2004/2/1

今回は2週間分です。昨年見て、レビューを書いていなかった
「フル・フロンタル」もこの機会にアップしました。

ギャンブル・プレイ  監督:ニール・ジョーダン  出演:ニック・ノルティ、チェッキー・カリョ
The Good Thief  2003年 イギリス、フランス、カナダ、アイルランド映画
今週のイチ押し:風光明媚なフランスのリビエラ。この街はリゾート地としても有名だが、数々のカジノがありギャンブルの街としても有名だ。その町でボロボロになりながらもしぶとく生きる一人の男がいた。彼の名前はボブ。ある夜、ボブは行きつけのカジノで魅力的な若い女、アンと出会う。この店にいたのでは娼婦に身を落とし、やがては捨てられてしまう。ボブはアンをこの店から助け出し、自分のアパートへと連れて行く。そんな時、ボブは古くからの仲間ラウルから、カジノ襲撃の計画を持ちかけられる。F1レースの前日、多くの観光客が集うカジノを襲うのだ。しかし、その計画には裏があった。現金を狙うと見せかけ、実はそのカジノに飾られている絵画を盗み出す事がメインだった。ボブの監視を続ける警察の目を盗み、計画は練り上げられていく。そしてレースの前夜、ボブはアンを連れカジノへと向かう。一方、地下では絵画を盗み出そうとする一行がトンネルを掘り続けていた・・・・。
私評:ルール10。カジノにはアンという女と一緒に行くこと・・。これはすごくアダルトな映画です。とにかくカッコ良いんです。それはニック・ノルティ演じるボブのカッコ良さ、そしてヒロインのナッサ・クヒアニチェ嬢の不思議なオーラ、そしてフランスのリビエラ、そしてモンテカルロの町の不思議な雰囲気、これら全てが合いまみれて醸し出す独特の世界なのです。それにしてもニック・ノルティカッコ良すぎる〜!!ボロボロの初老の男が挑む最後の賭け。傍らには超美人をドレスアップさせて侍らせ、自らもタキシードで煌びやかなカジノへ乗り込む姿は最高でした。ナッサ嬢は本当に美しいです。というか、ニール・ジョーダンの映画に出てくる女性ってみんなすごく美しい・・。彼の女性の趣味は、私と合うのかも??そしてボブを追う刑事役がチェッキー・カリョ。彼がまた、情のある刑事なんですよ。そして怪しい売人役にはレイフ・ファインズ。そして全編に散りばめられたムーディで官能的な音楽にも要注目!!まさに、映画を見ながら酔える大人のですよ。
解夏  監督 :磯村一路  出演:大沢たかお、石田ゆり子、冨司純子
Gege  2003年 日本映画
東京で小学校の教師をしていた孝之は、ある日体の異常を覚える。鏡を覗き込むと瞳の下に白い筋が・・。幼馴染の医者の博信に診察をしてもらった結果、彼はベーチェット病という重い病に掛かっており、徐々に視力を失い、ついには失明するだろうと宣告される。教師を辞めて故郷の長崎に戻った孝之。しかし、彼のイチバンの心残りは恋人の陽子のことだった。彼女は調査のためにモンゴルに行っていたが、彼女に病気のことを告げずにいた。しかし、彼女はモンゴルから彼のために戻ってきた。そんな彼女に孝之は別れようと告げたのだ。懐かしい長崎の街の美しさを少しでも目に焼き付けようとする孝之。そんな彼を追って陽子が長崎にやってきた。陽子の将来を思うと孝之の胸は痛んだ。そんなある日、二人は聖福寺で林という老人と出会う。彼の人柄に引かれ、病気のことを告白した孝之のために、林はある話を持ち出す・・・・
私評:あなたが失明する日、その日があなたの解夏です・・・。この映画を見て「解夏」って言葉の意味を初めて知りました。この映画はとても感動的な作品です。しかし、私は個人的な理由から、ストレートに受け止められない映画でもあります。ちょっと長くなるかもしれませんが・・・。実は私の叔父は「網膜色素偏性症」という病気が元で徐々に視力を失っていきました。今はほぼ全盲です。この病気は「解夏」の孝之のベーチェット病とは違い、徐々に視界が狭くなっていく病気です。叔父は中学生くらいの時から重度の近眼で、病気についても「近眼」だと思っていたのです。ところがある日、我が家に親戚一同が会した席で私の母が叔父の奇行を見つけたのです。ビールを注いだグラスをテーブルに置く時に左手でテーブルを探りながら右手で置いていたのです。それを見た母が、叔父に一度診察を受ける事を勧めました。私が住んでいた千葉県の成田の隣町にある佐倉市に有名な眼科があり、叔父の病気が発覚しました。当時、叔父は結婚していて2歳になる息子もいました。しかし、叔母は叔父と別れる事を選びました。そしてもちろん息子も叔母が引き取っていきました。しかも、叔母は慰謝料を取り、養育費を請求し叔父は障害者になったのに、借金を抱えることとなってしまったのです。その時、私は叔母を冷たい人だと思いました。しかし、離婚から十数年経ってから叔父とその事について話す機会があり、自分が間違っていた事に気づきました。二人は何度も話し合いをしたそうです。そして叔父が病気になったからといって叔母が叔父を捨てた訳でもなかったのです。しかし、実際は障害者になった叔父は学歴もなく、手に職もなかったため職業訓練校に入学し、指圧・マッサージ師になる勉強をしなければなりませんでした。それに要したのが3年。そして実際に商売ができるようになるまではもっと年月を要しました。その間、障害者年金と祖母の年金だけで、妻と息子を養っていく事はできないと判断した叔父が強引に離婚届を突きつけたというのが事実でした。離婚以来、叔父は息子とは一度も会っていません。しかし、今ではほとんど視力をなくしてしまったので、もし会っても顔も見ることができないのです・・・。
ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、こんな事件が私の身近であったので、この映画を見た後はすごく複雑な思いを抱きました。映画はキレイ事だけを並べたような気もしました。そして本当はこの物語のあとが、もっと大変なのだとも思いました。でも、この映画の大沢たかおと石田ゆり子ならばやって行けそうな気がしてなりませんでした。もちろん映画の中の話ですが・・。とにかく、この映画の主演のふたりは最高でした。最近、映画に出まくりの大沢たかおも、今まででイチバン良い演技をしていたと思います。そして石田ゆり子が最高でしたね。孝之の母役の冨司純子と今後について語るシーンなんか最高でした。そしてまた、本当に美しい。林役の松村達雄が「笑顔の美しいお嬢さん」という表現をするのですが、ピッタリでしたね。そしてこの映画のもうひとつの見所は長崎の美しい景色です。静かな時の流れの中で失っていく視力とは逆に、愛はどんどん育っていく。そんな見方ができれば、とてもステキな映画だと思います・
ディボース・ショウ  監督 :ジョエル・コーエン  出演:ジョージ・クルーニー、キャサリン=ゼタ・ジョーンズ
Intolerable Cruelty  2003年 アメリカ映画
LAの離婚訴訟専門弁護士マイルズ。彼はどんなに困難な訴訟も見事に勝ち取る敏腕弁護士。TVのプロデューサーのドナリーの妻は、夫の外出中に男を連れ込み情事に精を出していたが、偶然戻った夫に現場を見られ逆ギレ。妻の弁護を請け負ったマイルズは見事に勝利を得た。そんな彼の元に今日やってきたのは不動産王レックス。彼は探偵に浮気現場をビデオで撮影され圧倒的に不利な立場だったが、マイルズは妻マリリンの過去を穿り出し、またしても勝訴!!しかし、マイルズはマリリンの美しさに心を動かされていた。ところがマリリンもただでは転ばない女。裁判が終わると今度は新しい婚約者でアメリカの石油王ハワードを伴ってマイルズの事務所へとやってきた。どうみても財産目当ての結婚としか思えないマリリンの行動。しかし、彼女はマイルズにハワードの財産を守る婚前契約書を作るよう依頼する。しかし、マリリンはとんでもない企みをしていた・・・・・
私評:挑み、戦い、そして敵を完膚なきまでに叩きのめす。これが私のモットーです・・・コーエン兄弟+ジョージ・クルーニーの「オー・ブラザー」は私のお気に入りの作品のひとつ。そのコンビ+キャサリン・ゼタ・ジョーンズが、かなりブラックだけどめちゃめちゃ笑える作品を作り上げました。とにかくジョージとキャサリンの二人の掛け合いは最高。というか、キャサリンの手のひらで踊らされるジョージがなんとも可愛いんですよ・・。希代のプレイボーイジョージ・クルーニーもキャサリン姉さんの前ではたじたじ。ジョージってやっぱりコメディの方がイイと思うんですけど。そしてキャサリンなんか、私生活をそのまま映画にしたのでは!?と思えるくらいはまっています。(ということは、マイケル・ダグラスは・・??)共演にジェフリー・ラッシュ、ビリー・ボブ・ソーントン、エドワード・ハーマンなどなど、曲者がいっぱい。中でも田舎っぺの石油王を演じたビリー・ボブはメチャ笑えました。そしてコーエン兄弟の作品で注目したいのが音楽。最高の選曲です!
リクルート  監督 :ロジャー・ドナルドソン  出演:アル・パチーノ、コリン・ファレル
The Recruit  2003年 アメリカ映画
クレイトンはマサチューセッツ工科大学の優秀な生徒。順風満帆な生涯を約束された彼には過去に行方不明になった父親がいた。そんな彼に一人の男がアプローチをしてくる。男の名はバーク。実は彼はCIAの教官でクレイトンの能力を見抜き、リクルートしにきたのだ。有名企業の誘いを断りCIAでの仕事を選んだクレイトンは、バークの思惑通り、の素晴らしい潜在能力を秘めていた。「ファーム」と呼ばれるCIAの特別訓練基地での訓練は、想像を絶するものだった。バークは研修生に「何も信じるな」と声を高らかに叫ぶのだった。そしてクレイトンはバークの言葉の意味を理解し始める。仲間たちまでが自分を裏切り、ミッションの達成を狙っているのだ。そんな中でクレイトンはレイラという研修生と心を通わせ始める。そしてそれは愛情に変わり始めていた。ところがバークから信じられない情報がインプットされる。実はレイラはロシアの二重スパイだというのだが・・・・
私評:「人を殺したりもするのか??」「殺したいのか??」・・・・CIAの事については以前に本で読んだ事があるのですが、まさにエリートの中のエリートだけの世界なのです。この映画の中で描かれている研修の全てホンモノとは思えないが、かなりリアルに作ってあるのでしょうね。しかも、アル・パチーノが教官って言うのがまた合っているんですよ。彼がレクチャーする時の話し方とか、ハッタリとかはまさに彼の真骨頂。彼の言葉ってすごく力があると思いました。そして若き候補生役は今、一番輝いている若手コリン・ファレル。こいつがまた、すごく良いんですよ。ボクシングのサンドバッグを叩くシーンや、実際のアクションシーンなどは自分で演じ、運動能力の高さはお墨付き。しかし、それだけじゃなくしっかり知性も感じさせるんですね。こいつは只者ではないです!その二人がガチンコ勝負をするだけでも、涎がでるくらいワクワクするのですが演出もすごく良くて話が一気に最後まで流れて行きます。ラストの某シーンはアル・パチーノの過去の名作のワンシーンに激似だったのはご愛嬌??また、ヒロインのブリジット・モイナハンもセクシーでポイントが高いです。
フル・フロンタル  監督 : スティーブン・ソダーバーグ  出演:ジュリア・ロバーツ、キャサリン・キーナー
Frull Frontal  2002年 アメリカ映画
ヴィバリー・ヒルズの超高級ホテルの一室で映画監督のガスの誕生パーティが行われようとしていた。パーティに呼ばれた人たち、そして呼ばれたと思い込んでいる人たちの慌しい一日が始まった。大会社の人事部長でもっぱらリストラがメインになっているリー。彼女は脚本家の夫カールと別れようと思っている。彼女はカールに置手紙を残す。しかも、リーには浮気相手がいた。彼女の浮気相手は俳優にカルヴィン。彼は人気女優のフランチェスカとの映画撮影中。カールは気が小さい男で、リーに嫌われる事が怖くて仕方がない。しかも、彼はその日会社で編集長からリストラを言い渡される。リーの妹のリンダはマッサージ師。彼女は3ヶ月以上恋愛が続いたことがない。しかし、彼女はネットで知り合った男と会う約束をしていた。そんな時、彼女が本業のマッサージで部屋に呼ばれた。なんとそこはガスの部屋だった・・・・
私評:いつもそばにいて優しくて失望しないなんて、理想に過ぎない・・・・ソダーバーグの映画って本来こういうスタイルなんだよね。「トラフィック」や「エリン・ブロコヴィッチ」がヒットしとき、ちょっと作風が変わったと思ったのですが、この映画は彼の初メジャー作品「セックスと嘘とビデオテープ」のテイストを感じさせる映画だった。タイトルの「フル・フロンタル」のとおりストレスや疑念、そして絶望が登場人物の化けの皮を剥がしていく。しかし、それらは彼らの新しい扉を開き、新しい一歩を踏み出す者がいた、そして踏み止まって本来の姿を見出したり・・。そしてあらためて孤独の辛さを知り、人と繋がりあうことの喜びを見出していくのです。表現はとてもシュールでも、導かれる答えは「ささやかでも愛が欲しい」って事なんですね。今回の出演者の中ではもちろん大好きなジュリア・ロバーツが目当てでしたが、すごいと思ったのがキャサリン・キーナーですね。まさにぶっ壊れてます!!そしてとってもアヤシイ、デヴィッド・ドゥカブニー。添え物のような扱いでも異彩を放つブラッド・ピットなども要注目。長廻しの撮影、デジタルカメラによる簡易撮影、そしてセリフに埋め尽くされた演出も、私はとても面白いと思いました。おススメはできませんが・・・。
ニューオリンズ・トライアル  監督 :ゲイリー・フレダー  出演:ジョン・キューザック、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマン
Runaway Jury  2003年 アメリカ映画
ニューオリンズの証券会社に勤めるジェイコブは、いつもと変わらぬ慌しい会社に出社した。しかし、突然の銃声が響き渡る。そしてジェイコブにも銃口が向けられる。2年後、ジェイコブの妻、セレステが凶器として使われた銃の製造元の責任を問う民事訴訟を起こす。代理人は地元の弁護士ローアが請け負うことになった。被告の側の銃製造会社はランキン・フィッチを雇い入れる。彼はハイテク装備の陣営を抱え、最新のテクノロジーを駆使して陪審員の素性を調べ上げ、ふるいにかける作業を開始した。それは自分たちが優位に裁判をするための選択だった。そして陪審員選任の日がやってくる。フィッチは司令室のライブ映像を見ながら、陪審員を選んでいく。しかし、そんな中に一人だけ異色の男がいた。彼の名前はニック・イースター。着々とトライアルの準備をしていくフィッチの裏をかくような行動を見せるニック。そしてローアとフィッチのふたりに「陪審員売ります」というメモが届く・・・・
私評:これで私もゆっくり眠る事ができる。お前にはびた一文支払わない・・・・ジョン・クリシャムの「陪審評決」の映画化です。原作と映画の一番の違いは原作は「たばこ会社」、映画は「銃の会社」を摘発しているという事。これはどうやら「インサイダー」という映画でたばこの題材が使われたせいらしい。しかし、設定は置き換えても原作の面白さが見事に描かれていた。とにかくこの映画はテンポがいい。話が気持ちよくサクサクと進んでいくので見ていて、とても気持ちがいいです。そして複雑な展開ではあるのですが、すごく分かりやすい演出に思わず唸った。しかし、私がこの映画でイチバン痺れたのはジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンのふたりの共演です。ふたりが裁判所のトイレで言い合うシーンはすごい!しかし、私的にはこの二人が同じ画面の中にいるだけで鳥肌が立つ思いでした。こんな感動は「ヒート」でアル・パチーノとデ・ニーロが共演したとき以来です。いや〜、本当に素晴らしい。そしてどんな役でも卒なく演じるジョン・キューザックもポイントが高い。彼ってインテリの役とフラレ男が最高に似合う男優でしょう!?そして本当に美しいレイチェル・ワイズ。彼女はこういうちょっとミステリアスな女役が良いな〜。この作品のどんでん返しは最高ですよ!


前回の記事も読んでね〜!



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