2004/3/28

今回は春休みという事もあり、家族向けの映画が多かった。
その中でもイチ押しは毛穴全開のアクションアニメと、大人のラブストーリーでした・・・

アップルシード  監督:荒牧伸志  声の出演:小林愛、小杉十郎太
appleseed  2004年 日本映画
今週のイチ押し:西暦2131年。非核戦争の直後。大戦を生き抜いた若い女性兵士デュナン・ナッツは突如、軍のヘリコプターに捕獲されてしまう。そこにいたのはヒトミと名乗る戦場には似つかわしくない女性と、デュナンのかつての恋人ブリアレオスだった。しかも、ブリオレオスは北アフリカの戦線で重傷を負い、体のほとんどが機械になっていた。デュナンが連れていかれたのは地球上での最後の理想郷「オリュンポス」。非核戦争では結局、どこの国も勝利できず、現在は「オリュンポス」が世界を統治していたのだ。しかし、デュナンはこの「オリュンポス」の人々の50%がバイオロイド(クローン人間)だと知らされる。彼らは人間の優秀な遺伝子から作られた、いわばサラブレッドだった。ヒトミもバイオロイドの一人だ。そしてこの街は巨大コンピュータと一握りの老人たちによりコントロールされている事を知らされる。ピュアな人間とバイオロイドの軋轢。そしてついにデュナンは「アップルシード」の謎に迫る。しかも、それに関わっていた人物とは・・・・??
私評:ヒトは欲望が続く限り、戦いを止めない・・・さすが、日本のアニメーションのクオリティの高さは行くところまで行っちゃった感じがしますね。今、公開中の「イノセント」には不満が一杯だった私の心を充足させてくれたのが、この「アップルシード」です。とにかくすごいのが全編を通したスピード感。キャラクターはいかにも、アニメのキャラクターなのですが、その背景、そして動きの一つ一つはすごくリアル。とにかく昆虫方ロボットとの戦いのシーンなんて手に汗をべっとりとかいてしまった。それくらいリアルなんです。しかも、ストーリーもすごく面白くて、主人公たちの抱く「怒り」「愛情」が彼らを怒涛のバトルへと突き動かしていく。その辺りの展開も嘘っぽくないのが良いですね。そして全編を通して響き渡るダンサンブルな音楽も、この映画の勢いを後押しする大事なファクターとなっている。原作は「甲殻機動隊」の士郎正宗。しかし、この作品はまったく違うテイストです。とにかく全編に渡って全力疾走のこの作品。アニメならではの面白さが詰まった作品です。 
恋愛適齢期  監督:ナンシー・メイヤーズ  出演:ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン
Something's Gotta Give  2004年 アメリカ映画
今週のイチ押し:御歳63歳のハリーは、いくつもの会社を経営するやり手のビジネスマン。その一方、この歳まで独身を通し恋愛も謳歌してきた。なんと30歳以上の女とは付き合ったことがないという。新しいGFはピチピチの女の子マリン。週末は彼女の母親、エリカの別荘でバカンスを楽しむ予定だった。しかし、思いもよらない事件が二つも起きてしまう。まずは、来るはずのなかったマリンの母親が別荘に現れ、ハリーを強盗と間違え大騒ぎ。そしてもうひとつの事件はこれからマリンと・・と思ったとき、急に胸が苦しくなり病院に担ぎ込まれてしまう。安静を言い渡されたハリーは別荘で養生をするようドクターに言われる。マリンが去った別荘はハリーとエリカが残される。最初は毛嫌いしていた両者だったが、しだいに打ち解け二人の距離が狭まっていく。一方、ハリーを担当したドクターは作家であるエリカの大ファン。彼も着実にエリカに近づいてくる・・・
私評:こんな気持ちは63年間生きていて、初めてだよ・・・・ジャック・ニコルソンって本当にすごいと思う。この映画では63歳にして独身のプレイボーイ。しかし、そんな役も彼だとピッタリ収まってしまうところが良いです。しかも、めちゃめちゃ笑わせてくれる。そしてジャック・ニコルソンに輪をかけて笑わせてくれるのが、ダイアン・キートン。50代も半ばを過ぎた女性でも、彼女はとてもチャーミングで、本当にかわいいんです。だから、キアヌ・リーブスが彼女を好きになるという設定も全然違和感がない。ステキな女性ですよね。私も彼らの年齢に達するまではもう少し時間があるけど、このまま独身で行く可能性が高くなってきた今日この頃、彼らのようにチャーミングなオヤジを目指して生きたいと思いました。何回も書きますが、この映画の基本はコメディ。とにかくジャック・ニコルソンとダイアン・キートンのやりとりは大爆笑です。中でも二人のベッドシーンは最高!!でも、二人の間に起こるこの爆笑の数々が、やがては二人の距離を縮め、そして・・・。そしてこの映画で注目はキアヌ・リーブス。彼がこの映画の中では一服の清涼剤になっているんです。爽やかな青年医師の役がピッタリでした。そして脇役にするにはもったいなさ過ぎるフランシス・マクドーマンと、健康的なお色気を振りまくアマンダ・ピートもグッドです!!監督は「ハート・オブ・ウーマン」のナンシー・メイヤーズです。
ヒューマン・キャッチャー  監督 :ヴィクター・サルヴァ  出演:レイ・ワイズ、ジョナサン・ブレック
Jeepers Creepers 2  2002年 アメリカ映画
どこまでも続く畑。父と二人の息子は罵りあいながらも仕事を進めていた。その時、案山子に化けていた「ヤツ」が次男を空へと連れ去った。同日、同時刻。試合を終えたバスケット・ボール・チームのバスが国道を走っていた。突然、タイヤがパンク。タイヤを調べると人骨で作ったと思われる手裏剣がタイヤに突き刺さっていた。またしても、「ヤツ」がやってきたのだ。コーチ、運転手と大人たちが次々と「ヤツ」の爪と牙の餌食となる。そして動かなくなったバスに「ヤツ」は攻撃を仕掛ける。ひとり、またひとりと生徒たちも空へ連れ去られていく。そんな時、無線が繋がった。そして彼らを助けに来たのは畑で子供を連れ去れた父親とその長男だった・・・・・・・
私評:そいつは死んだの?? さあ、俺には死んでいるように見えるぜ・・・この作品は前作のすぐ直後の話になります。23年ごとに23日だけ生き返る「クリーパーズ」は1作目で空に飛び立ち話が終わってしまったが、この映画では23日目の話になります。1作目ではなかなか正体を見せなかった「クリーパー」も今回はバンバン登場します。これは続編ならではでしょう。しかも、1作目は「都市伝説」からなる不気味な雰囲気が売りだったが、今回は完全にホラーアクションに徹している。それゆえ1作目が苦手な人でも、とっつき易い作品になっていると思います。また、今回は息子を浚われた父親VSクリーパーズという構図もあり、どうやってヤツを倒すのかも楽しめる。登場人物に有名人はいません。唯一、親父役で「ツイン・ピークス」でローラ・パーマーの父親を演じたレイ・ワイズが登場。コッポラは今回も製作総指揮で、監督は前作同様ヴィクター・サルヴァ。ホラー映画ファンは、やっぱり押さえておかないといけない1作でしょう??しかし、この邦題って・・・(絶句)
ホテル・ビーナス  監督 :タカハタ秀太  出演:草g剛、中谷美紀、市村正規
The Hotel Venus  2004年 日本映画
最果てのある街に喫茶店カフェ・ビーナスがあった。その奥にはホテル・ビーナスという心に傷を負い人生に挫折した人々が住むホテルがあった。0号室のチョナンはカフェのウエイター兼ホテルの世話係。住民の食事の世話をしているが、彼も過去のある事件を引きずりながら生きていた。1号室は元腕利き医師のドクター。しかし、彼も今は酒に溺れていた。そして彼の再生を信じて、ホステスとしてドクターを支えているワイフ。3号室には花屋になることを夢見てこの地にやってきた夢見る少女ソーダ。4号室には強くなる事だけに執着しピストルを手放さないボウイ。そして彼らを見守るのは、このホテルの女主人ビーナス。ある日、このホテルに一人の中年男と少女が流れ着く。そして二人は2号室の住民となる。しかし、この二人の存在が住民たちの心のバランスを少しずつ揺るがしていく。そしてついに住民たちが自分の過去について口を開く時がやってくる・・・・・
私評:この映画はNTV系の深夜番組からスピンオフして作られた映画。韓国語が話せる草g剛が主演の全編韓国語の群像劇です。アイドル主演の軽い映画だとばかり思っていた私は、この映画の独特の雰囲気に固唾を呑んだ。125分という上映時間の中で、ホテルの住民の人生がとても丁寧に描かれています。心にささくれを持つ住民たちが、互いの傷を舐めあい、そしてぶつけ合う事で「希望」という2文字を見出していく。それらがとても上手く描かれていました。草g剛は決して上手い役者だとは思わないけど、彼の持つ清潔感、真面目そうな感じがこの物語のチョナンとピッタリ。そして住民の中でも日本人のドクター役の香川照之、中谷美紀、そしてこのホテルのオーナー役の市村正規(なんと映画初出演!)が見事です。韓国からの出演者は知らない人ばかりですが、彼らも映画の雰囲気にすごく溶け込んでいて良かったです。きっと、登場人物の内の誰かと心を通わせる事ができるのでは??私はやっぱりドクターとワイフの話が良かった・・。あと、この映画はすごく音楽がいいです。Love PsychedelicoのEverybody need somebody が良いですね〜。そしてインストゥルメンタルで掛かるSMAPの「夜空ノムコウ」も・・・。
クイール  監督:崔洋一  出演:椎名桔平、小林薫、寺島しのぶ、香川照之
Quill  2004年 日本映画
ある朝、5匹の子犬が産まれた。お腹に斑のある一匹が盲導犬として生きることになった。まず、彼はボランティアで子犬を1年間だけ育てるパピー・ウォーカーの元へと送られた。京都に住む仁井夫妻によって、「クイール」と命名され愛情たっぷりに育てられた。そしてあっという間に1年が経ち、クイールは本格的な盲導犬の教育を受けるため訓練センターに入れられる。訓練士の多和田はクイールを時には優しく、そして時には厳しく教育する。そしてついにクイールが本格的な盲導犬として活躍する日がやってきた。元々、盲導犬を毛嫌いしていた渡辺だ。一度、クイールと歩いた事によって、今回の決意をしたのだ。人間と犬とが一緒になって行う訓練が開始される。しかし、なかなか息が合わない渡辺とクイール。ところが、彼らの間には思わぬところで深い愛情が芽生える。そしてクイールが渡辺の目となり、歩き続ける日々が・・・・・・・
私評:クイールさん、カッコイイね〜。立ってみて。いや〜、足が長いね〜・・・。まるで、学校の授業で見ているかのような、実に勉強になる映画でした。最近では、ホテルやレストランでも盲導犬の受け入れが常識になってきたので、彼らを知るためにもすごくタイムリーな映画かもしれない。盲導犬と視覚障害者はまさに一心同体。彼らの気持ちのやりとりも、詳細に描かれていて、思わず「なるほど」と膝を叩きたくなるシーンが幾つもありました。この映画を見ていてすごく不思議だったのがキャスティングです。椎名桔平、小林薫、寺島しのぶなど、とても癖のある役者が普通の人を演じているのは、監督の狙いがあるのでしょうか?そして訓練場の教官でひと際スタイルが良い黒谷友香も、考えてみれば不思議なキャスティングかも??しかし、この映画の主役は人間ではなくて「クイール」自身。この犬が上手い演技をするんですよ・・。まあ、その良いショットをとるために廻したフィルムの量はハンパじゃないみたいですが・・・。また、私は犬を飼っていたことがあるので、犬の可愛さがメチャメチャ伝わってきて・・・
ドラえもん のび太のワンニャン時空伝  監督:芝山努  声の出演:大山のぶ代、小原乃梨子
Doraemon 25  2004年 日本映画
のび太は川で溺れていた仔犬を偶然助ける。家では犬が飼えない事を承知で家に連れ帰ったのび太は「ワン」となく犬に「イチ」という名をつけた。すっかり仲良しになったのび太とイチ。しかし、捨てられていた動物はイチだけではなかったのだ。ドラえもんのアイデアで人間が誕生する前の地球(3億年前)に動物たちを連れて行くことにし、いつものメンバーが集った。のび太はイチに「進化退化放射線源」を浴びせ人間の言葉を理解させると、この地で生きていく術を教え込んだ。そして明日また来ると約束して、この地を去った。翌日、ふたたびイチに会おうとタイムマシーンに乗り込んだ一行は時空間のねじれに巻き込まれてしまう。そして辿りついた町は犬や猫たちが暮らす、高度に文明が発達した国だった・・・・・
私評:ボクたちはいつまでも友達だよ・・・・今年で25周年を迎えた「大長編ドラえもん」。私は半分も見ていませんが、ここ数年はしっかり映画館で見ています。ドラえもんはもちろん子供たちが大好きなアニメのキャラクターですが、最近の子供映画は子供だけを喜ばすだけに留まらず、大人たちにも大きな感動を与えてくれます。まあ、親子で楽しめれば動員数も伸びるしね。今回も最後の最後で大人たちは号泣の展開が待っています。ところが、今回はその展開はいかにも「泣け〜!!」と言わんばかりに気合が入っていて、この雰囲気に呑まれた大人は本当に号泣していました。普段なら私もつられて涙・涙になるはずだったのですが、私は泣けませんでした。と言うのも、今回は「みんなを泣かしてやろう!」という作り手の魂胆が見え見えで、あざとい感じがしてしまったんですよ・・。そこまでの展開はすごく面白かったのですが、涙がこぼれない私はそこで失速・・・。まあ、こういうこともありますよね。しかし、同時上映の「パーマン」は最高でした。とにかくこちらは笑える!!しかし、それだけに留まらないのがこの映画の面白いところ。こちらの作品も高々と「友情」というテーマを掲げ、硬くなりすぎず、そして爽やかに感動できる映画になっていました。さすがはパーマン!!
ブラザー・ベア  監督 :アーロン・ブレイズ、ボブ・ウォーカー  声の出演:東山紀之、森光子(日本語)
Brother Bear  2003年 アメリカ映画
はるか昔のこと。この世は魔法で満ちていた。イヌイットに暮らす3兄弟シトゥカ、デナヒ、そしてキナイは、元気一杯の兄弟。その日はちょっと向こう見ずの3男キナイに彼のスピリットであるトーテムポールが与えられる日だった。男らしいスピリットを期待していたキナイに与えられたのは「愛」をモチーフにした熊だった。ひょんな事で熊を追うことになったキナイは、間一髪のところを兄のイヌイットに助けられるが、彼の替わりに兄が命を落としてしまう。復讐のためクマ退治に出かけたキナイはそのクマを殺すが、グレイト・スピリットの魔法により、彼はクマに姿を変えてしまう。ふたたび人間に戻るにはスピリットが降りる山を探さなくては・・。そんな時、小グマのコーダが彼に近づいてくる。母親とはぐれてしまったコーダはキナイを旅の仲間に選んだのだ。しかも、コーダはスピリットの降りる山を知っているという。しかし、キナイの2番目の兄デナヒは、キナイがクマに殺されたと勘違いし、キナイを追いかけてくる。しかも、キナイが殺したクマはなんとコーダの母親だった・・・・・・・
私評:このモンスターは本当に怖いんだ。棒でボクらを虐めるんだ・・・・ディズニーらしい、手書き風のアニメと最新のCGが合体。これがディズニーらしさで私はすごく好きです。今回も人間や動物たちは2次元のアニメなのに、背景の大自然などはすごい迫力のCG。そしてこの映画のテーマは「愛」。動物も人間も心を通わせ、互いに愛する事ができるのでは?というテーマ。この映画の中でもキナイとコーダが心を通わせる展開は、心温まる展開で、なんだか顔の筋肉が緩んできてしまった。しかし、今回どうしても納得行かないのはオチです。キナイはあれで良かったの??私にはどうも理解できないのですが・・。今回も私が見たのは吹き替え版。キナイ役は東山紀之。そして東が出れば、セットで付いてくる森光子が部族のシャーマンの役で登場します。しかし、この映画の音楽はやはりオリジナルで聴きたかった・・。フィル・コリンズはつたない日本語でテーマ曲を歌っているし、ティナ・ターナーが歌っている曲を吹き替え版では天童よしみが歌っているんです・・。やはり、オリジナル版のほうが良いでしょう??


前回の記事も読んでね〜!



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