4月16日版

 2週間分を一気にアップします。今回はけっこう試写会が多くて、お金が助かりました・・。
 映画館も通わなくちゃな〜・・。 

 スリー・キングス(The Three Kings)

 1999年  :  アメリカ映画
 監督   : デイビッド・O・ラッセル
 主演   : ジョージ・クルーニー、マーク・ウォルバーグ、アイス・キューブ

 湾岸戦争停戦直後のイラク。この戦争にむなしさを感じながらも、帰国を
 余儀なくされている兵士たち。しかし、敵兵士がケツの穴に大事にしまって
 いた謎の地図を手に入れ、3人の男の血が騒ぎ出した。そこにはフセインが
 クウェートから強奪した金塊が眠っているらしい。それは半日もあれば片が
 つく仕事のはずだった。しかし、フセインの弾圧に苦しむイラク人を見た彼らは
 無謀にも3人で戦争を仕掛けるのだった。

 私評:アクションシーン満載!奇抜なアイデアと独創的なストーリーが小気味良いです。
 予告編のノリノリのイメージを抱いて映画を見に行った私は、ちょっと肩透かしにあった
 ようでしたが、逆にそれが楽しめた原因かも?? けっこうシリアスな内容で、ラストに
 行くにしたがって、ドンドンストーリーに引き込まれて行った。ちょっとコミカルなシーン
 やマンガチックな映像も好きです。主演のジョージ・クルーニーは、こういう汗まみれ
 砂まみれの男役が良いな〜。スーツのエリートだけは演じないでくれ。
 次回の「パーフェクト・ストーム」も期待してますよ〜。


 ボーン・コレクター (The Bone Collector)

 1999年 :  アメリカ映画 
 監督  : フィリップ・ノイス
 主演  : デンゼル・ワシントン、アンジェリーナ・ジョリー、マイケル・ルーカー

 子供の通報を受け鉄道の線路脇に直行したアメリアが目にしたものは、地面から
 突き出た人間の手だった。とっさの機転で現場を荒らされないように列車を止め
 インスタントカメラで現場を撮った。この猟奇的な事件の解明のために、科学捜査
 のエリート、リンカーンが捜査を始める。しかし、彼は事故により脊髄を損傷した為、
 手足の自由が利かない。そこで彼が現場の検証を依頼したのはアメリアだった。しかし、
 犯人は次々と犯行を重ねて行く。リンカーンの目となり、手足となり現場に赴くアメリ
 ア。そしてついに彼らは、今世紀初頭に書かれた1冊の本「ボーンコレクター」に
 辿り着く・・。

 私評:デンゼル・ワシントン、アンジェリーナ・ジョリーの演技が火花を散らします。
 二人の駆け引き、信頼を築き上げる過程がこの映画の一つの見所です。そしてもう一つの
 見所は(私的には)残虐な連続殺人の手口。目を覆いたくなるような殺しの手口はホラー
 映画も真っ青です。しかし、アンジェリーナは今後が楽しみな女優ですね。もちろん美人
 だし、そしてセクシー。演技の方も今年度のアカデミー助演女優賞獲得しただけのこと
 はありますね。この映画に一つ文句を言わせていただければ、私の好きなマイケル・ルーカーの扱い方。
 ちょっと嫌なヤツの役なんですが(これはいつものこと)、あまりにも影が薄い・・。
 しかもラスト近くではあんな風に・・。 

 バレット・バレエ (BULLET BALLET)

 1999年 :  日本映画 
 監督・主演: 塚本晋也
 主演   : 真野きりな、中村達也、鈴木京香、田口トモロヲ

 恋人に拳銃自殺されたショックから立ち直れないCMディレクターの合田は
 『死』と彼女の命を奪った『拳銃』にドンドンと傾倒して行く。ある日、泥酔した
 合田は町の不良たちに打ちのめされ恐喝される。彼らへの復讐を胸に拳銃を探し
 求める合田。しかし、簡単に銃が手に入るわけもなく自らの手で銃を作り、不良の
 巣窟へ単身乗り込むが、即席の銃はなんの役にも立たずまたしても、自分の無力さを
 思い知らされる。そんな不良グループの中に『死』に傾倒する一人の少女がいた。
 ついに本物の銃を手にした合田。対立する不良グループ。そして『死』を求める少女。
 一丁の拳銃が彼らの運命を翻弄して行く。

 私評:またしても新しい映画に出会った。圧倒的なスピード感。五感を刺激するスリル。
 愛が憎しみが笑いが涙が快感がそして痛みが、すごいパワーで画面から伝わってくる。
 私はストーリー自体はあまり好きではありません。しかし、塚本晋也が築き上げた独特な
 世界はとても快感だった。『死』に傾倒する少女真野きりながめっちゃ魅力的。また、塚本
 監督の目を通して見る「東京」の描写も実にユニークです。映画館で見るときは前の方の
 席はお奨めしません。画面の揺れで酔っちゃいますよ〜。

 アシッド・ハウス (The Acid House)

 1998年 :  イギリス映画 
 監督  : ポール・マクギガン
 主演  : ユエン・ブレンナー、ケビン・マクキッド、スティーブン・マッコール

 その日はボブにとって最悪の1日だった。サッカーのレギュラーの座を奪われ、恋人には
 振られ、両親には見放され、そして仕事まで失ってしまう。バーで酒を煽る彼の目の前に
 現れたのは自ら『神』と名乗る男。しかし、神がいつも見方とは限らない・・。
 お人好しのジョニーは、町中の男から『ビッチ』とレッテルを貼られている女と
 結婚する。しかし、誰もの予想通り彼女はやりたい邦題。しかも、同じアパートに越して
 きたパンクな男と堂々と・・。ついに堪忍袋の緒が切れたジョニーだが・・
 ココはフリーガンのリーダー。カワイイGFの制止も聞かずLSDでトリップして
 ばかり。しかし、今日のヤクはちょっと効きすぎた。雷鳴轟く公園で良い気持ちに
 なっていると落雷が彼に命中。ちょうどその頃、救急車の中では赤ん坊が生れ落ち
 ようとしていた。そしてなんとココと赤ん坊の人格が入れ替わってしまう・・・。 

 私評:「トレイン・スポッティング」の原作者アービン・ウェルシュの最新作。アシッド・
 ハウスとはLSDの家という意味らしい。3つの話のオムニバスですが、どれもがシュール。
 しかし、現実離れしたシチュエーションの中に、まったく否定し切れない、心に引っかかるものがあるんです。
 笑って見過ごしたり、鼻で笑ったりするだけでは済まない・・。トレスポ同様、ブラックなネタはてんこ盛り。
 でも、その辺をポップな音楽でうまくオブラートで包んでいるような・・。また、こういうぶっ飛んだ話しは
 本来変な理屈はいらないはずなのに、なぜかしみじみと考えてしまった。
 でも、どれほどの人がこの映画を受け入れられるのだろうか???

 ベリー・バッド・ウェディング (Very Bad Things)

 1998年 :  アメリカ映画 
 監督  : ピーター・バーグ
 主演  : クリスチャン・スレーター、ジョン・ファブロ、キャメロン・ディアス

 結婚式を目前に控えたカイルとローラ。幸せいっぱいの彼女の唯一の悩みは彼の悪友たち。
 独身時代にピリオドを打つべく、男だけのパーティをする為にベガスに乗り込んだ5人の
 男たち。しかし、仲間の一人マイケルが、部屋に呼んだ娼婦を事故で殺してしまう。
 パニックに陥る彼らを言い丸めたのはアブナイ男、ボイド。彼女を砂漠に埋めてまおう!
 その時ドアをノックする音が・・。あまりの騒ぎに注意に来た警備員だった。彼らの
 パニックは頂点に!一触即発、爆破寸前!果たしてカイルとローラは無事に結婚式を
 あげることができるのか?

 私評:もう、最高! この映画はスーパー・ブラックコメディです。キャメロン・
 ディアスが出てるからっておしゃれでコミカルなラブストーリー・・なんて思ったら
 大間違い。私的にはホラー映画と呼びたい!(??)また、キャメロンは主演ではあり
 ません。クリスチャン・スレーターのボイド役は、超・適役!! 彼以外には考えられ
 ない。胡散臭くて、ワル知恵が働いて、しかもサイコ。キャメロンはというと人生最高の
 イベント「ウェディング」に27年間の人生の全てを掛けるが故に、神経質になりすぎる
 女を演じます。だんだんと豹変して行く彼女は、ちょっと怖い。「私を愛してる?」と言うセリフが
 だんだんと怖いセリフになって行く様は実におもしろいです。最後も「ドヒャー!」て感じですね。
 (どんな感じだ??)物語は上のあらすじの後に途方もない展開になって行きますよ〜。
 

 守ってあげたい (Women's Army Corps)

 1999年 :  日本映画 
 監督  : 錦織良成
 主演  : 菅野美穂、杉山彩子、宮村優子、白川みなみ、鈴木紗理奈

 普通の女の子、安西サラサは20歳。恋人のコージにフラレ絶望のどん底。しかし
 持ち前の明るさと能天気な性格が後押しして(?)見事自衛隊に合格。たったの
 二年間だし、退職金も出るし・・。しかし、彼女が配属された第3班は落ちこぼれの
 集まり。想像とのあまりのギャップにサラサは初日から落ち込み気味・・。
 この班の班長は訓練中に隊員を殺した事があるという別名「悪魔」のあやめ。
 彼女の元で、とことん叩き上げられる彼女たち。そしてついに迎えた最終訓練。
 コンパスと地図だけを頼りに目標地点に向かうコンパス行進。
 しかし、折からの悪天候が彼女たちを襲う。コースを外れた彼女たちは本当の災害現場に
 遭遇してしまう。

 私評:私は菅野美穂が好きです。普通の女の子なんですけどね。TVより映画で
 出会う方が多いからそんな風に思うのかな? ホラー映画に立て続けに出てたけど、
 この映画では等身大の今風の女の子。それがまた、グッドでした。今回の映画では
 自衛隊の協力があり、富士の演習場でのロケ、最新の戦車、装甲車、ジェットヘリ、
 そして銃器の数々等はちょっと見物です。女の子達の成長と友情とを描いた脚本も、
 ありがちな話ではあるのですが良かったです。ちょっとホロッとさせられるシーンもありました。

 NYPD15分署 (The Corruptor)

 1999年 :  アメリカ映画 
 監督  : ジェームズ・フォーリー
 主演  : チョウ・ユンファ、マーク・ウォルバーグ

 ニューヨーク市警15分署のアジア犯罪取締り班に一人の男が配属された。東洋人だけで
 構成されたその部署に白人のウォレスが配属されたのだった。班のリーダー、チェンは
 中国系の移民。15分署でもヒーローだった。最近チャイナタウンに多発する、身元不明
 の女性の連続殺人。死体がゴミのように捨てられいたため「女性ダスト殺人」と呼ばれ
 ていた。その事件を追う傍ら、最近めきめきと頭角を現してきた、ギャング団
 「福建ドラゴン」の壊滅にも目論んでいた。最初は馴染めなかったウォレスもチェンと
 行動を共にするうちに、友情を深めて行った。しかし、捜査を進めるうちにチャイナ
 タウンの巨大な組織と警察との癒着が見え隠れし始める。そしてウォレスにも甘い蜜の
 誘いが・・。そしてお互いが、お互いの秘密を知ることに・・。

 私評:チョウ・ユンファがカッコ良すぎる〜。香港ルノワールの頃の彼を髣髴させる気障で
 そしてアツイ男を演じてます。ガンさばきもやっぱり決まってます。いきなりの爆破
 シーン、すごい銃撃戦、チャイナタウンでのカーチェイスなど見所もたくさん。まさに
 ハリウッド映画と香港映画の融合ですね。正義を胸に悪に立ち向かう男たち、友情、
 裏切り、信頼。まさに男臭い映画なのですが、チョウ・ユンファにはそう言う映画の
 方が似合ってます。しかし、この映画を見たときの観客はなんと4人。ヒットしてないんですね。良い映画なのに〜・・。

 オール・アバウト・マイ・マザー (All About My Mother)

 1999年 :  スペイン映画 
 監督  : ペドロ・アルマドバル
 主演  : マリサ・パレデス、セシリア・ロス、ペネロペ・クルス

 最愛の息子を交通事故で亡くしたマヌエラは、17年前に別れた彼の父に息子の死と
 彼の想いを伝えるためバルセロナへと旅立つ。そこで出会う「女たち」は誰もが
 悲しみを背負いながらも、幸せを求め必死にもがいていた。老齢に達した女優。
 性転換をして「本当の女」を夢見るマヌエラの親友。妊娠をしてしまった修道女と
 その母親の確執。息子の思い出と彼を亡くした悲しみを引きずりながら、必死に
 生きようとするマヌエラ。そしてついに別れた夫と出会うが・・・。

 私評:このシノプシスはこれ以上書けない。なんの情報も得ずに見るほうが絶対に
 おもしろいと思います。ご存知の方もいると思いますがこの監督はゲイです。(女形)
 それゆえまったく違う視点から、女性を捕らえることができるんでしょうね。映画の中で
 「欲望と言う名の電車」や「イヴの全て」が巧みに取り入れられています。女として
 生きると言うことは女を演じつづけることなんでしょうか? 男の私には物語の深い部分を
 汲み取ることはできませんでした。しかし、名優の競演、そして人生の悲喜を独自の
 感性で描き切ったアルマドバル監督の手法に痺れました。ラストシーンがとても好きです。 
 今年度アカデミー外国語映画賞受賞作品。余談ですが、この映画の試写会の前に、おすぎのトークショーが
 ありました。彼いわく、『この映画を見て何も感じない人は死になさい』だって・・。
 何もそこまで言わなくても・・・。

 スペース・トラベラーズ (Space Travelers)

 2000年 : 日本映画 
 監督   : 本広克行
 主演   : 金城武、深津絵里、安藤政信、池内博之、濱田雅功、渡辺謙

 閉店間際のコスモ銀行に3人の男が襲撃してきた。それは5分で片がつくはずだったのに、
 トラブルに次ぐトラブルで金は盗めず、しかも警察隊にも囲まれ最悪の事態に・・。
 しかし、人質に取った一人の男が手配中の国際テロリストだったのだ。本来の強盗が
 何もしないうちに事件はドンドン大きくなり、今や日本全国を揺るがすほどだった。
 3人組のリーダー保は、大人数の犯行に見せかけ警察を混乱させることを思いつく。
 そして事件の対策本部に一本の電話が入る「俺たちはスペーストラベラーズだ!」
 強盗史上、最も人質に愛された3人組・・・

 私評:コミカルで軽いノリで始まるこの映画。あの予告編を見ても誰もがコメディーを
 予想しますよね。ところがそれだけで終わらないところが本広監督なんですね。ただの
 ドタバタだときっとおもしろくも何ともない映画になってしまったと思う。この物語の
 テーマって安藤政信演じる誠が言った「やっぱりアニメの世界と現実は違うんだよね!」
 というセリフに全てが込められていたと思う。パラダイスを目指していた彼らの夢と
 現実のギャップは、私たちがいつも感じていることをデフォルトさせたメッセージなのかな?
 出演者の面子がめっちゃ良いですよね。金城武ってあまり好きじゃなかったけど、この映画の
 彼は好きだな。そして安藤政信のキャラもグッド。渡辺謙の威圧感。そして筧利夫、大杉漣ら
 がしっかりこの映画をバックアップしている。ラストの深津絵里が一人で恵比寿を歩くシーンは
 好きだな〜。悲しいだけ映画にはしないこのラストは「踊る大捜査線」でも同じだった。
 

 


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