2001/5/7号

GWもあっという間に終わっちゃいましたね。のんびりしようと思ったのに
やっぱり映画館に足が向いてしまう私・・

フロム・ダスク・ティル・ドーン3  監督 : P.J.ビース  出演:マルコ・レオナルディ、メア・テバー
From Dusk Till Dawn 3 :
The Hangman's Daughter
 2000年 アメリカ映画
今週のイチ押し作品!: 1900年代初頭のメキシコ。強盗団の首領のジョニーは、死刑に処せられようとしていた。しかし、壮絶な銃撃戦の末、辛くも逃げ延びる事に成功。しかも、処刑人の娘エスメラルダも連れ出してしまう。駅馬車に乗り次の目的地を目指していた作家のビアスとニューリー神父夫妻はジョニーの一行に襲われ怪しげな酒場へと逃げ延びる。そしてジョニー一行とジョニーを追ってきた処刑人の一行も次々と酒場へと集まってきた。しかし、そこはヴァンパイアの巣窟だった。 店の売春婦やバーテンたちは次々とヴァンパイアに姿を変え、客を血祭りに上げていく・・・

私評:1作目の「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を1900年に置き換えた設定です。「ティティ・ツイスター」はこの頃からあったんですね。途中までは西部劇らしい絞首刑、駅馬車強盗、逃走と追跡が展開される。そして「ティティ・・」に彼らが集まった途端に、映画のテンションがガラリと変わり、壮絶なスプラッターシーンに変貌して行く。この辺りの展開も1作目をかなり意識してます。しかし、それだけで終わってしまったら「イチ押し」にはしません。過激なスプラッターシーン、そして最新のSFXで迫力は満点でした。 しかも、怪しい女エスメラルダの過去、サディスト(?)の父親との関係・・・と謎が謎を呼ぶ。このエスメラルダを演じる女性の眉の太さはちょっと笑えます・・。主人公のジョニーを演じるマルコ・レオナルディは、あまりインパクトがある俳優ではないのですが、逆にこういう映画ではそれが生きているかも??まあ、あまり書いてしまうとこういう映画は面白くないので、この辺で・・・。

LOVE SONG  監督:佐藤信介  主演:伊藤英明、仲間由紀恵、原沙知絵
LOVE SONG  2001年 アメリカ映画
今週のイチ押し:会いたい。会いたい。ただあなたに会いたい・・・。1985年。尾崎豊の「17歳の地図」をきっかけに出会った松岡と彰子。松岡は彰子に夢を語った。そんな松岡が16歳の彰子には輝いて見えた。しかし、松岡は忽然と姿を消してしまう。借りたままのレコードだけが彰子に残された。2年後、彰子は高校最後の夏休みを終えようとしていた。そんな時、彰子は松岡が働いていたレコードショップで、松岡が送った絵葉書を見つけた。居ても立っても居られなくなった彰子は、一目彼に会いに東京へと出かけて行った・・・。
私評:新しい映画なのに、見終わったあとに感じたあの懐かしさはいったいなんだったのか??それはこの映画の松岡が語る夢のせいでしょう。昔の青春ドラマの主人公は誰もが大きな夢を抱えていて、夢を手にしたり破れたりする作品が多かった。でも、最近のドラマはそういうお話しは笑いにしてしまう。逆に現実的な作品が多いですよね。だから、松岡が彰子に「夢で食って行けるか?」と尋ねたとき今の常識だったら「NO」の答えが「YES」だったのが私はすごく嬉しかった。そんな夢を追いつづけ、追いつけず挫折してしまう男役の伊藤英明がすごく良かった。彼は「ブリスター」や「クロスファイア」でもすごく好印象でした。そして彼のそんな人生に新たな「喝」を入れる、ミステリアスな女性が原沙知絵。彼女と伊藤英明の会話はすごく好きだ。彼を追いつづける彰子役は仲間由紀恵。彼女は「溺れる魚」でめっちゃ好印象だったのですが、今回は輪をかけて良かったです。1985年のレコードショップの懐かしいポスターもよかった〜。 尾崎豊の2曲もすごく良い使われ方でしたね。私も尾崎豊の「17歳の地図」には思い出がいっぱいあります・・・。 
フロム・ダスク・ティル・ドーン2  監督 : スコット・スピーゲル  主演:ロバート・パトリック、ボー・ホプキンス
From Dusk Till Dawn 2
Texas Blood Money
 1998年 アメリカ映画
私評:1998年作品が、なかなか上映されなかったのは・・・。銀行強盗からは足を洗ったバックはTVのニュースで元の銀行強盗仲間のルーサーが脱獄した事を知る。思ったとおりルーサーから電話が入り、メキシコで銀行を襲おうともちかけらる。バックはかつての仲間を呼び集め、ルーサーを待っていた。しかし、ルーサーは待ち合わせ場所に向かう途中で立ち寄った「ティティ・ツイスター」でヴァンパイアの餌食となる。そして待ち合わせ場所で、仲間たちを一人一人とヴァンパイアに変えていった・・・。主演のロバート・パトリックって、どんな役で登場しても私には「ターミネーター2」のT1000に見えてしまうんですね。そして彼を追う保安官がボー・ホプキンス。彼はカッコイイ! この映画の中では保安官の助手が、FDTDの最初の方でゲッコー兄弟に殺されたテキサスレンジャーの息子と言う事になってました。これで「なるほど、あの物語の後の話なのか・・」と強引に納得させられた・・。この映画はどちらかというと、コメディータッチなできになってます。ヒッチコックのあの名作のシーンをそのままパクッたり、「OK牧場の決闘」のクライマックスをパクッたり・・。私はそのたびに笑ってしまった。この映画に出てくるヴァンパイアは十字架にめっちゃ弱いのですが、私たちの身の回りには意外と十字になっているものが多いと、この映画を見て思いました。ヴァンパイアも大変ね・・・。 
ベレジーナ  監督 : ダニエル・シュミット 主演:エレナ・バノーヴァ、ジェラルディン・チャップリン
Beresina  1999年 スイス・ドイツ・オーストリア合作映画
私評:サンゴタール峠にはアブが飛びまわる♪・・・ロシアからスイスにやってきた女イリーナはコールガール。天真爛漫で気の良い彼女は政府高官、金融業会のトップがお相手。彼女の元締めのシャルロッテと彼女の愛人ヴァルト博士は彼女から情報を聞き出そうと躍起になっているが、イリーナは決して聞き出そうとはしなかった。彼女の客の一人シュトルツェネガーは元陸軍少尉。純粋にスイス人になり家族をスイスに呼び寄せたいと願うイリーナに熱を上げ、心の奥底にしまったはずの戦時中の秘密を彼女に見せてまわった。しかし、彼女との戯れで使った「暗号」がとんでもない事件を巻き起こしてしまう。高級コールガールイリーナの周りの変な人たち。皮フェチの博士、心臓手術の話が大好きな元大統領・・・、その他にも女装趣味、マゾ・・・。スイスはこんなへんな男たちが操っているのか??(笑)世界中で最も平和だと思われている国、スイスを最後の日の舞台にしてしまうなんて・・。しかも、そのクーデターのチープな事・・。 思わず失笑でした。 アブが飛びまわる♪というのは、イリーナが各界の著名人があつまる舞踏会で歌った歌。 なんだかめっちゃ可笑しくて私は一人でクスクスと笑ってしまいました。イリーナ役のエレナ・バノーヴァのムチムチした肉感的な容姿はそそられます・・。(笑) ベレジーナとは南ロシアに流れる川。ナポレオンがロシア遠征の帰りに、ロシア軍が追い討ちを掛けるように痛めつけた場所なんだそうです。その時ナポレオン軍には多くのスイス人がいて、この戦いはスイスでは本当に有名なんだそうです・・。久々にスクリーンで見たジェラルディン・チャップリンがおばあさんになっていてちょっとショックだったな〜・・。
シーズン・チケット  監督 :マーク・ハーマン  主演:クリス・ベアッティ、グレッグ・マクレーン
Purely Belter  2000年 イギリス映画
私評:仲良しの二人組、小さいけど頭が切れるジェリーと図体ばかりでかくてお人好しのスーエル。二人はサッカーチームニューカッスル・ユナイテッドの大ファン。普段から悪い事ばかりしている二人だったが、サッカーのシーズンチケットを手に入れるために一人500ポンド、二人で1000ポンドを貯めようと心に誓う。そのために酒もタバコも止めた。盗みや詐欺を繰り返し、着々とお金は貯まっていく。季節は巡りリーグの開幕の日が近づいてきた・・・マーク・ハーマンの映画のラストは絶対ハッピーエンドなので、安心して見ていたはずなのですが、どんどん不幸の深みに嵌っていく二人にちょっとドキドキしながら見てました。 でも、ラストのニヤリとさせる2つのどんでん返しが心地良かった。しかし、この映画の二人の主人公の逞しい事・・。私はジェリーが学校で語る初めて父親と行ったサッカーの試合の時の話がすごく好き。ところがこのエピソードにもとんでもないオチが・・。主演の二人の少年がめっちゃ良いですね。特にスーエルを演じる少年がすごく好き。原題の”Purely Beltler”とはイギリスのスラングで、”めっちゃ素晴らしい!!”と言う意味だとか。お気に入りのサッカーチームが勝った時に、こう言うらしいです。 この映画のスラングはスゴイ。パンフレットに簡単な「イングランド訛りとスラング」について書かれた個所があり、先にちょっと読んでおいたのは正解だったかも・・。 現役サッカー選手のアラン・シアラーも、実名で登場しますよ。 それにしてもイギリス人って本当にサッカーが好きなのね・・・。 
セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ  監督:ジョン・ウォーターズ  主演:スティーブン・ドーフ、メラニー・グリフィス
Cecil B DeMented  2000年 アメリカ=フランス映画
私評:そんなに映画が好きなのか??・・・ハリウッド女優のハニーは慈善プレミア上映の為にボルティモアにやってきた。しかし、その会場で彼女は誘拐されてしまう。犯人の名前はセシル・B・ディメント、そして彼の仲間たちだ。彼らの目的は映画を撮る事。しかし、彼らが目指しているものはハリウッド映画に反する”究極のリアリティ”と”ノー・バジェット”の映画だった。ハニーは無理やり髪をブロンドにされ、凄まじいメイクをされ、ついに映画の撮影が開始された・・・。 「パッチ・アダムス完全版」を良いと思って、上映しているシネコンの映画館をぶっ潰せ! 「フォレストガンプ」の続編を撮影中のスタジオをぶっ潰せ! ジョン・ウォーターズらしい(?)めっちゃチープな作品。 B級テイストでハリウッド大作を貶すのですが、それを面白いと思えるかどうかが、この映画を見る上で楽しめるかどうかの分かれ道。万人が楽しめる作品ではないけど、はまったらメッチャ楽しめる作品ですね。セシル・B役のスティーブン・ドーフがめちゃカッコイイ。本当に二枚目なのに、演じる役はいつも変なヤツばかり。「ブレード」のヴァンパイア以上にはまり役でした。そして素晴らしいのがメラニー・グリフィス・・・というか、この役は彼女の為に書かれたのではないでしょうか?ショートギャグみたいな、頭を使わないアホな笑いもたくさんあります。マニアックな楽しみ方をしたい方にいくつかヒントを・・。セシル・Bの映画クルーたちが好きな監督の名前のタトゥーを入れているのですが、オットー・プレミンジャー、ハーシェル・ゴードン・ルイス、ウィリアム・キャッスル辺りB級の監督の作品と、彼らの逸話を知っているとよけいに笑えます。その他にもマニアックなネタがいっぱい。気がついた人はぜひ、教えて下さい。パトリシア・ハーストは、自分の事件がベースになったこの作品にもちろん参加。ウォーターズ作品の常連だしね!  
 ミリオン・ダラー・ホテル  監督:ヴィム・ヴェンダーズ  主演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジェレミー・デイヴィス
The Million Dollar Hotel  2000年 アメリカ・ドイツ映画
 私評:LAの空を飛んだ天使・・・。 ダウンタウンの朽ち果てたミリオンダラー・ホテル。ここに住んでいるのはちょっと変わった人間ばかり。ここに住むトムトムはちょっと知能が遅れているが純粋で人を疑う事を知らない。最近、彼の目にいつも映っているのは同じホテルに住む美しい女エロイーズだった。忌まわしい過去を持ち、汚れてしまった自らの存在を消し去ってしまった彼女。しかし、トムトムは彼女の中に埋もれた輝きを取り戻そうとする。そしてトムトムの親友のイージーの死を追及するためやってきたFBI捜査官のスキナーが現れ、トムトムを執拗に追いまわす。 果たしてイージーは殺されたのか??・・・ヴィム・ヴェンダーズの撮る映像は相変わらず美しく、心地良いです。 そしてこの映画の原案者U2のボノの哀しげな歌声、主人公の二人のあまりにピュアで未熟な恋・・。とにかくラブ・ストーリーの良い所をみんなとって集めたような映画なのですが、なぜかとっても長く感じた。 きっと気に入ったカメラショットやシーンのシチュエーションを、少しでも長く撮ろうとする監督の意向なんでしょうが、映画の途中はかなりだるかったです。トムトムを演じるジェレミー・デイヴィスの演技もちょっと大袈裟かも?? でも、彼がエロイーズの心に届こうとするため、不器用ながらも必死になっている様が心を打ちました。めちゃ怪しいFBI捜査官がメル・ギブソン(しかし、彼もとんでもない過去を持っている!)、ホテルの住人で自分をジョン・レノンと混同しているのがピーター・ストーメア。彼のしゃべりがジョンにそっくりでこれがまた笑えます。(ダンサー・イン・ザ・ダークの時とは大違いの彼にはびっくり!) イージー役のノークレジットの有名人も要注目です!! 


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