているフォアマンとの試合で、今までリングに片膝さえついたことがなかったフォアマンが、まるでゴリアテが落ちるかのように崩れ落ち、リングに横たわったシーンは強烈に脳裏に焼き付いています。しかし、その前の「逮捕」の事はあまり詳しくは知らず,今回の映画に教えられました。そして彼がただのビッグマウスではなく、真のヒーローだという事が良く分かりました。それゆえ、LAオリンピックの時、パーキンソン症候群を押して聖火台に立った彼を見て涙した人は多かったでしょうね。そして湾岸戦争での人質解放交渉は記憶に新しいです。このALIを演じるのはウィル・スミス。アリと同じような体形にする為に筋肉だけでなく贅肉もつけて、しかも話し方までアリにそっくり。アカデミー主演男優賞にノミネートされたのも納得です。しかし、マイケル・マン監督の映画のヒーローは本当にカッコイイですね〜。でも、今回は音楽の使い方がちょっと不満・・・。一曲を最初から最後まで使うんですよね。だから、ワンシーンが必要以上に長い・・・。しかし,この映画は時間を追うごとに面白くなります。しっかり,感動してしまいました。
ニューヨークの恋人  監督:ジェームズ・マンゴールド  出演:メグ・ライアン、ヒュー・ジャックマン
Kate & Leopold  2001年 アメリカ映画
1876年のニューヨーク。レオポルドは独身貴族だったが,ついに年貢を納めるときが来た。嫌々参加したダンスパーティーの席で、伴侶を選ぶ約束をしたのだ。しかし、彼はその会場で怪しい男を見つけ、後を追う。すると彼は、なんと橋の上から飛び降りてしまう。彼と一緒に橋から落ちたレオポルドが目を覚ますと,そこは見た事もない場所。なんと彼は2001年のNYにタイムスリップしたのだ。そこで、彼はバリバリのキャリアウーマンのケイトと出会う。仕事にも恋にも疲れ始めていた彼女の目の前に現れた時代遅れのハンサム。そして二人は時代を超えて,不思議な愛を育み始める。しかし、レオポルドが,彼自身の時代へと戻る日が近づいていた・・・・。

私評:レディが席を立つ時は、男性は席を立つのが当たり前だろう・・・最近はめったにお目にかかれなくなった「レディ」。でも、たまにはレディ扱いされるのも悪くないかも??なんて思っている女性がいるでしょう。しかも,相手がヒュー・ジャックマンならなおの事!彼の想像を絶する紳士ぶり(?)はおかしくもあるのですが、今の私に欠けている「気配り」が多くて,ある意味勉強になりました。あとは、そんな気配りをしたくなるような「レディ」の登場を待つばかりです(笑)。メグ・ライアン@私と同級生は相変わらず”今まで良い恋に巡り合えなかった女”を演じさせたらピカイチですね。とてもキュートで、ますます彼女が好きになりました。しかし、この映画で光っているのは何を隠そうヒュー・ジャックマンなのだ!!ハンサムなだけでなく知的で、しかもユーモアもたっぷり。「X−MEN」「ソードフィッシュ」の彼も良かったけど、この映画のヒュー・ジャックマンは最高でした!!彼を現代に連れてくる怪しい?男はリーブ・シュレイバー。彼もポイントが高いです。監督は「17歳のカルテ」のジェームズ・マンゴールド。今年最高のラブ・コメディーです!!
華の愛  監督:ヨン・ファン  出演:宮沢りえ、ジョイ・ウォン、ダニエル・ウー
遊園驚夢  2000年 香港映画
いにしえの水の都,蘇州。1930年当時、華やかな貴族文化に陰りが見え始めた頃。チャイナドレスに身を包み「遊園驚夢」を歌う美しい女ジェイド、そして彼女の歌に歌声を重ねる男装の麗人ランは、名家ロン家の贅を尽くした祝いの席で歌い踊る。ジェイドはロンの第5夫人としてこの家に住んでいる。そしてランは国民学校で教鞭をとる進歩的な女性。歌劇団の歌手をしていたジェイドを一目見て、ランはすっかり彼女が気に入り,今では特別な関係になっていた。そんな折、ロン家は財を使いすぎジェイドは家を出され、ランの家に転がり込む。ジェイドを自分が支えているという感慨もまた、ランにとっては嬉しかった。しかし、ランの前にシンという男が現れる。そしてランの中の「女」覚醒し激しくシンを求めるのだった・・・・・。

私評:彼女の歌声、阿片の香り、切ない歌声・・。すっかり魅せられていたの・・。なんという不思議な雰囲気の作品なんだろう。女同士の微妙な関係は、強い絆へと変わって行く。手を差し伸べないと、折れてしまいそうなほど美しくか弱いジェイド。男勝りで責任感が強いランの織り成す不思議なハーモニーがこの映画の見所です。主演の宮沢りえはもちろん中国語は喋れないし、歌も歌えないので吹き替えなのが、ちょっと残念。あまりに声が違い過ぎて・・。でも、この映画の彼女は本当に美しいです。阿片を燻らす時の妖艶さ、一人娘を見守る時の温かさ、そしてランを見つめるまっすぐさ。彼女がモスクワ映画祭で主演女優賞を獲ったというのも納得です。相手役は久々にスクリーンで見たジョイ・ウォン。きりりとした男装の麗人だったのに、シンという男の部屋を訪ねるシーンで急に女になっていくシーンが印象的。しかし、全体を通してこの映画は本当に美しい。眩いばかりの豪華な宴、色づく木々の中で、美しい二人の女優がまた,際立って美しく見えます。そう、この映画はまさにアートなんです。
ミミックU  監督:ジーン・デ・セゴンザック  出演:アリックス・コロムゼイ、ジョン・ポリト
MIMIC 2  2000年 アメリカ映画
近未来のニューヨーク。多くの子供の命を奪った伝染病はゴキブリが媒体となり、ウィルスを撒き散らしていたのだ。そしてそのゴキブリの天敵として遺伝子操作で誕生したのが「ユダの血統」だった。しかし、「ユダの血統」は絶滅したはずだった・・。数年後、顔を剥ぎ取られ,内臓も抜き去られるという惨殺死体が発見される。被害者の持っていたカバンにはなぜか大量の土が入っていた。「ユダの血統」を作り上げたスーザンの助手をしていたレミは今は学校で教師をしている。彼女の周りで事件が続発する。そしてついに彼女の前に姿を現す「ユダの血統」。彼は新たな進化を遂げ,生き延びていたのだ

私評:ヤツは生きているわ。それは生まれながらの戦闘マシーンなのよ・・。「ミミック」はミラ・ソルビーノを主演に添え、けっこう気合の入ったホラー大作だったが、今度の作品はいわゆる柳の下の2匹目のどじょうを狙っただけの感が強いです。しかし、面白いのは主演のミラを使わなかった代わりに、1作目でミラの助手をしていたアリックス・コロムゼイを抜擢した事。パート1で男にふられ、そんな自分の顔をインスタント写真で撮るという風変わりな女性を演じていたので、前作を見た人はピンと来たでしょう!今回も男運の悪さを引きずり、インスタント写真をコレクションしています(笑)。さて、そして「ユダの血統」はどうかと言うと、今回はあまり姿を見せない。後半にたたみ込むように登場するのですが、もうちょっとお顔を拝見したかったな。殺しの方もイマイチ。まあ、ちょっと恐い映画でちょっとだけドキドキしたいなら時間も短いし、お気楽に見れるかも??ラストはけっこう笑っちゃいました。1作目ではあんなに強かったのに、けっこう簡単にやられちゃうし。2000年の映画が今頃やってきた所以はこの辺りにあるのかもね?? 


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