GW中は途中から全然見てませ〜ん。 最初にまとめて見ておいて良かった〜。
1998年 : イラン映画
監督 : アボルファズル・ジャリリ
主演 : ファルハード・バハルマンド、バフティアル・バハルマンド
9歳の少年ファルファード。両親は麻薬中毒。両親が出生届を出さなかったので
戸籍も身分証明書もない。 しかし、彼は家計を助けるために働かなくてはならない。
しかし、身分証明を持たぬ彼はなかなか働き口がない。隣の住む女友達も境遇は一緒だ。
ファルザネーと言う名の彼女は父親に学校も辞めさせられてしまう。働き口を探すが
経験のない彼女を雇ってくれるところはない。ファルファードは母親の身分証をかたに
彼女の為にタイプライターを借りてくる。 一生懸命練習をするファルザネー。しかし、
そのタイプライーターをファルファードの父は売ってしまう。 ファルザネーは引越し
をすることになり、手伝いをしているとファルザネーの弟の身分証が落ちていた・・・。
私評:映画としてはとてもつまらない。でも、ドキュメントとして見れば非常に感慨深い
そして悲痛な映画です。イランでは大人も子供のことなんかお構いなし。身勝手で傲慢。 それも当然の
事のようにキャメラに向かってインタビューに答えます。そういったイランと言う国自体が抱える問題を
掘り下げ、カメラに収めて行きます。この少年は実際に戸籍がなく、仕事を探しているところを監督の
ジャリリに見つけられ、映画に出演。ほとんどが事実に沿ったお話です。そして映画の随所に、
監督自身が行うインタビューが挿入されていて、真実の声を叫びを聞くことができます。しかし、
見ててちょっと辛くなった。と言うのも、この少年が仕事得るために平然と嘘をつきとおすから・・。
ラストの彼の笑い顔が救いでした。
1996年 : ベトナム映画
監督 : グエン・トゥオン・フオン
主演 : ミ・ズエン、レ・ヴァン、ドン・ズオン
70年代サイゴン。アメリカへの激しい抵抗運動が行われる中で学生運動家の
カインとチュンは出会い、そして愛し合う。しかし、戦争はそんな二人を無残に
引き裂いた。カインは収容所で女の子を出産し、ホアビンと名付けられた。一方の
チュンは革命家として闘争の先頭に立っていた。 年月は流れホアビンは成長し、
新聞記者となる。会ったことない父親に理想を抱いていた彼女。 しかし偶然彼女が
扱った詐欺事件で、法廷に立っていたのはなんと父親のチュンだった・・。
私評:今まで、アメリカ側からみたベトナム戦争の映画は何本も見ましたが、ベトナム
側から見たのは初めてだった。ベトナム戦の前にフランスとの戦争があったので
ベトナムはなんと20年以上も戦火の渦中にいたんですね。しかし、ベトナムが描く
ベトナム戦争もやはり、むなしさばかり・・。 この映画はベトナム戦争がメインでは
ありません。むしろ家族がテーマだ。そして地位と名誉を手にしたが為に、欲に溺れ、
正義を失ってしまった男と彼を神のように思っていた娘の葛藤が描かれています。とても
重厚でしっかりしたドラマでした。
1995年 : ベトナム映画
監督 : レ・ホアン
主演 : ミ・ズエン、ティエウ・アイン・ズオン
ベトナム戦争末期。 とある海辺の村で解放軍と南政府軍戦いは続けられていた。
解放軍の若者によって老婆が撃たれる。 老婆の娘の孫ニュエは祖母の墓に復讐を
誓い、撤退した政府軍の兵士から入手したナイフを大事に持ち歩いた。村に駐在した
解放軍への復讐の機会を待つニュエ。しかし、偶然出会った敵兵士ズンと話をするうち
お互いが似たような環境で育った事を知り、親近感を覚える・・・。
私評:戦争中の敵味方のバックにあるものはなんなのでしょう? 相手の身の上も知らず
生きてきた背景も知らない者を、会ったその場で殺し会う。この映画のテーマは、お互いを
知れば殺し合わなくても済んだのでは? という本当に単純な疑問。 復讐と愛情の狭間で
揺れ動くニュエの心情を察すると、胸が締め付けられます。しかし、戦いの緊張の中で
ひととき心を許し合い、笑い合う二人の笑顔が印象的でした。これも思い切り戦争批判
の映画です。 ベトナム戦争の爪あとはここにも深く残っていると知りました。
1997年 : デンマーク・ドイツ・イギリス合作映画
監督 : ソーレン・クラウ・ヤコブセン
主演 : ジョーダン・キズック、パトリック・バーギン、ジャック・ワーデン
11歳の少年アレックスはポーランドのユダヤ人強制移住区で父親と伯父の3人で
過ごしていた。ユダヤ人の彼らはナチスのユダヤ人「選別」にも引っかからず、な
んとかここまでやってきたが、ついにユダヤ人の一掃が始まり父親と引き離されてしまう。
しかし、父は「必ずここに迎えに来る!」とアレックスに言い残して去って行った。
伯父の機転で一人逃げ出し、穴蔵で一人生活を始めるアレックス。食料を集め、
情報を集め、居場所を移動しなんとか生き延びてきた。ある日、彼は通気腔から外の
世界を覗き見た。そこではポーランドの子供たちが元気に遊び、そして向かいの窓の
少女淡い想いを抱いた。彼の友達は白ねずみのスノーだけ。いつ終わるともないナチスの
迫害は続く・・。
私評:東京では。テアトル西友で今年の1月からずっとロングランを続けてきました。
もう、号泣でした・・。 父親の「戻る」と言う言葉を頑なに信じ、生き延びた少年
の力強さ。原作者のウリ・オルレブは戦争中に悲惨な体験をし、彼の実体験がこの映画
の原作「壁の向こうの街」になったんですね。ナチスによるユダヤ人の虐待の映画は
今まで何本も見ましたが、これはまた一味もふた味も違う映画でした。少年の演技は最高。
しかし、だいたい感動作のラストは大袈裟な音楽で盛り上げるのに、この映画はとても静かに
クライマックスを迎えます。胸が痛くなった・・。