2002/4/14号

今週は邦画が強いぞ!イチ押し2作品とも邦画です〜!!

ピーピー兄弟  監督:藤田芳康  出演:剣太郎セガール、ぜんじろう、みれいゆ、田中裕子
The Bleeb Brothers  2002年 日本映画
今週のイチ押し:売れない兄弟漫才師タツオとイクオ。うだつの上がらない二人はいつまで経っても場末のストリップ劇場の前座。ある日、客の野次にぶち切れた弟のイクオは、舞台で過激な下ネタを連発。ところがこれが客には大ウケしてしまう。それを見ていたTVディレクターの有沢に見初められ,めでたく(?)彼らはTVデビュー。しかし、彼らのネタを放送する事はできず、彼らのネタは「ピー音」ですべて消されてしまう。そんな自分たちの姿を見て意気消沈していた二人だったが,この放送は意外な事に大ウケ。「ピー」の兄弟として二人は一躍時の人となる。有沢は彼らのもっと過激なギャグを要求するが、ネタ作り担当のタツオは行き詰まってしまう・・・・。
私評:それでは元気良くまいりましょう〜! ハイ! タツオです,イクオです〜・・・ 「ピー」の音が最初はめちゃ可笑しいのですが、物語が進むに連れ,悲しい音になって行きます。TV局の良識のように見えるこの「ピー」が実は巧妙に仕組まれた視聴者への裏切りであり、逆に言葉の暴力になっていくのですね。そういった表面の話と同時進行で、タツオと彼の妻になる文江、そして両親をも巻き込み話は複雑に絡み合って行きます。そしてTVの頂点に手が届きそうなところで,彼らは飛び降りてしまいます。この兄弟がどのようになっていくかはここでは書きませんが、二人が心の中でずっと「ピー」を掛けていたことがついに吐き出される時、物語は好転するのか?それとも・・?主演は最近姿を見なかったぜんじろう、そしてスティーブン・セガールの息子剣太郎・セガール。この二人のコンビはなかなかのものです。文江を演じる「みれいゆ」が、また良いんですよ。まじめで堅い女役なのですが、後半の彼女の変貌ぶりには口をあんぐり開けてしまった。両親が岸辺一徳と田中裕子という、強力なコンビです。これは拾い物でした! 
荒ぶる魂たち  監督 :三池崇  出演:加藤雅也、竹中直人、松方弘樹
Araburu Tamashii-tachi  2002年 日本映画
今週のイチ押し:ヤクザの大組織、天成会の幹事長,海藤は白根組の若頭、水島を呼び出し白根組と彼らと長年に渡りいがみ合っている横溝組を自分の配下にしたいと申し出る。その見返りは天成会での確固たる地位。その言葉に触発され水島と彼の懐刀の室井は、災いの種を撒き始める。そして彼らが雇い入れたヒットマンは横溝組の組長を射殺。白根組と横溝組の間は一色即発の事態に陥る。そして海藤は両組に手打ちをするよう持ちかけるが、横溝組の配下の樋口が率いる一派は納得しなかった。しかし、天成会の強引な手引きで両組はついに手打ちをし、樋口組は横溝組から脱会する。海藤がそれを良く思うはずもなく、ついには樋口組にも天成会の圧力が掛かりはじめる・・・

私評:人生たかが,流れ星。キラーっと輝いたら良いじゃないか・・・・三池崇監督,久々の快作でした。最近の彼の映画は長く感じたのですが、この映画は2時間30分があっという間でした。元来、ヤクザ映画ってあまり好きではないのですが、この映画の登場してくる男たちのカッコ良さにシビレました・・。そしてシナリオもすごく面白い。群像劇のように次から次へと登場する男たちの一人一人が実にしっかりと描かれていました。この辺りの演出は素晴らしいですね。実は三池監督は自らこの作品に出演も果たしております。(役者としての技量は・・・やっぱり監督をしていた方が良いと思います)主演の加藤雅也がカッコ良すぎる〜!北野武の「BROTHER」の時のイメージとちょっとかぶるけど、男の私が観ていても惚れそう(笑)。彼が心から尊敬してやまない樋口を演じるのが竹中直人。今回の彼はめちゃ良かったです。海藤を演じる松方弘樹はちょっと気合が入り過ぎかも・・?水島役の伊武雅刀、室井は遠藤憲一、ヒットマン役の白竜、そして加藤雅也の兄貴分が美木良介。すごい配役です。また、この映画には昨年亡くなった菅原文太の息子、菅原香織が出演している事も見逃せません。
サンキュー・ボーイズ  監督:ペニー・マーシャル  主演:ドリュー・バリモア、スティーブ・ザーン、ジェームズ・ウッズ
Riding Car With Boysl  2001年 アメリカ映画
少女のビバリーには悩みがあった。大好きな男の子が巨乳の女の子に夢中なのだ。しかし、彼女の乳はブラによって矯正されている事を知った彼女は父親にブラジャーをねだるが、彼女の夢は崩れ去る。思えば、これが始まりだった・・。15歳のビバリーには夢があった。NYの大学に行って作家になる事が彼女の人生プラン。ある日,パーティーの最中、ビバリーはお気に入りの青年に得意な愛の詩を書いて告白するが,見事に失恋。それを見ていた(気は良いけど、お頭が足りない)レイに慰められ,なんとなく付き合い始める。そして彼と付合ううちになんとビバリーは妊娠してしまう。中絶する事もできずズルズルとレイと結婚し、男の子を出産する。しかし、彼女は大学への道を諦めず、奨学金をもらうため必死に勉強をするが、面接のその日をレイは忘れてしまい彼女の夢は脆くも崩れ去る。それでも彼女は諦めずカリフォルニアに渡り,大学に行こうとするがなんとレイはヘロイン中毒になってしまう。どうしても薬がやめられないレイとは別れ、ひとりで息子のジェイソンを育てる決意をするが・・・・

私評:もう,私の人生はメチャメチャよ〜!!・・・・この話は実話です。ビバリーは彼女の周りのボーイズに人生をズタズタにされたけど、振り返ればみんな良いヤツら。親父はバリバリの堅物警官。演じるのがジェームズ・ウッズ。夫はジャンキーでノータリン。演じるのはスティーブ・ザーン(これがまた,ピッタリの配役)、息子は良い子なんだけど親離れを希望している。演じるのは「タップ・ドッグズ」のアダム・ガルシア。なんとも,バラバラのキャラの男たちに囲まれ、四苦八苦するビバリー。でも、このボーイズが憎めないんだ。不幸をバネにして力強く生きていくビバリー。彼女を演じるのがドリューですね。ドリューって全然美人じゃないのに、なんでこんなにキュートなんだろう?今回は15歳から35歳までのビバリーを演じるのですが15歳はちょっとキツイでしょう!でも、ビバリーの人生って,ドリューとダブルところがあるんです。また、ビバリーの大親友フェイを演じるのが、先日「サウンド・オブ・サイレンス」でも見たブリタ二ー・マーフィー。彼女もこの映画にはなくてはならない存在です。最後に彼女が帰るのはどのボーイの腕の中でしょうか??
家路  監督:マノエル・ド・オリヴェイラ  主演:ミシェル・ピコリ、ジョン・マルコヴィッチ
Je Rentre a la Maison  2001年 ポルトガル・フランス映画
ジルベールは舞台に映画に活躍するベテランの役者。今日も「瀕死の王」の舞台に上がっている。そんな彼の元に、突然の訃報が入る。なんと彼の妻、そして娘夫婦が交通事故で死んでしまったのだ。ショックのために絶望の底に叩き落されるジルベール。しかし、彼には孫息子のセルジュが残っていた。孫との2人きりの生活を送っていくうちに、少しずつ自分を取り戻し立ち直って行く。しかし、老いは確実に彼に襲いかかってくる。そんな自分を見つめ直している彼の元に、映画の出演の話が舞い込んでくる。アメリカ人の監督クロフォードの作品だ。考えた末、仕事を請け負った彼だったが・・・・

私評:ゆっくりゆっくり生きて行くって、むずかしい・・映画の展開もすご〜くゆっくりです。タランティーノが撮ったら、10分も掛からずに終わってしまいそうなシナリオ。劇中劇を、人々の会話を、そしてジルベールの苦悩を、カメラは長廻しでじっくりと見せつけます。オープニングのカトリーヌ・ドヌーブと一緒の舞台のシーンがあまりに長いので,ちょっと面食らったけど、家族の死以降のジルベールの心の動きをじっくりと見せつけられ、こういう手法もありだなと感心してしまいました。ちょっと、舞台のような感じ??しかし、このような演出をするにはやはり役者が良くないとダメですよね。そう言う意味では主演のミシェル・ピコリは,最高でした。そしてジョン・マルコヴィッチとのやり取りは,さりげなさの中に強烈なインパクトがありました。人によってはけっこう,眠くなってしまう映画かもしれませんが・・・・。私はめちゃ面白かったです。
Girls★Girls  監督:デニス・ガンゼル  主演:ディアーナ・アムフト、フェリシタ・ヴォル
Girls Girls  2001年 ドイツ映画
ハイスクールに通う、仲良し3人組のインケン、ビッキー、レーナ。インケンの18歳の誕生日の日、彼女たちは相手チームの女子のロッカールームでの会話を聞いて愕然とする。「私は彼とのセックスで3回もイッちゃったの・・」。それに追い討ちを掛けるかのように、ビッキーのママからプレゼンとされたビデオは、絶頂体験を自慢する女性のインタビュー集だった。セックスでイクこと=ハッピーを信じて、彼女たちは行動を起こす。インケンは彼氏のティムに相談し、さっそくベッドにもぐり込んだが、イッタのはティムだけ。しかも、インケンは自転車のサドルでイッテしまい、ティムにはサヨナラする事に。ビッキーは男性経験こそ豊富だけど、未だにイケずじまい。ついに彼女はレズビアンのチャットで,新たな発見をしようとする。3人のウチで唯一バージンのレーナはステキなロックバンドのボーカリストに恋をする。果たして彼女たちのイケイケ作戦は成功するのか??・・・・・

私評:精子はビタミンC・・・上のストーリーを書いてて、こんなの書いて良いのかな〜とマジで考えてしまった(笑)。まあ、脚色しても仕方がないので、その通り書いてみました。しかし、女の子達も進化して行きます。以前にも、ロストバージンの映画って言うのは幾つかあったけどこの映画はその上を行ってますね〜。しかも、ドイツでは大ヒットした作品なんですね。けっこう,エッチな内容ではあるのですが演じてる彼女たちがあっけらかんとしているので、変ないやらしさはなくけっこう笑える作品になってます。「アメリカン・パイ」に比べたらまだまだ,可愛いもんです??主演のインケンを演じるディアーナ・アムフトは当年とって27歳。ちょっと無理があるんじゃないの??私が一番笑ったのがインケンの彼氏が着ている変なTシャツ。変なメッセージが書いてあるんです。「精子はビタミンC」とか「玉に食らいつけ!」とか・・(笑)。しかし,劇場の入りは惨憺たるもの。早くしないと終わっちゃうよ〜。 
ドメスティック・フィアー  監督:ハロルド・ベッカー  出演:ジョン・トラボルタ、ヴィンス・ヴォーン
Domestic Disturbance  2001年 アメリカ映画
船大工のフランクは妻のスーザンとは2年前に離婚したが、息子のダニーとはいまだに仲良し。しかし、母親に新しい恋人ができ反抗的になっている。そして母親は新しい恋人リックと再婚する事になる。結婚式の当日、リックの友人と名乗るレイがこの街にやってくる。彼はレイの本当の姿を知っていて、彼を強請り金を巻き上げようとする。しかし、リックにより彼は殺されてしまう。しかも,その現場をダニーは目撃してしまう。反抗的なダニーの言葉を母親も警察も聞き入れてくれないが、唯一フランクだけは耳を傾ける。そしてついにリックは仮面を脱ぎ捨て、本性を見せ始める・・・・・。

私評:誰も信じてくれないけど,パパは信じてくれるよね!?・・・こういうミステリー映画はシナリオがすべてだと思うのですが、なんとも生ぬるい作品でした。ヴィンス・ボーンが演じる義理の父が徐々に本性を現して行く過程までは面白いのですが・・。それ以上に少年が変な疑いを持たず、またフランクが変なツッコミをしなければこの家族って,もしかしたうまく行くのでは?と思ってしまったのは私だけでしょうか?だって、リックも過去を捨て新しい街で一念発起頑張ろうとしてたのに・・。でも、行く所まで行ってしまうとこういう殺人鬼は、止まらない。息子を監禁し妻を殴り・・・。でも,こういう役をやらせて様になるのは,ヴィンス・ヴォーンとレイ・リオッタくらいしかいないでしょうね。また、リックの怪しい友人のブシェミーがまた、良いんですよ〜。妻役は「ミート・ザ・ペアレンツ」のテリー・ポロ。彼女もこの映画ではイマイチだったな〜。監督のハロルド・ベッカーの演出はけっこう良いのですが,やっぱりシナリオが・・・・
ヴァンパイア・ハンター  監督:J・S・カードネ 主演:カー・スミス、ブレンダン・フェア、イザバラ・マイコ
The Forsaken  2001年 アメリカ映画
姉の結婚式に出席するためにマイアミに向かうショーンは、ニックというヒッチハイカーを拾う。そして二人は途中の店で精神錯乱している女を見つける。突然、彼女を助け出し、アヤシイ薬を注射するニック。実は彼女はヴァンパイア,ウィルスに冒されているという。しかも、暴れる彼女を取り押さえた時ショーンも彼女に噛まれウィルスをうつされてしまう。ウィルスをやっつける方法はただひとつ。このウィルスの感染源であるヴァンパイアを聖なる場所で殺す事。二人はヴァンパイアに戦いを挑む・・・・

私評:ソニー・ピクチャーズのショッキング・ムービー・プロジェクト第3弾・・・・私はヴァンパイア映画が好きなので迷わず観に行きました。この映画のヴァンパイアは今までのヴァンパイアとはちょっと違う。十字軍の生き残りの8人が、もう一人の仲間の血をすすり呪われてしまう。そしてそのヴァンパイアの生き残りがアメリカに二人いるのだ。彼らに噛まれたものは、体にウィルスが回り,放っておくとヴァンパイアになってしまう。このヴァンパイアはけっこう恐いんだけど、ホラーというよりアクション映画。展開もイマイチのろくて・・。でも、カーチェイスシーンや、最後の戦いのシーンはなかなかの迫力でした。主演のカー・スミス、ブレンダン・フェアは「ファイナル・デスティネーション」にも出てましたね。やっぱり,ホラー路線で行くのか??(笑)そして彼ら拾う金髪美女は「コヨーテ・アグリー」の踊るバーテンダー、イザベラ・マイコ。彼女がバーンと脱いでくれるシーンは一番の見所かも?? しかし、このオチには笑いました〜。 
白い犬とワルツを  監督:月野木 隆  主演:仲代達也、若村麻由美、南果歩、藤村志保
To Dance With The White Dog  2002年 日本映画
造園業を営む私は妻の光恵と二人暮し。しかし、2人の娘が近くに住んでいる。その日もいつものように仕事に出かけ、妻は手を振って私を見送ってくれた。しかし、仕事から戻ると妻は庭に倒れていた。病院に担ぎ込むもまもなく息を引き取った。死ぬ間際になにやら私に告げようとしたが,その時には気付かなかった。妻の通夜の夜、私は白い犬を発見する。なかなか懐かない犬だったが、少しずつ近づいてくる。そして数日後、ついに家の中に招き入れた。実は私には息子がいたのだが、事故で亡くしている。葬式の翌日、死んだ息子の友達であり、妻の友達の息子のい秀一がやってくる。息子のことを思い出し、私は妻の最期の言葉の意味を理解した・・・

私評:あまりにも突然,妻が死んだ。40年間の結婚生活の幸せな思いでだけを残して・・・原作はアメリカの作家テリー・ケイの大ベスト・セラー。静かに心に染みわたる、感動的な映画でした。涙腺の緩い私は,絶対になくと思っていたのですが、涙は一粒も出ずじまい。でも、素晴らしい感動がありましたね。この映画のキーは藤村志保演じる光恵。彼女は前半部分で死んでしまうのですが、その少ない出演シーンだけで、彼女の暖かさをしっかりと伝えてくれた。「気イつけていってらっしゃい。早う帰ってね」。そして車が見えなくなるまで手を振る姿。きっと、彼女はずっとそれを続けてきたのでしょうね。それゆえ仲代達也演じる「私」がどれほど、光恵を愛していたかが思いきり伝わってくるんですね。「泣け〜!!」って言うような押し付けの感動ではなく、長い年月が積み上げた小さな幸せに包まれた家族の話なのですね。


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