2001/2/5号

今回も2つの一押し作品が。本当は「ハムレット」も入れて3つにしたかったんですけど・・。
こんなにたくさん見ているのにまだ、見てない映画がいっぱいある・・・。

リトル・ダンサー  監督:スティーブン・ダルドリー 主演 : ジュリー・ウォーターズ、ジェイミー・ベル
Billy Elliot  2000年 イギリス映画
今週のイチ押し作品!イングランド北部の炭坑の町。母を亡くしてスト中の父と兄、そしてボケたおばあちゃん世話をしながら暮らすビリーは11歳。 ある日、ボクシング教室の隣で行われていたバレエ教室を見て、彼は訳の分からない魅力に引き込まれてしまう。そして父親に内緒で始めたバレエのレッスン。 しかし、彼はとんでもない才能を秘めていたのだ。彼の才能を見ぬいた、バレー教室の先生は、ロイヤルバレエ学校の推薦試験を受けるよう薦めるが・・・  

私評:先が見え見えで、どんなエンディングが待っているかを分かっていても物語にドンドン引き込まれていってしまった。もちろん一筋縄では行かないけれど、ビリーの努力、家族の援護、そして周りの人々の応援・・。 この展開をどう感じるかでこの映画を楽しめるかどうかが分かれてしまうと思います。 ひねりを期待しちゃダメですよ。 Tレックスをはじめとする懐かしのブリティッシュロックが耳に心地良い。 そしてその音楽に乗って物語がどんどん進んで行きます。このテンポも私は快感でしたね〜。 主演のジェイミー少年は素晴らしいの一言。 少年期のもやもやした気持ちを爆発させるために怒り、走り、そして踊る。 ストレートな気持ちがビンビン伝わってきた。 私も彼くらいの年のときに、野球に熱中して日々ボールを手放さなかった時期があった。 両親も野球と言うことで、「男の子なんだから思いきりやれ!」と奨励してくれた。 しかし、野球じゃなくてバレエだったらオヤジは何て言っただろうか? 心から奨励してくれただろうか? 今なら男性がバレエをすることに何の偏見もないけど・・・。 主人公のビリーと自分を重ねてみる人は多いと思います。 また、彼のように情熱をぶつける何かがある人(もしくはあった人)にはパワーをくれる映画だし、何もないダラダラと過ごしている人には、きついパンチをくれる映画だと思いますね。 観終って、清々しい気分になれました。

写真家の女たち  監督 : オードリー・ウェルズ   主演 : サラ・ポーリー、スティーブン・レイ
Guinevere  1999年 アメリカ映画
今週のイチ押し作品!ハーパーは裕福な家庭に育ち、堅物で面白くもない家族たちに囲まれ生きてきた。ハーバード大学の法科に合格したものの、まったく行く気が起こらない。そんな時、彼女は姉の結婚式で出会った一人の年配の写真家に興味を持つ。そして次第に彼の魅力に惹かれ大学を捨て、彼との生活を選んだ。彼の家に転がり込んだハーパーに課せられた条件は一つ。「何かを創り出せ! 絵画、写真、小説なんでも良い・・」。彼女は写真の道を選び彼の手伝いを始める。 しかし、彼の過去には、ハーパーと同じような女性が何人もいることが分かって・・・・。
私評:原題のGuinevereとはアーサー王伝説に登場する女王の名前。写真家のコニーがハーパーをこう呼んでいた。アメリカ版「痴人の愛」みたいな映画だと思っていたのですが、ちょっと違った。 この映画のコニーは過去にも女性たちを愛し、そして芸術のインスピレーションを与えてきた。 しかし、彼の目的は定かではない。 もちろん、彼女たちに愛されることを望んでいるけど、いつか自分の元を去っていくことも知っている。 そして彼にインスパイアされた女性たちは・・・。これ以上は言えない! でも、彼の引き際がすごく理解できて、同情してしまった。主演のサラ・ポリーは良いですね〜。 陰でミニ・ユマ・サーマンと呼んでいます。(笑) 彼女がただのつまらない少女から、女に脱皮していく様を上手く演じています。 そして写真家役はスティーブン・レイ。 さえない風貌の中に秘めた、不思議な魅力を持った男役なのですが、彼に女性たちが惹かれるのも納得できる。ただの、スケベオヤジじゃないんですね。 この配役はピッタリでした。 でも、過去の女たちにとって最期まで特別な男でいられた彼は、男にとっては羨ましい限りです。そしてコニーの過去の女(?)のひとりが、ジーナ・ガーション。 今回は完全に脇役ですが、彼女も良かったです。 ラストシーンでハーパーが描くイマジネーションの世界が、とてもステキだった。 
あなたのために  監督 :  主演 : ナタリー・ポートマン、アシュレイ・ジャッド
Where theHeart Is  2000年 アメリカ映画
私評:裏切られることに慣れてしまい、人を愛することに臆病になった事がある?? ノヴァリーは臨月も近いというのに、彼氏と一緒に新世界を目指して家族の元を去った。 しかし、立ち寄ったオクラホマのショッピングセンターで彼女は置き去りにされてしまう。仕方なくショッピングセンターを根城にした彼女は、そこで子供を出産し一躍時の人になる。 そして彼女はオクラハマに住むことに。 そこで出会った人々の愛情に触れ、彼らとの関係の中で見失っていた大切な「人と人との信頼」を取り戻して行く・・。 実の母親は彼女の子供を抱いても、金を巻き上げてさっさと姿を消してしまうし・・(この役はサリー・フィールド!!) ことごとく家族に裏切られつづけてきた彼女にとって、この田舎町で出会った、ユニークで心優しい人たちは本当の家族以上に、彼女には大切な人たちになって行く。ナタリーは本当に着実に良い女優になって行きますね。 キュートなルックスはもちろんだけど、もっと奥の深い魅力を持っている。 アシュレイ・ジャッドは男運が悪くて男に捨てられるたびに子供が一人づつ増えていく・・と言った、今までとはちょっと違った役どころ。 それでもめっちゃ明るくて好感が持てる女性でした。 一体彼女に何人子供がいるのか? 映画でお確かめを! そしてナタリー演じるノヴァリーは、口に出すことをずっと恐れていたマジックワードを、最後の最後に言う事ができるんですね〜。 なんとなくでき過ぎな話ではあるのですが、心温まるドラマでした。 余談ですが映画の中でノヴァリーの人生に数字の”5”は不幸をもたらすのですが、私もそんな心当たりのある数字が・・
ハムレット  監督:マイケル・アルメイダ  主演:イーサン・ホーク、カイル・マクラクラン
Hamlet  2000年 アメリカ映画
私評: To be or not to be, that is the question.... 現代ニューヨーク。巨大企業デンマークの社長が死去し、その弟クローディアスが後を継いだ。しかも、兄の妻と再婚をして・・・。前社長の息子ハムレットはなんともやり切れぬ気持ちでNYに戻ってきた。そんな彼の前に父親の亡霊が現れ、「自分はクローディアスによって殺された。復讐をしてくれ!」とハムレットに伝える。真偽を確かめるため、彼は自ら弟が兄を殺す設定の映画を作成し、完成発表にクローディアスと母を呼んだ。明らかに狼狽した彼らの態度にハムレットは亡霊の言葉を確信する・・・。 ハムレットは今まで何度か映画化されてきた。私はローレンス・オリビエの最初のハムレットの映画、そしてメル・ギブソン、ケネス・ブラナー版を見た。それらは原作に近い16世紀の舞台の作品だったが、今回の舞台はなんと現代。デンマーク王国を企業の名前「デンマーク社」に変え、エルシノア城は「ホテル・エノシノア」に変わったが、物語にまったく違和感がない。 シェイクスピアってやっぱりすごい! セリフは原作に近い。 つまり舞台っぽいのでとてもセリフが多い。 この映画に限らずシェイクスピアの映画の字幕ってすごく難しいと思う。独特の韻を踏んだ言いまわしがあるし、色々な解釈ができるセリフが多いでしょう? オリジナルの英語は難し過ぎて私は理解できないのが残念! ハムレットを演じるのは若手注目株イーサン・ホーク。彼はとても良かった。あの悲しげな表情がハムレットの苦悩を見事に現していたと思います。そしてクローディアス役は「ツイン・ピークス」のカイル・マクラクラン、母親役はダイアン・ヴェノーラ、父の亡霊にはサム・シェパード、ポローニアスはビル・マーレイ、彼の息子レアティ−ズにはリーヴ・シュライバー、オフィーリアスには新星ジュリア・スタイルズと豪華な顔ぶれでした。また、クローディアスの刺客の一人はデカン・サーマン。 あのユマ・サーマンの弟(と言うことは、イーサンの義弟!)でした。 そっくり!!
スーパーノヴァ  監督 : トーマス・リー 主演 : ジェイムズ・スペイダー、アンジェラ・バセット
Supernova  2000年 アメリカ映画
私評:宇宙を航行中の医療船ナイチンゲール号がSOS信号をキャッチした。発信元は無人の惑星。レスキューに向かった彼らは星から発信された小型船を救出。中には一人の若者が乗り合わせていた。彼が持ちこんだ荷物の中に謎の物体が含まれていた。それは人体には活性化を促し、究極の生命体へと変化させるもの。 また、それ以上に偉大なる力を秘めていた。果たして惑星からの男の目論みは? そしてクルーの運命は・・・??  マーク・ステッドソンが担当した宇宙船、惑星の基地などのミニチュアは本当に目を見張る。 特にナイチンゲール号はすごく精巧なミニチュアだった。このこだわり・・、なんてったって彼はあのSFの名作「ブレード・ランナー」を手がけた男ですからね。「無重力メイク・ラブ・ルーム」(?)まである(笑) これは銀座シネパトスで上映されているからと言って、低予算のB級映画ではありません。 MGMが大枚を叩いて作った映画です。 役者も良いのが揃ってますよ。事故で死んだ船長の後を次ぐのがジェイムズ・スペイダー。 クルーもアンジェラ・バセット、ルー・フィリップ・ダイアンモンド、そして「バーティカル・リミット」「エンド・オブ・デイズ」のロビン・タニー。 この映画で面白かったのはプラズマ・ジャンプと呼ばれるワープ走行。 絵的には面白いのですが、どう言う理論になっているのか? ぜひ調べてみたいです。 しかし、シネパトスには悪いけど、音が悪すぎるよ〜。 せっかくのSF大作なんだからもっと大きいスクリーンで、そして良い音で見たかったな〜・・。 最後にこの映画のもう一つのお楽しみはロビン・タニーのヌード・・・・(笑)。 
ザ・ウォッチャー  監督:ジョー・シャーバニック  主演:ジェイムズ・スペイダー、キアヌ・リーブス
The Watcher  2000年 アメリカ映画
私評:この映画の主演はジェイムズ・スペイダーだよ!! 若い女性ばかりを狙う連続殺人事件が起こる。彼の名前はデビッド。彼はFBI捜査官のキャンベルとの追いつ追われつのゲームを楽しんでいるようだった。そしてついにキャンベルの恋人をも・・。彼女を救えなかったキャンベルは、逃げるようにLAからシカゴへと移り住んだ。しかし、デビッドは彼を追ってシカゴへ。そして新たなゲームが開始された。「次の獲物の写真を送る。今夜9時がタイムリミットだ!」FBIの必死の捜査が始まる、間一髪間に合わず、またしても犠牲者を出してしまう。 無力感にさいなまれるキャンベルにまたしても写真が・・・。 キアヌ・リーブスが主演と言う事で宣伝されていますが、本当に主演はジェイムズ。 一度は敗北宣言をした彼を執拗に追いかけてきたデビッドの目的は?? 本当ならその辺りがきっちり描かれて良いはずなんだけど・・。 監督のジョー・シャーバニックは期待の新鋭と言う事で、期待してたのですが・・。スローモーションとコマ送りを多用する映像がとても多くて、ちょっとうんざりしてきた。 でも、映画のテンポはとても良いので最後までドーンと一気に見れました。 キアヌ・リーブスはけっこうはまり役立ったような気がします。 キアヌにだったら殺されても良い!なんて女性は多いのでは?? ジェイムズ・スペイダーはこの映画の前に見た↑の「スーパーノヴァ」にも出ていたので、どうもイメージが混ざってしまったのが残念。 また、彼の精神科医役がマリサ・トメイ(どう見ても医者には見えない・・)。 先日見た「ハート・オブ・ウーマン」と言い、この映画と言いどうも使われ方が良くないです。 怒涛のラストシーンは、もうひと騒動欲しかったな〜。 13金のジェイソンみたいに・・・(謎)


前回の記事も読んでね〜!



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