今回はメージャー系の映画はありません。 でも、本当に見たい映画ってこういうジャンルかもしれない・・・
1970年 : アメリカ映画
監督・主演: ジョン・カサベテス
主演 : ベン・ギャザラ、ピーター・フォーク
ハリー、ガス、アーチーはともに40代の男。郊外に家を持ち妻子を抱えている。
しかし、彼らの仲間の一人の死が彼らの中にくすぶっていた何かに火をつけた。
「今日は酔っ払うぞー!」3人は夜通し飲みつづける。 人生への不平不満を
爆発させながらもお互いの友情を再確認する三人。 翌日、ハリーは一度自宅に
戻るが、そこで妻に言われた一言が彼を完全に破壊した。「あなたといると息苦しい」
パスポートを手にしたハリーは二人にロンドンに行くと言う。ハリー一人をロンドンに
やる訳にはいかず、とりあえずロンドンへ付き合う羽目になる二人・・・。
私評:なんだか、すごい映画を見させられた。カサベテスが一番愛着がある映画と
この作品を語っていたと聞いて、なるほどと思った。 これでもかと言うくらいクドイ
演出も、本来なら鼻につくはずなのに画面に引き込まれてしまった。主演の3人の
計算し尽くされた即興(?)が素晴らしい。また、要所に出てくるセリフがとても
心に響く。「人生に友情ありき」。数日間をずっと一緒に過ごし、絆をいっそう
強めて行く「ハズバンズ」の軌跡が、なんとも言えなく気持ちが良かった。この日私は3本のカサベテス映画を見た。
「ミニーとモスコウィッツ」「愛の奇跡」。 ハリウッドのメージャーとは一味もふた味も違う、NYインディーズの
映画は、古い映画なのに新しい映画との出会いだった。
1995年 : アメリカ映画
監督 : マーク・ラパポート
主演 : メアリー・ベス・ハート
オットー・プレミンジャー監督の『聖女ジャンヌ』のオーディションで18、000人の
中から選ばれたシンデレラガール、ジーン・セバーグ。彼女の50年代から70年代に
かけての波乱万丈の人生を女優M・B・ハートがジーンに扮して検証する。彼女自身の
演技、ゴダールとの出会い、そしてかの有名な「勝手にしやがれ」の出演。同時代に
活躍した女優ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレイヴとの確執。黒人革命家たち
との噂、そして謎だらけの死。あまりに有名でスキャンダラスな彼女の人生に迫る・・。
私評:この映画はセバーグ自身の私的映画論スタイルをとった映画です。彼女の人生、そして
作品についてジーン自身の口から語ると言った形式。メアリー・ベス・ハートがまたジーンに
よく似ているので、すごく説得力がある。ヌーヴェルバーグを代表する女優だが、彼女は
自分自身の演技に、そして扱われ方に不満を抱いていたらしい。私自身は「勝手にしやがれ」
の彼女のイメージがめっちゃ強い。しかし、銀幕の中のヒロインは私生活ではなんとも
波乱万丈な人生を送っていたんですね。男性遍歴もまた、華やか。 クリント・イーストウッド
との秘め事は本当なのだろうか? 最後までスキャンダルを撒き散らし去っていった彼女の生涯を
覗く、この映画はファンならずとも楽しめる作品だと思いますよ。
1997年 : 中国映画
監督 : フー・ピンリウ
主演 : パン・ユィ、パイ・シュエユン、スン・ミン
広東で一人暮らしをするアーシーは一見わがままな老女。息子夫婦との同居を心から
望んでいるが、息子は忙しすぎてそれどころじゃない。 今までアーシーについた
お手伝いは、みな逃げ出してしまった。しかし、今度のお手伝いシェンはちょっとやそっと
じゃへこたれない。だんだんとアーシーとの距離を縮めて行った。 ある日、アーシーは
シェンを連れてふるさとの村を訪ねる。しかし、村は変貌しており目印だったガジュマルの樹
もなくなっていた。そしてこの田舎町でも若者は街に出てしまい老人だけが残っていること
を目の当たりにする。広東でもアーシーの友人が老人ホームに入れられてしまう。
私評:どこの国でも老人問題はあるんですね。家族の絆が多忙な生活の中でだんだんと
薄れて行く。もちろん日本でも身近な問題だ。そんな風景を真正面から捉えている。
話し自体は、日本の昼メロにでもありそうな題材なんですが、現代中国の生活を見れた
のはなんともうれしい。中途半端に近代化が進んだこの国の生活は、文明の機器と
古臭さが共存する不思議ワールド。 ラストで息子と一緒に彼の幼い頃の写真を
見るシーンは好きだな。また、中国の田舎の美しく明るい田園風景と対照的に暗く、曇り空の都会の描写が
なんとも言えなく・・・。