2002/5/3号

先週末はサボってアップをしなかったので
今回は金曜にアップ。今週末はけっこう観る予定なので記事を溜めない様にしなくちゃ。

突入せよ!「あさま山荘」事件  監督:原田眞人  出演:役所広司、宇崎竜童、藤田まこと、天海祐希
The Choice of Hercules  2002年 日本映画
今週のイチ押し:1972年2月19日。連合赤軍のメンバーは雪山を逃げ続け、最後に辿り着いたところが「あさま山荘」だった。犯人グループはあさま山荘の管理人の妻・牟田泰子さんを人質に取り、立て篭もったのだ。犯人グループは途中、栃木の銃砲店を襲いライフル6丁、銃弾2700発、そして鉄パイプ爆弾を所持していた。その夜、当時の警視総監の後藤田に呼ばれた佐々は、軽井沢での現場指揮を指名される。ところが長野県警は己のプライドを盾に協力姿勢をまるで見せない。警視庁と長野県警のちぐはぐな協力体制、そして一向に進展を見せない事件に苛立ち、警察を罵倒するマスコミ。しかし、ついに突入の時は来た・・・。
私評:人質は必ず生きたまま救出、火器の使用は禁止、犯人は生け捕り・・・この映画はもっと息詰まるドキュメンタリータッチの映画だと思っていた。ところが、前半は飄々とした演技の役所広司、宇崎竜童、藤田まことらに再三に渡って笑わされた。私は実際にこの事件をタイムリーに見ています。なんの動きもない「あさま山荘」が、ただじっとTV画面に映されていて、それを父と2人でじっと見つめていた。しかし、あのTVの画面の向こう側では己の面子しか考えない警察のいざこざがあったのですね。日本の警察は世界中で1番優秀だという話を聞いた事がありますが、この映画を観る限りではちょっと疑問です。ところで昨年末に「光の雨」という、やはり連合赤軍の雪中行脚を描いた映画がありました。この映画のラストはまさに犯人があさま山荘に辿り着き、乗っ取るところで終わります。「突入せよ!・・」では、逆に犯人の姿は後半のほんの少ししか登場しません。しかし、見えない彼らの行動がなんとなく想像ができました。でも、できる事なら犯人側の描写も欲しかった。役所広司は、やはりすごい!!この映画でもカメレオンぶりを見せつけてくれる。昭和の大事件として観るより、平成のエンターテイメント映画として見る方が,楽しめるのでは??
アトランティスのこころ  監督:スコット・ヒックス  主演:アンソニー・ホプキンス、アントン・イェルチン
Hearts In Atrantis  2001年 アメリカ映画
今週のイチ押し:写真家のボビーの元に、一本の電話が入る。それは幼なじみのサリーの死を告げる電話だった。そして久しぶりに訪ねた田舎町。そこは彼の少年時代の思い出が溢れていた。11歳の時のボビーは母親と二人でこの街に住んでいた。母は彼の誕生日には、ただで手に入る図書カードをプレゼントをするくせに、自分のドレスには金をつぎ込んでいる。そんなある日、彼らの家の2階に老紳士が越してくる。彼の名前はテッド。不思議な魅力を持つテッドにだんだんと惹かれて行くボビー。しかし、彼はある特殊な能力を秘めていた。そしてその「力」を利用しようと,彼を追う男たちの姿が・・・・・。
私評:今日のキスは、これから交されるどのキスより印象的なはずだ・・・・11歳の少年ボブのひと夏の不思議体験を描いた映画です。親友のサリーとキャロルとの思い出、母親との確執。そして今までさんざん母から悪口を聞かされてきた父親の真実の姿・・・。しかし,それらの引き鉄になるのがテッドの不思議な力なのです。いかにも,スティーブン・キングらしい普通の人々の生活の中で起こる奇跡。それは心暖まるファンタジーであり、少年時代のノスタルジーであり、そして甘酸っぱい初恋のときめきでもあります。大きな感動はなかったけど、すごく心地良くて、私は大好きな映画です。主演のアンソニー・ホプキンスはまさに、このテッドにピッタリ。浪費家の母親役は「ワンダーランド駅で」のポープ・デイビス。そしてボブの親友の女の子キャロルを演じるのは「サンキュー・ボーイズ」「スパイダー」で立て続けに良い演技を見せてくれたミカ・ブーレム。この映画でも光ってます。そして大人のボブを演じるのが、あのデイヴィッド・モース。静かに心を癒されてください。
E.T.20周年アニバーサリー特別版  監督:スティーブン・スピルバーグ  主演:ヘンリー・トーマス、ドリュウ・バリモア
The Extra-Terrestrial  2002年 アメリカ映画
都心からは離れた新興住宅地に住むエリオットは10歳の普通の少年。ある日,エリオットは裏庭の物置で不思議な生物を見つける。最初は驚いたエリオットもその生物を部屋に入れ守る事を決めた。しかし、その生物は特殊な能力を持った、宇宙からの来訪者E.T.だった。しだいに心を通わせるエリオットとE.T.。そしてE.T.は自ら通信機を作り、森の中から宇宙に向けて交信を始める。しかし、E.T.をねらう大人たちはついに彼の居所を突き止め、大挙して押し寄せてくる・・・・・


私評:E.T. Phone Home.... 劇場で見たのは初公開以来だから、20年ぶり。あれから20年も経つのですね。初めてこの映画を見た時の驚きと感動を昨日の事のように覚えています。そのE.T.が21世紀のテクノロジーを借りて,新たな映画として生まれ変わりました。カットされたシーンを新たに挿入したり、CGを使ってE.T.に表情を持たせたりと色々と手の込んだことをしています。でも、今回の公開で一番良かったのは音響ですね。デジタル・サウンドになり、映画の音はもちろん、ジョン・ウィリアムスのあの名曲が素晴らしかったです。感動のラストで私は大泣き・・。初めて見た時はこんなに泣かなかったのに〜。やはり,この映画は20世紀の名作です。この機会にぜひ,映画館で観ましょう!!!
ローラーボール  監督:ジョン・マクティアナン  出演:クリス・クライン、ジャン・レノ
Rollerball  2002年 アメリカ映画
近未来の地球。抑圧された民衆の楽しみは超過激なバトルスポーツ、ローラーボールだった。チームオーナーはこのゲームの視聴率を上げることに躍起になっていた。しかし、そのためにはゲーム中の過激なシーンの演出が必要だった。彼らの罠にはまりチームメイトがひとり、そしてまたひとりと血祭りにあげられていく。そしてついにはチームの花形スター、ジョナサンにも刃が向けられる。果たしてジョナサンはオーナーの野望を打ち砕く事ができるのか??・・・


私評:1974年の映画のリメイクです。74年版はもっとSFテイストが強く、物語の展開ものんびりだったけど、今回はのっけからスピード、スリル、そしてバイオレンスのつるべ打ち!!オープニングのサンフランシスコでの坂道チェイスは怖かった・・・。そして「ローラーボール」のゲーム自体も74年版より進化している。ゲームの迫力もすごいですよ〜!!思わず力が入ってしまいました。主演はけっこうトボケた役が多い、クリス・クライン。どうも彼はコメディのイメージが強いのですが、今回はカッコイイ戦う男。キアヌ・リーブスに似てるよね?? 悪役のチームオーナーはジャン・レノ。今回はかなりテンションが高い!監督は「ダイ・ハード」のジョン・マクティアナン。90分と時間も短いしアクション映画を見たい方にはオススメです。
翼をください  監督:レア・プール  出演:パイパー・ペラーボ、ミーシャ・バートン
Lost andd Delirious  2001年 カナダ映画
女子寄宿学校に転入してきたメアリー。彼女は3年前に大好きだった母を亡くし、今度は父親も新しい母親にとられ、この寄宿舎に追いやられたのだ。さっそく彼女はルームメイトのトリーを紹介される。美人で明るく人気者のトリーに心を開くメアリー。そしてもうひとりのルームメイトは不良っぽいポーリーだった。その夜、メアリーはトリーとポーリーが濃厚なキスをしているところを目撃する。そして数日後には裸で一つのベッドで抱き合っているところも・・。そんな2人の噂が学校内に流れトリーはポーリーとの関係を清算しようとする。しかし、ポーリーは愛の炎は消す事ができず、彼女の行動は常軌を逸していく・・・

私評:私はレズじゃない。私はトリーという人間を愛しているの。男でも女でもないトリーが好きなのよ・・・。純真な愛情はどんどん加速し、ついにはブレーキの効かない速度にまで達してしまった。人を好きになることに男も女もないと思っていたポーリー。でも、世間体を気にして「ノーマル」な自分を取り戻そうとするトリー。どちらも悪くないのです。トリーとポーリーのこんなやり取りも面白いのですが、その2人を傍目から見ながら、自分自身も色々な事を学んでいくメアリーがすごく印象的でした。主演の3人の女の子がすごく良いです。また、この3人がすごく演技派です。それぞれが1ショットでセリフを言いながら自然な涙を流すと言うシーンが用意されいるのですが、3人とも見事に涙を流してみせます(笑)。パイパー・ペラーボは「コヨーテ・アグリー」のヴァイオレットとは180°違うキャラクター。しかし、隼を操り、フェンシングをこなし、そしてオールヌードまで披露した彼女のこの映画への意気込みはすごいものを感じます。そしてメアリー役のミーシャ・バートンは着実にステップ・アップしていますね。私はとても満足の映画でした。
KT  監督:阪本順治  主演:佐藤浩市、キム・カブス、チェ・イルファ
KT  2001年 日本・韓国合作映画
1973年。韓国は朴政権の下で国民の不満が高まっていた。しかし朴は自らが君主となるべく独裁政治へとまっしぐらに進んでいた。そこで彼が作りあげたのがKCIA、つまり韓国のCIAだ。朴にとって唯一に不安材料はめきめきと頭角を現し、いまや自分の政治的地位までも奪われかねない金大中だった。KCIAは金がたびたび日本に渡り、米国ともコンタクトをとっている事実を知る。KCIAのキムは日本人の富田を巻きこみ九段下のホテルでの金大中拉致計画を実行する。ボディーガードを残し、金がひとりになった時、男たちは動き始めた・・・。


私評:あさま山荘とほぼ時期を同じくして、東京では金大中氏事件があった。私はこの事件があった事は覚えているのですが、詳細は後になってから知りました。とりあえず、隣の国韓国の要人が行方不明になり、何日か後にソウルで発見されたということは知っていましたが、それ以上の事はほとんど知らないに等しかった。この映画はフィクションなのでどこまで信用して良いのかは分かりませんが、かなり的をついた話にはなっているはずです。それゆえストーリーは面白いのですが、演出が私的にはイマイチでした。せっかくの良い題材を上手く料理し切れなかった感が強いです。当時の様子再現するために、ハコスカ(箱型スカイライン)やトヨペット、旧型の電話ボックスなどのこだわりは良いのですが・・。正直言うと、途中かなり寝てしまいました。 


前回の記事も読んでね〜!



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