2004/4/19

今週は邦画が中心です。今回イチ押しは涙・涙・・の感動作。
でも、どの映画も面白かったです。

世界の中心で、愛をさけぶ  監督:行定勲  出演:長澤まさみ、大沢たかお、柴咲コウ、森山未來
 2004年 日本映画
今週のイチ押し:律子は恋人の朔太郎との結婚を前にして笑顔が耐えない。そんなある日、彼女は子供の頃の服のポケットの中からカセットテープを見つけた。それは彼女が少女時代に受け取ったものだった。カセットを聴いた律子は居ても立ってもいられず、愛媛へと向かった。そんな彼女が偶然テレビに映し出され、朔太郎は彼女を追って愛媛へと向かう。そこは彼の故郷だった。そして彼は高校時代の恋人、亜紀が彼に送ったたくさんのカセットを持ち出す。そして長い間、背を向け続けた亜紀との思い出に浸る。それは何もかもが輝いて見えた初恋の日々。しかし、亜紀は不治の病を抱えていた・・・・。
私評:誰か・・誰か助けてください!!・・・片山恭一の大ベストセラー小説が、今いちばん旬のスタッフ&キャストで満を持しての映像化です。正直言って、小説を読んだときはそんなに大きな感動はありませんでした。ところが映像になるとパワーが違う。しかも、悲劇のヒロインを演じるのが、今いちばんの注目株の長澤まさみ。彼女がステキだからこそ、成り立つ作品でもあるのです。そして大沢たかおの少年時代を演じる森山未來が、本当にまっすぐな少年で好感が持てました。しかも、大沢たかおに似てるんですよ・・。二人が紡ぎだす純で、しかも強い恋愛はノスタルジックな感動を誘います。そして訪れる悲劇・・。もう、映画の途中あたりで涙が止まらなくて困ってしまいました。そんな記憶を辿る大沢たかおも、すごく良いです。彼の涙に何度もらい泣きした事か・・・。そして柴咲コウは原作にはないキャラクターで映画用に追加されたのですが、実に良かったです。監督は行定勲。やっぱり手堅い作りです。そして彼の作品ではすごい演技が要求されるけど、役者がそれに応えています。柴咲コウ、大沢たかおはワンショットで(1分くらいで)涙を流すシーンが2回くらいあるんですよ・・。かなり、泣ける映画なのでハンカチはお忘れなく。そして愛をさけびましょう・・。
真珠の耳飾の少女  監督 :ピーター・ウェバー  出演:スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース
Girl With a Pearl Earring  2002年 イギリス映画
1665年、オランダ。家族の家計を助けるために画家のフェルメールの家に、使用人として泊まりこみで働く事になった17歳の少女、グリート。しかし、フェルメールは一枚の絵を完成させるのに多くの時間を要するため、決して裕福な生活ではなかった。しかも、彼の妻、カタリーナはヒステリックで家の中ではいつも諍いが絶えなかった。そんなある日、グリートはカタリーナからフェルメールのアトリエの掃除を言いつけられる。そこで彼女は初めて彼の絵画を目の当たりにし、心を動かされる。一方、カタリーナはフェルメールのパトロンのライフェンを招き入れ、必死に絵を買ってもらおうとするが、肝心のフェルメールは次の絵画の素材を決めかねていた。そんなある日、グリートがアトリエの窓を拭いたことにより、微妙に光が変わり、それがフェルメールの創作意欲に火をつけた。しかも、フェルメールはグリートが優れた色彩感覚を持っていることを見出し、彼の仕事の手伝いをさせることに。二人の間には微妙な雰囲気が漂い始める・・・・・・
私評:光が絵画のイメージを作り出すのだ・・・絵には疎い私も、フェルメールの「真珠の耳飾の少女」は知っていました。もちろん、この物語はフィクションだけど、なんとも言えない味わいがあります。まずは、映像の美しさです。まさに絵画から飛び出したような景色。その色合いの美しいこと・・・。そしてフェルメールの家の中のセット。隅々までこだわりが感じられます。そして何よりも素晴らしいのが、主演のグリートを演じる、スカーレット・ヨハンソンです。彼女の表情のひとつひとつの積み上げが、「真珠の耳飾の少女」の絵に繋がっているのです。そして時折見せる、なんとも色っぽい眼差し。撮影当時は17歳だったスカーレット嬢ですが、彼女は本当に色気があります。そしてフェルメールを演じるのは、どうもラブ・コメディのイメージが強いコリン・ファース。謎の芸術家という難しい役どころを見事に演じています。そしてグリートに思いを寄せる肉屋の息子役は「28日後・・」のキリアン・マーフィー。文芸作品がお好きな方には、最高にお薦めの一本。それにしても絵画の中の少女と、スカーレット・ヨハンソンは良く似ている・・・。
死に花  監督 :犬童一心  出演:山崎努、谷啓、青島幸男、宇津井健
 2004年 日本映画
東京郊外にある、高級老人ホーム。そこには一癖もふた癖もある年寄りたちが余生をのんびり暮らそうとしている。しかし、仲間の一人源田の死によって彼らの眠っていたパワーに火がついた。実は源田は「死に花」というタイトルのノートを残したのだ。中に書かれていたのは綿密な銀行強盗の計画。しかも、その銀行は仲間の一人伊能が理不尽なリストラを受けたことのある会社だった。元映画プロデューサーでジジイたちのリーダーの菊島、女好きで千人切りまであとわずかとなった穴池、ホラ吹きの庄司、そして伊能の4人は行動を起こす。そして彼らにホームレスの先山、菊島の恋人(?)鈴子、ホームの新人和子が加わり、計画は着々と進んでいく。しかし、決行の直前に台風が襲う・・・・・・
私評:このお金どうする??・・・・昨年、ぷりてぃ・うーまんというおばあちゃんたちが大活躍の映画がありましたが、この映画はさながら「ぷりてぃ・ぼーいず」といった感じ。男たちは幾つになっても子供なんです。このじいさんたちもまさに少年のように目をキラキラさせながら、銀行強盗に勤しむのですが、これが実に愛らしいのです。この映画を見る男たちは年齢に関係なく、こんな思いを一度は抱いていると思います。しかも、70歳を超えたじいさんたちが、やっちゃうのだから・・・。銀行強盗のプロセスはお世辞にも完璧とは言えず、それどころか「そりゃないでしょう・・!」と言いたくなるところがいっぱい。だけど、この映画ではそんな事はたいした意味を持たないのです。じいさんたちが「ひと花咲かせる」コメディなのだから。じいさんたちは山崎努、谷啓、青島幸男(都知事を辞めてよかったね・・・)、宇津井健(やっぱりこの映画でも真面目!!)長門勇、藤岡琢也(「笑う世間は鬼ばかり」だけじゃないんだね・・」、そしてマドンナ役は松原智恵子。彼女と山崎努のラブシーンが妙にリアルで・・・(謎)。監督は「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心です。
花と蛇  監督:石井隆  出演:杉本彩、野村宏伸、石橋漣司、遠藤憲一
 2004年 日本映画
若き大富豪、遠山の妻の静子は世界的なタンゴダンサー。しかし、その妖艶なダンスとは打って変わってプライベートでは貞節な妻であった。しかし、彼女の美しさに心を奪われた男がいた。彼は昭和の巨魁と呼ばれた田代。御歳95歳の老人だ。田代は彼を心から慕う暴力団組長の森田に命じ、遠山に罠を仕掛ける。絶体絶命のピンチに陥った遠山は、仕方なく妻の静子を森田に差し出した。静子が連れて行かれたのはセレブたちが高額の会費を払いSM殺人ショーを楽しむ秘密のパーティ会場。仮面をつけたセレブたちが見守るなかで静子はありとあらゆる責め苦を味わう。調教師の手に掛かりついに静子の理性の鍵が壊れる・・・・・。
私評:ショーの始まりです!!・・・・団鬼六原作のいわゆるエロチックな話です。私は1974年版の「花と蛇」は見ていたのですが、まだ若い頃に見たのでSMの責め苦に苦悶の表情を浮かべながらも調教されていく谷ナオミが、なんだか可哀相に思えた。ところが、今回の「花と蛇」のヒロインは杉本彩。見るからにエロスのオーラが漂う(?)彼女が貞節な静子を演じると聞いて、ちょっと違和感があったのですがさすがは女優。しかし、演技が要求されるのは最初の方だけで、途中からはまさに体育会系の実演の繰り返し。しかも、映画の大半は一糸まとわぬ全裸。まさに、体を張った演技と言えるでしょう。しかし、渡し的にすごく違和感があったのが遠山を演じた野村宏信。ちょっとミスキャストじゃない??しかし、田代役の石橋漣司、森田役の遠藤憲一、ピエロ役の伊藤洋三郎は最高でした、監督は私的には「GONIN」が最高だった石井隆。


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