2003/3/24号

今、話題沸騰のドキュメンタリーをついに見ました。戦争が始まった今、
この映画を見ずして、何を見る??

ボーリング・フォー・コロンバイン  監督・主演 :マイケル・ムーア  出演:チャールトン・へストン、マリリン・マンソン
Bowling For Columbine  2002年  アメリカ映画
今週のイチ押し:1999年4月20日。コロラドの小さな町で少年たちはボーリングに興じていた。しかし、ボーリングを終えた少年たちは彼らが通うコロンバイン高校で銃を乱射し12人の生徒と1人の教師を射殺した。そして彼らは自ら銃を自分に向け悲劇に幕を下ろした。その日はアメリカが旧ユーゴスラビアのコソボ紛争における最大規模の爆撃を敢行した日でもあった。その事件をマスコミは勝手気ままに分析する。映画が悪いから、ゲームが原因だ、家庭の問題だ・・。しかし、マイケル・ムーアはそんな言い訳は戯言でしかなく、アメリカ社会がいかに病んでいるかを根本から問いただす。なぜ、アメリカだけが銃社会の悪夢から抜け出せないのか?そしてコロンバイン高校事件の数ヵ月後、ミシガン州フリントで今度は6歳の少年が6歳の少女を銃で射殺する事件が起こった・・・
私評:We are NO.1!!・・・・・皆様よくご存知のとおり、アメリカが先頭に立ってイラクのバクダットを攻撃したのが数日前。私がこの映画を見たのはすごく良いタイミングだったかもしれません。我々日本人は日々の生活の中で「銃」を恐れる事はほとんど皆無に等しいですよね。冗談で「オマエ、そんな事ばかりしてると刺されるよ」とは言うけど「撃たれるよ」なんて言いませんよね。しかし、アメリカは違う。それは銃を所持している人が多い事も原因?そしてその銃がいとも簡単に手に入る事も原因?そして身近なスーパーで銃弾が買えることも原因?しかし、アメリカは歴史上でも銃で政治を制してきたのです。今回イラクへの攻撃の仕掛け方は、この映画を見ていてまさにアメリカ人の(もちろん全員ではないでしょうが)根底に流れている気質がさせているような気がしました。マイケル・ムーアはかなりのリサーチを重ね、「なぜアメリカが??」という疑問を徹底的に追及していきます。そして後半部分でコロンバインの事件で被害にあった少年とKマートで売られている銃弾に対する反発、そしてコロンバイン、フリントの事件の直後に全米ライフル協会の集まりに参加したチャールトン・へストンに直撃ルポをするシーンは強烈なインパクトを残しました。
ヘブン  監督:トム・ティクヴァ  出演:ケイト・ブランシェット、ジョヴァンニ・リビージ
Heaven  2001年 アメリカ映画
イタリアのトリノの近代的な高層ビルに一人の女性が向かった。彼女の名前はフィリッパ。英語の教師だ。彼女は夫を死に誘い、そして彼女の生徒たちの麻薬を売りさばいた男に復讐をするため爆弾を男の部屋へと運んだのだ。しかし、不幸な事にその爆弾は掃除の女性により持ち出され、彼女と3人の親子が犠牲になってしまう。彼女は犯行声明を警察にしていたためすぐに逮捕されるが、そこで刑事たちの話を聞いて愕然とする。彼女の爆弾が罪のない人たちを殺してしまったからだ。彼女の取調べに立ち会った刑務官のフィリッポはそんな彼女に同情し、いつしか彼女を愛してしまう。そして彼女を逃がす計画を考え始める。それは彼のキャリアも、そして人生そのものを犠牲にする事を知りながら。しかし、彼は知っていた。彼女との出会いは運命であることを・・・・。
私評:私は終わりを待っているの・・・・極限の状況下で育まれる愛。それはあまりに純でいて、そして悲しい。悲しいエンディングを知りながらも必死に彼らは添い遂げようとする。こんな状況下でなければ・・・。映画を見ながら私は何度も彼らの運命の皮肉を呪いたくなった。もちろん、作り話ではあるのですが、この映画にはそんな事を思わせないリアリティが満ち溢れていました。その理由のいちばんはケイト・ブランシェットの演技ですね。彼女の悲しいほどに澄んだ瞳、そして強さと弱さが混在した女性を見事に演じていました。ラストシーンでヘリの乗り込む彼女の顔は忘れる事ができません。運命の人と出会い、そしてその事に満足しきったようなあの顔が・・。そしてジョバンニ・リビージがまた良いんですよ。彼の真っ直ぐで優しい感じがこのキャラクターにはピッタリでした。キェシロフスキの脚本の良さももちろんあると思いますが、この映画はトム・ティクヴァが完全に彼の映画として作り上げています。美しい映像も見逃す事はできませんが、それ以上に最高のストーリーてリング。ラストシーンは最高でした・・・。
モーヴァン  監督:リン・ラムジー  出演:サマンサ・モートン、キャスリーン・マクダーモット
Morvern Callar  2002年 イギリス映画
モーヴァンは21歳のスーパーに勤める女性。クリスマスの朝、彼女の恋人が自殺した。彼のコンピューターの中には「ごめん」と言う遺書と彼が書いた小説が残っていた。また、そこには彼の小説を出版社に送って欲しいと言う遺言も。彼女は誰かにその事を告げなければと部屋を出たが、結局誰にも告げずに戻ってきた。そして彼からクリスマスプレゼントを開けると、そこにはウォークマンと彼がモーヴァンのために作ったミュージック・カセットがあった。親友のラナとパーティに出かけバカ騒ぎをして気を紛らそうとするが、部屋に戻れば彼の死体が静かに横たわっていて、現実に引き戻されてしまった。そんな世界から抜け出そうと彼女は彼の死体を解体し、山に捨ててしまう。そして彼の遺稿も自分の名前に書き換え出版社に送る。彼が残した金を使いラナとスペインへと旅立つモーヴァン。・そして彼女は少しずつ強くなっていく・・・。
私評:I love you. Be Brave・・・・・この映画はいわゆるきれい事はまったく描かれていない。モーヴァンは「彼の死」から逃げるかのようにバカな事やとんでもない冒険をしていくのですが、すごく彼女の気持ちを汲み取れて私は面白かったです。でも、彼女の行動に嫌悪を抱く人もいるでしょうね。結局は金に絆されているところもあるし・・。しかし、こんな優柔不断でしかも姑息な女もサマンサ・モートンが演じると、深みが出るのです。サマンサといえば、衝撃的だった「アンダー・ザ・スキン」、めちゃ可愛かった「ギター弾きの恋」、そして「マイノリティ・リポート」でも印象的でしたが、今回のサマンサも今までのどのキャラクターとも違うのです。本当にすごい女優だと思いました。そして舞台はイギリスからスペインへと変わり、スペインではロード・ムービーになっていきます。そしてモーヴァンはある答えを見つけるのですね。しかし、それは映画で明確には語られていない、彼女の今までの人生を自分なりに想像してみなければいけません。果たして・・・。監督は「ボクと空と麦畑」のリン・ラムジー。「ボクと・・」では貧困を忘れるためにファンタジーな世界を想像する少年が主役でしたが、今回は恋人の死から逃れるためヘッドフォンの音楽に逃げる女と似たようなテーマではあるのですが・・・。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン  監督:スティーブン・スピルバーグ  出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス
Catch Me If You Can  2003年 アメリカ映画
高校生のフランクは父の倒産を境に、両親が離婚し彼自身も家を飛び出してしまう。彼は父親からもらった小切手帳を偽造し何とか金を手に入れていた。そんなある日、彼は颯爽と町を闊歩するパンナムのパイロットを見て、あることを思いつく。学生新聞の取材と称し航空業界の仕組みを知った彼は、ついには制服も手に入れパイロットに成りすました。そして彼はパンナムの小切手を偽造しまんまと金も手に入れる。世界中を飛び回るフランクはあちこちで小切手の詐欺を繰り返し、ついにはFBIが彼を追い始める。しかし、フランクは医者、弁護士と職を替え、FBIの追跡をかわす。しかし、ついに・・・・・。
私評:「月曜には戻って来いよ。」・・・・・まず、この映画でビックリなのが実話だと言う事。17歳の少年が職を替え、詐欺を続け250万ドルも手に入れたと言うのだからすごいですよね〜。彼の持ち味はその人柄と度胸。彼を演じるのがディカプリオです。16歳の少年を演じてても全然違和感がない!これってすごい!逆に実年齢に近い設定の方が違和感があるんです。今回はコミカルで、しかもカッコイイ詐欺師を見事に演じていました。彼を追うFBI捜査官がトム・ハンクス。しかし、今回はレオを持ち上げる脇役に徹しています。それでもやはり彼は素晴らしい役者です。フランクの父親役がクリストファー・ウォーケン!今回のアカデミー助演男優賞にもノミネートされていますが、日頃のアヤシイ雰囲気はなく息子思いの父親役がなかなかグッドでした。監督は名匠スピルバーグ。しかし、「A.I.」「マイノリティー・・」でも思ったのですが、以前のような畳み込むような展開がなくて、2時間20分がちょっと長く感じてしまった。面白い映画ではあるのですが、スピルバーグらしさがちょっと足りないのが残念でした。レオと一夜の相手をする美女役で「デアデビル」のジェニファー・ガーナーが登場。彼女もインパクトがありました! 


前回の記事も読んでね〜!



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