今回は2週間で6作品。 ペースが落ちてきてる・・。
1999年 : イギリス映画
監督 : ジャスミン・ディズダー
主演 : エディ・ジャンジャーノベィテ、ギルバート・マーティン、リンダ・バセット
スティーブ・スィーニィ、ダニー・ナスバウム
舞台はロンドン。いくつかのエピソードが起きた。バスの中で偶然出会った
セルビア人とクロアチア人の元兵士。ロンドンに来ても彼らの戦争は終わって
いない。 いきなり殴り合いを始め二人とも病院に収容されるが、なんと同室に
入れられてしまう。 ロンドンで生活保護を受けようとするボスニア難民の男。
しかし英語がつたないので、役所でコミュニケーションができない。トラブルから
病院に入れた彼は、そこで働く上流階級の娘と恋をする。 ジャンキーなフリーガン。
ロッテルダムまでイングランドの応援に行くが、地元のファンと喧嘩を・・。中の
一人は空港に逃げたものの、荷物の上で居眠りを・・。 気がつくとそこはボスニア。
他、2つの話しから・・・。
私評:この映画は逃げてきたボスニアの人々と彼らを受け入れた
イギリス人の交流がメインのテーマです。 しかし、国や環境は大きな問題ではない。
もちろん、ボスニアで流された大量の血は笑って済ませられる事ではないが、この
映画だけに限られば、人と人の交流をほのぼのとコミカルに描いている。そして
国は違っても、みんなハッピーになりたいと思っているし、笑っていたいと思っている
んだと言うのが、この映画の答えです。人を幸せにできる人、人に笑顔をあげらる人
を「ビューティフル・ピープル」て言うのではないでしょうか。ラストの赤ん坊のアップのシーンは
生まれてくる小さな命に、そんな大切な事を伝えてあげたいという監督の気持ちでしょうか?
1999年 : アメリカ映画
監督 : ポール・トーマス・アンダーソン
主演 : ジェイソン・ロバーツ、トム・クルーズ、ジュリアン・ムーア
ジョン・C・ライリー、ウィリアム・H・メイシー他・・
LA郊外、晴れのち雨。 南東の風・・・。いつもと変わらぬこの街にうごめく人々。
死を目前にしたプロデューサー、そして彼に懺悔をする若妻、そして彼を献身的に
看護する看護人。 彼には昔捨てた息子が一人いた。 息子はセックスカウンセラーの
教祖。父の様態を聞かされ、恨んでいたはずの父に会いに出かける。TVでは天才少年と
大人たちのクイズ番組が・・。その中の天才少年は、自分の価値観を自分に問いかけて
いた。番組の司会者は、実はガンを宣告されており、今日もフラフラになりながら番組
を進行していた。 彼には一人娘がいたが彼女にはひどく憎まれている。なぜ?
そんな彼女はドラッグ漬け。しかし、彼女に一目惚れした警官がいた。TVを
見ていたのは昔、この少年のように天才と謳われた男。 しかし、雷に撃たれて以来・・。
運命の糸に引かれるように彼らは少しづつ距離を狭めて行く。 一夜にこんなに偶然が
重なる事だってありうる。そして全ての登場人物が遭遇する、とんでもない事件とは??
私評:あらすじを書くのにえらく時間が掛かってしまった。複雑に絡まった人間関係が少しずつほぐれ出すと
話しは一つの終局に向かっているかのように見えた。突っ走りすぎた彼らのブレーキとなったのが「アレ」
ですね。でも、オープニングの話しがあまりに奇想天外だったから、ラストの事件がめちゃめちゃ突拍子も
ない事件でなくてはならないと思っていたので、どう締めくくるのかがとても楽しみだったけど、「こう来た
か〜!!」と妙に感動してしまった。私的にはぶち切れた演技のジュリアン・ムーアが好きでした。トム・
クルーズは良い役者になってきましたね。今回のカリスマ的教祖の役は、なんだかピッタリだった。そして
このメンバーの中では目立たないけど、看護人役のフィリップ・シーモア・ホフマン。 彼の笑顔と涙が
印象的だったな〜。
1999年 : 日本映画
監督 : 森本功
主演 : エドワード・アタートン、鈴木保奈美、中田喜子、蟹江敬三
京都の大学で日本文学を学ぶ、「僕」はスイスからの留学生。周りからは
「ガイジン」扱いをされていて、いい加減うんざりしている。そんなある日、
「僕」は盲目の女性、京子のための対面朗読の仕事を得た。つまり、目の見えない
彼女に本を読んで聞かせる仕事だ。感性の豊かな京子は「僕」の語る物語に
没頭し、そして二人はそれぞれの意見を述べ合った。しかし、目の見えないはずの
彼女の方が「僕」より遥かに、人を見る目を持っていた。 二人の思いは日を追う
ごとに深まって行った。そしてついに二人は結ばれる。愛が深まっていく。
この幸せはいつまでも続くと思っていた・・・。
私評:カメラって不思議ですよね。日頃、見慣れたものでもフィルターをかけると
違って見える。この映画はまさに、そんな映像です。舞台の京都はご存知の通り
日本の古き良き情緒がたくさん残った町。それを外人の目を通して見直すと、また
日本の良さが見えてくる。枯れ山水の庭、雨といを伝わりきらきらと光る水、夕日に
映える障子、行灯の明り。美しい映像だけで、この映画は価値があると思います。
しかし、ガイジンが撮ると日本って本当に違う国のようだ。 リドリー・スコットの「ブラック・レイン」でも、大阪
の街は異様に違って見えたが、この映画も監督は日本人ですがカメラはピーター・ボロッシュというガイジンです。
1999年 : アメリカ映画
監督 : ランド・ラビッチ
主演 : ジョニー・デップ、シャーリズ・セロン、ジョー・モートン
クレア・デュバル、ニック・カサベテス
NASAの宇宙飛行士スペンサーは、美しい妻を地上に残しスペースシャトルで
宇宙に飛び立った。 宇宙ではシャトルから離れ宇宙空間での任務があった。その
時、突然シャトルとの交信が途絶えた。 空白の2分間。NASAの必死の努力に
よって、スペンサーとパートナーのアレックスは地球に帰還した。奇蹟の生還を
喜ぶマスコミ、そして友人たち。 しかし、妻は彼の微妙な変化に本能的に気が
ついていた。それは自分の思い過ごしのはず・・。そして彼女は妊娠、しかも双子を
宿した。ついにスペンサーは本性を現し始める。彼は一体何者なのか??
私評:けっこうミエミエのストーリーなんですが、それはそれでけっこうオモシロイ
宇宙版「ローズマリーの赤ちゃん」と言われる通り、正体不明のものを宿した
妻の恐怖、そして神経をやられて行く様を演じるシャリーズは演技派ですね。
でも、この役どころは「ディアボロス」で経験済みか?怪しい雰囲気のJ・デップ
も良い感じでした。色んなSF映画のおいしいシーンをパクッテいたので、映画を
見ながらそれを探すのも面白いかも?? とりあえずジョニー&シャーリズの美男美女を見るだけで価値あり!
1999年 : 日本映画
監督 : 黒澤清
主演 : 役所広司、風吹ジュン、池内博之、大杉漣、洞口依子
刑事の藪池は今日、人質を取って立てこもった犯人から謎のメッセージを受け取る
「世界の法則を回復せよ」。その直後、人質は頭を打たれ死亡。犯人も警官に撃たれ
死亡した。事件後、休暇をとらされた藪池は一人、森に足を踏み入れる。 そこで
出会った一本の木。 この森はこの弱々しい一本の木から分泌される毒により、滅びの
道を歩んでいるという。この木を必死に守ろうとする青年。森を研究している植物学者
の女とその妹。この木を手に入れようとする謎の組織。 そして金に釣られ、組織の
手伝いをする労働者たち。 複雑な人間関係。 森の共存と人々の共存・・。いつしか
この木(カリスマ)と同化した藪池が導き出した答えとはなにか?
私評:私にはむずかしい映画です。ただ見ていても、何の答えも導き出せない。
淡々としたスト−リー、抑揚のない会話、途中までは謎ばかりでどう言うエンディング
を迎えるのか、さっぱり見当がつかない。 しかし、後半の30分くらいで俄然、話が
盛り上がってくる。入り乱れる人々。カリスマは森だけでなく、人々をも狂わせ滅ぼす
のか? この映画に関しては、特に色んな人の意見を聞いてみたい。つまらないという
人がめっちゃ多い中、けっこう楽しんでた私。また、私の好きな女優が二人も出ているのがうれしい。洞口依子は、特に
お気に入りの女優です。しかし、役所広司は本当に日本を代表する男優になっちゃったな〜。
1996年 : イタリア映画
監督 : アウレリオ・グリマルディ
主演 : マルコ・ガヴィッキーオ、ルチア・サルド、ヴィンチェンツォ・クリヴェッロ
一人の詩人が2等列車で旅に出た。彼の独特のこだわりで安列車の人々を眺めるのが
好きだからだ。 そして辿りついたシラクーザの街。一人街を歩いていた彼は海岸で
サッカーに勤しむ青年立ちに目を付ける。夜の帳が下りる頃、青年たちは一人一人、
呼ばれて・・。 ローマに帰った彼を訪ねて来たのはヴァレリオとう23歳の青年。
卒論のテーマを彼にしたという。 しかし、それは真っ赤の嘘で、ただ短に詩人のコネを
利用するためだった。それを見抜いた詩人は便宜を図る代償として・・。
そして彼の人生の終焉を迎えるべく、物語は進んで行く。
私評:イタリアの名(迷?)監督、ビエル・パオロ・パゾリーニの人生の後期を描いた作品です。
名声を得ていた時代でなく、いわゆる落ちぶれた時代の彼は惨めだ。彼の死はそれ以上に
惨めだが、当時を知る人には彼らしいと言われている。彼の死後、彼の残した作品は賛美と罵声の
両方を浴びながらも、今の時代でも生き続けているのだから、たいしたもんです。 この映画はと
言うと、白黒の画面がなんとも言えなく美しい。カラーでは出せない良い味わいがある。そして
怪しいアコーディオンの音楽。(あまりに淡々としすぎている感もあるが・・)映像がめっちゃ
雄弁なのに、ナレーションが多すぎてそれを読むほうが大変。また、それがイタリア語だから余計に鼻につくのが
たまに傷。翻訳もかなり「きわどい」セリフが多くて(直接的な表現が多い)大変だったと思います。主演の詩人(
パゾリーニ)役の人が、キングトーンズのボ−カルのおじさんに見えてしまったのは私だけではないはず・・。
1999年 : アメリカ映画
監督 : ティム・バートン
主演 : ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ、リサ・マリー
クリストファー・ウォーケン、キャスパー・ヴァン・ディーン
19世紀の幕開けを目前に控えたNY。市の警察に働くイカボッドは郊外の村
スリーピーホロウに派遣される。最近、この村では連続して殺人が起こっており
被害者は皆、首を切られしかも、首を持ち去られていた。村の長老たちは、一連の
殺人事件の犯人はは「ドイツ人騎士の幽霊」と信じ込んでいたが、科学的捜査を
身上とするイカボッドは耳を貸そうとしなかった。しかし、彼は自分の目で幽霊を
目撃してしまう。しかも伝説通り「首のない」騎士が・・。彼は被害者の一人の息子を
助手にし、また、村の長老の娘カトリーヌの協力を得て、「首なしの騎士」の謎に挑む。
私評:T・バートンらしい遊び心いっぱいの映画でしたね。ジョニー・デップの
イカボッドはまさにはまり役。 ちょっとドジで気が小さいと言ったキャラをコミカルに
そしてキュートに演じていたと思う。また、クリスティーナ・リッチがカワイイ〜!!
あのスキっとした顔のラインは、減量したんでしょうね。二人は最高の配役だった
と思う。それとイカボッドの少年時代の回想シーンに登上するリサ・マリーがすごい、
インパクト。 登場シーンは少ないけどオイシイ役どころでした。C・ウォーケンのギザギザの歯も印象的。
この映画の製作総指揮はF・F・コッポラ。 夜道を馬車で走るシーンとかは彼の映画「ドラキュラ」の
テイストを感じたのですが・・。 R-12の指定なんでやたらと首がポンポン飛びますが、コミカルなんで
良いんじゃないかな? 娯楽作としては秀作です。