2003/4/3号

ああ、どんどん記事が溜まっていく・・。ここで整理しておきます。
今回のイチ押しは感動作が2作品。どちらも泣けました・・・・。

北京ヴァイオリン  監督 :チェン・カイコー  出演:タン・ユウ、リウ・ベイチー、チェン・ホン
Together  2002年  中国映画
今週のイチ押し:中国の田舎町。13歳のチュンは父親のリウと二人暮し。死んだ母親の形見のヴァイオリンが得意で町の中でも人気者。しかし、チュンの才能を開花させたいと願う父親は北京でのヴァイオリン・コンテストにチュンを出場させる。金持ちにオベンチャラを使う体質のコンテストでは才能は二の次。チュンは最高の演奏をしたにも拘らず、5位という不本意な成績だった。しかし、息子の才能を信じて疑わないリウは北京に移り住みチュンに専属の教師をつけることに。また、チュンは近所に住む年上の女性にほのかな思いを寄せる。やがて、チュンのヴァイオリン技術が認められ、一流の教師の下で英才教育を受けられることになる。そんなチュンのために骨身を削り働き続けるリウの姿があった・・・・
私評:なぜ、ヴァイオリンを売ったんだ!?・・・中国の名匠チェン・カイコーが描く父と息子の感動的なドラマです。2人の絆はもちろん、彼らを取り巻く人々も暖かいハートの持ち主ばかりで、本当に心がポカポカと温かくなる映画です。そしてラスト、駅での怒涛のクライマックスは激しいヴァイオリンの音楽に乗せて、畳み込むような感動が押し寄せました。セリフはまったくないのですが、ヴァイオリンが全てを語るのです。この間、私の涙腺は緩みっぱなしで涙がどんどん溢れてきました。本当にステキな映画です。この映画はストーリーももちろん最高なのですが、音楽が映画の感動の大きな要因になっています。映画の中のステキなシーンには必ず、素晴らしいヴァイオリンの音楽がセットになっています。つまりこの映画は「聴く映画」でもあるのです。その楽器を奏でる「情熱」が画面からすごい力で伝わってきました。そして監督のチェン・カイコーの音楽に対する愛情もひしひしと感じられました。私にとって、忘れることができない映画になりました・・・。
アバウト・シュミット 監督:アレクサンダー・ペイン  出演:ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ
About Schmidt  2002年 アメリカ映画
今週のイチ押し:ウォーレン・シュミット66歳。彼は長年勤めた保険会社を引退した。妻には不満もあるが42年間連れ添ってくれた。娘のジニーは離れて暮らしているが結婚を間近に控えている。会社を去るとき、自分の中ではある種の達成感を持っていたが、彼はそれがあまりに無意味であることを知る。そんなある日、妻のヘレンが急逝する。あまりにあっけない最期。シュミットは改めて妻の存在の大きさに気づくが同時に彼女が抱えていた秘密までも知ってしまう。シュミットはTVで見たチャリティー番組を見てアフリカの恵まれない子供ンドゥグの里親となる。毎月$22を彼のために振込み、そして手紙を書くことが彼の仕事なった。そしてシュミットは妻と一緒に買ったキャンピングカーに乗り込み娘の元へと向かう。ところが、迷惑がられた彼は行き先を変更し一人旅を楽しむが・・・。そしてついに娘の結婚式の日がやってくる。彼は娘の婿がどうも気に食わないのだが・・・・・
私評:私は今日、どうしても言いたいことがある。どうしても・・・・人生の第4コーナーを曲がったとき、自分は果たしてどんな思いを抱くだろうか? 仕事から引退するとき、果たして大きな達成感を抱くことができるだろうか?この映画のシュミットはそれなりに努力を重ね、それなりに幸せだと信じていた。ところが、引退、妻の死、そして娘の結婚という大きなイベントが彼のプライドを、そして生きてきた意味さえもひねり潰してしまう。こんな辛いことってある??ところがこんな辛いお話をジャック・ニコルソンは面白おかしく見せてくれます。とにかくこの映画の一番の見所はジャック・ニコルソンの演技。もう、最高でした。アカデミー賞主演男優賞にノミネートも納得の演技です。また、この映画は演出も素晴らしいです。終始観客は「この先どうなっちゃうの?」というドキドキ感を抱かずにはいられないでしょう。そして娘の結婚式のスピーチは最高。ラストシーンでのシュミットが見せる涙の威力は強烈です。思わず私ももらい泣きでした。この映画は私が50になったとき、そして60を過ぎシュミットの歳に近づいたとき、また改めて見てみたいですね。きっと今以上の感動と衝撃があると思います。面白かった!!!
ブラック・ダイアモンド  監督:アンジェイ・バートコウィアク  出演:ジェット・リー、DMX
Cradle 2 The Grave  2003年 アメリカ映画
4人の強盗団がダイヤモンドの取引所を襲った。リーダーのトニーを中心に彼らは見事に仕事を終えた。彼らを雇い入れた謎の男の依頼はその金庫に眠る「黒いダイヤモンド」だった。同じ頃、彼らを雇った男の部屋にひとりの東洋人が現れる。彼の名はダンカン・スー。彼の狙いもやはり黒いダイヤモンド。しかし、黒いダイヤモンドはまた別の組織も狙っていた。強大な組織はトニーを脅迫し、しかも彼の娘を誘拐する。怒りに震えるトニーは仲間たち、そしてダンカンと手を組み組織の内幕へと切り込んでいく。そして黒いダイヤモンドの秘密を知るのだった・・・・・。
私評:「これは映画になるぞ!俺の役はメル・ギブソンが演じる」「じゃあ、俺は?・・・・・デンゼル!!」・・・めちゃ面白かったです〜。ジェット・リーもここ数作品は特撮に頼るシーンが多かったけど、今回はまさに『生身』のアクションシーンの連続。冒頭のホテルのテラスを降りるシーンは(たぶんこれはスタントマンだと思うけど)怖かったです。なんせ私は高所恐怖症なので・・。檻の中でのバトルロワイアルもカッコ良かったです。そしてDMXもすごいアクションに挑んでいます。中でも注目はオフロードのバギーでのカーチェイス。飛びます!とにかく最初から最後までアクションに次ぐアクションで見せ場が満載!やっぱりアクション映画はこうでなくちゃね!ストーリーがどうだとか、設定がどうだとか細かいことをいう輩には到底オススメできませんが、マーシャルアーツ、カーチェイス&大爆破でスカッとしたい人には超オススメ。私は大満足でした。 
スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする 監督:デイヴィッド・クローネンバーグ  出演:レイフ・ファインズ、ガブリエル・バーン
Spider  2002年 フランス/カナダ/イギリス映画
ロンドンのある駅に降り立ったデニス。彼は精神病院を出て、久しぶりに故郷の地へと降り立った。彼は社会復帰ができるまで彼を預かってくれる家を目指した。そこは彼同様精神に疾病を持つ男たちが、ミセス・ウィルキンソンの管理下で暮らしていた。彼は鞄から一冊のノートを取り出した。そこには彼の記憶の断片が書き連ねられていた。そして彼は町を彷徨い歩き、少年時代の記憶を探る。クモの話が大好きな母に「スパイダー」と呼ばれていたこと。配管工の父が通っていたパブ。そして娼婦のイヴォンヌ。突然姿を消した母親の居場所を彼は知っていた。それは冷たい土の中。いつしか家に居ついたイヴォンヌに制裁を加えるため、デニスは糸を張り巡らせる・・・・・。
私評:人殺し!2人がママを殺したんだ!!・・・前作の「イグジステンズ」ではグロイ世界を、その前の「クラッシュ」ではエロイ世界を演出し、彼独特の不思議ワールドを描き出したデイヴィッド・クローネンバーグの最新作です。今回は精神病の男の視点から過去を模索する。彼の目を通して見た過去の世界は、果たして事実なのか?それとも虚構の世界なのか??そしてまた、「なんで??」という疑問符を頭にたくさん残して映画はエンドクレジットに突入。ところが、後でよーく考えてみるといろいろな答えが見えてくるのです。この映画の原作は母親を殺され娼婦を連れ込んだ父親に少年が・・・という内容です。すごく単純。しかし、こんな原作にクローネンバーグが独自のスパイスを加えまくって映画は不思議な感動を呼び起こします。主演はレイフ・ファインズ。先日見た「レッド・ドラゴン」ではマッチョな殺人鬼を演じていたのに、今回はいつもビクビクして視点が定まらない男を怪演。そして彼の父親役はガブリエル・バーン。彼って良い人のイメージが強いのですが、今回はいやらしいキャラにチャレンジしています。最後にこの映画を見ていて、デニスがいつの時点から精神を病んでしまったのかを探ってください。
アントワン・フィッシャー きみの帰る場所  監督・出演:デンゼル・ワシントン  出演:デレク・ルーク、ジョイ・ブライアント
Antwon Fisher  2002年 アメリカ映画
アントワンは海軍の新兵。短気ですぐにけんかをしてしまうのが欠点。今日も同じ海軍の仲間の言葉にキレたアントワンは彼に殴りかかり、ついには上官から精神科のカウンセリングを受けるように命令される。ジェローム医師と会ったアントワンは頑なに心を閉ざし彼の心の闇を明かそうとはしなかったが、ジェロームの粘り強いカウンセリングで次第にアントワンは口を開く。彼の父親は彼が生まれる前に死んだこと、母親は刑務所の中で彼を生み、一度も会っていないこと。そして里親の下での不幸な少年時代。彼は愛を知らずに生きてきたのだ。ジェロームとの出会い、そして初めてできた恋人。彼の中で何かが変わり始める。そしてカウンセリングの締めとして、ジェロームはアントワンに母親に会う事を勧める・・・。
私評:「お腹は空いてる?」「腹ペコだよ」・・・・名優デンゼル・ワシントンが自らメガホンを握り作り上げた感動作。しかも、この映画は実話に基づいて作られています。(エンド・クレジットに全てが実話ではない旨が書かれています)2時間の映画の途中まではなんてことのない展開だったのですが、(というかちょっと眠かったのですが)後半に物語は大きく動きます。私はジェロームがアントワンに、なぜ家族に会う事を勧めたのかがその時点では理解できませんでした。恋人もでき、カウンセリングも終わったのに、なぜ過去の辛い思い出を掘り返すようなことを促すのか?しかし、その後の展開に明確な答えが用意されています。プライベートでも家族をとても大事にしているデンゼルならではの演出ですね。私はこのシーンを見ただけで大満足でした。主演はこの作品がデビューとなるデレク・ルーク。純真な青年役がピタリとはまる良い感じの青年です。そして精神科医のジェロームはデンゼルが自ら演じています。さわやかな涙を流したい人にはオススメの映画です。
プール  監督:ジョン・ポルソン  出演:ジェシー・ブラッドフォード、エリカ・クリステンセン
Swimfan  2002年 アメリカ映画
ニューヨークの郊外に住むベンは水泳選手として期待されているナイスガイ。恋人のエイミーとの関係も順調で順風満帆の高校生活を送っていた。ある日、ベンの高校にカリフォルニアからブロンドの美女マディソンが転向してくる。偶然の遭遇から夕食をすることになった2人。そして忍び込んだ夜のプールで2人は一線を越えてしまう。一度だけの火遊びのつもりでいたベンだったが、次の日からマディソンが奇妙な行動をとり始める。彼を愛してしまったというマディソンは、あの手この手でベンに近づこうとするが彼はかたくなに拒絶する。そしてマディソンの中で何かが壊れたとき、恐ろしいことが・・・・・。
私評:嘘でも良いから愛しているといって・・・・嘘だったら言ってはいけません!この映画はまさに「危険な情事」と同じ展開です。「危険な情事」でもそうでしたが、この映画の良し悪しはいかに悪女が恐ろしい演技をするかにかかっています。その点ではこの映画のエリカ・クリステンセンは最高でした。(トラフィックで麻薬に溺れるM・ダグラスの娘を演じたブロンド娘です)この映画の演出で彼女の表情の移り変わりをコマ送りで表現するシーンがあるのですが、そのときの顔の恐ろしいのなんのって・・。彼女の妙な色っぽさも見所ですね。マディソンに執拗に追われる男を演じるのは「チアーズ」のジェシー・ブラッドフォードです。ストーリーはちょっとしたどんでん返しもあり、最後まで一気に見ることができました。元々、好きなジャンルの映画ですしね・・・。マディソンが復活を遂げ、ジェイソン、フレディ、マイケル・マイヤーズと並ぶホラーキャラになるのでは?と密かに期待している私です・
リロ&スティッチ 監督:クリス・サンダース&ディーン・デュボア  声の出演:ダヴェイ・チェイス、ティア・カレル
Liro & Stitch  2002年 アメリカ映画
ハワイに住む少女リロは両親を亡くし、姉のナニと2人暮らし。同年代の子供たちとは馴染めずいつも友達が欲しいと思っていた。ある日、ナニはリロのためにペットを飼うことにする。そこでリロが選んだのは緑色の変な生き物。実はそれは宇宙からやってきた破壊を目的として作られたエイリアンだった。しかも、彼は星を逃げ出しお訪ね者になっていたのだ。しかし、リロはスティッチに心からの愛を注ぎ続ける。なぜなら、スティッチはリロのオハナ(家族)だから・・・・・。
私評:お友達をください。一番ステキな天使をください・・・・ディズニーアニメ史上最強のキャラクター?ハワイを舞台に育まれる少女とエイリアンの心の交流を描いた映画です。絵があまり可愛くないのですが、その辺はご愛嬌。ただ、私はリロとスティッチの関係よりもリロとお姉さんのナニの話が好きです。親を失い必死にリロを守るナニの姿が泣けましたね〜・・。そしてリロがエルビス・プレスリーを好きだという設定なので、彼の曲がすごく効果的に使われています。しかし、ラストはお決まりのハッピーエンディングで、安心して見ていられます。この映画でリロの声を担当しているのは「ザ・リング」でタマラを演じたデイヴィー・チェイス。そしてナニの声は「ウェインズワールド」のティア・カレル。彼女って実際の顔もナニに似ていますよね?


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