2004/1/18

今週は試写会のオンパレードでした。ジャンルがバラバラなのがまた良いでしょう!!
イチ押しは実話を基にした感動作です!!

シービスケット  監督 : ゲイリー・ロス  出演:トビー・マグワイア、ジェフ・ブリッジス
Seabiscuit  2003年 アメリカ映画
今週のイチ押し:1930年代、アメリカ。大恐慌により人々は夢も希望も失くしかけていた。レッドもその一人だった。裕福で楽しかった少年時代を送った彼は大不況のため家族とも離れ離れになり荒んだ生活をしていた。そして初老の調教師スミスも、馬を追っての放浪生活を続けていたが時代は彼に冷たい仕打ちをする。そして裸一貫で西海岸にやってきて自動車で財を成したハワード。しかし、彼も最愛の息子を車の事故で亡くしていた。心に傷を持つ3人の男たちは運命に導かれるかのように出会いを果たす。スミスの目にかなったのは小さな馬シービスケット。ハワードはこの馬を買い、レッドを騎手として選んだ。3人の男の夢を抱き、シービスケットの快進撃は始まった。誰もが絶望の淵に立たされたこの時代、シービスケットは民衆のヒーローとなり、彼らに夢を与えた。しかし、ある事故がもとでレッドは足に大怪我を負ってしまう。しかも、東部の大富豪の馬とのマッチレースが事前に迫っていた・・・・・。
私評:誰でも負ける事がある。しかし、諦めるか、立ち向かうのか・・・・これは実話の映画化です。しかし、どの時代にもヒーローって必要なんですよね。シービスケットの活躍はもちろんですが、3人の男が敗北からのし上がり、そして勝利を掴む展開が私は好きですね。特にジェフ・ブリッジス演じるハワードが私はすごく好きです。彼が何度も口にする「未来」という言葉は、まさにこの時代の人々に勇気を与える「魔法の言葉」だったのではないでしょうか?小さなヒーローは不可能と思われていた事を次々と可能にし、その原動力がそのまま民衆に伝わり、そして奮い立たせた。こんなステキな話はないでしょう!?この映画の話のあとの3人がどうなったかは描かれていませんが、気になるところですね。そしてこの映画のもうひとつの見所はレースシーンです。これがまた、すごい迫力。それゆえレースの感動も存分に味わえますよ〜!!主演のレッドはこの映画のためにすごい減量をしたトビー・マグワイア。ちょっと別人のようでした。そしてハワード役にはジェフ・ブリッジス、そしてスミス役にはクリス・クーパーという完璧なキャスティング。人生で挫けそうになった時は、こういう映画を見てパワーを貰いたいですね・・・。
ドラッグストア・ガール 監督 :本木克英  出演:田中麗奈、柄本明、三宅裕二
Drugstore Girl  2003年 日本映画
薬大に通う大林恵子は同棲中の男の浮気現場に遭遇してめちゃめちゃショックを受ける。泣きながら電車に飛び乗り、気が付くと聞いたこともない郊外の町・摩狭尾(まさお)に来ていた。しかも、勢いで飛び込んだ開業間近のドラッグストアで愚痴を言っている間にバイトに採用されてしまう。この町には寂れた商店街があったが、4時には店を閉めてしまう有様。ドラッグストアのオープンは彼らの死活問題。そこで薬屋、パン屋、酒屋、寺の坊主、そしてこの町を古くから徘徊しているホームレスのジェロニモはドラッグストア撲滅作戦を考案する。鼻息を荒くしてドラッグストアに飛び込んだパン屋はそこで恵子に会い、一目惚れ。そしてついには全員が恵子の魅力に負けてしまう。彼らは恵子の気を引こうと、彼女がクラブ活動で参加しているラクロスを始める。ところがこのオヤジのラクロスが町でブームになり、いつしか寂れた町だった摩狭尾はラクロスの町として脚光を浴びるようになる・・・・・・
私評:マサオ〜バンブー!バンブー!!・・・・こういうコメディ映画良いですね〜。頭を使わないで登場人物のおバカな行動に大爆笑。あと腐れなしの映画です。特にオヤジたちがツッパっているのにメチャメチャ可愛いんですよ。そして田中麗奈もすごくチャーミングでした。お人好しで、泣き虫で、パワフルで、そして情に厚い。しかし、図太くて、行動的。それが田中麗奈にピタリと納まってしまう。やはり彼女は只者ではない??そしてオヤジたちが最高!柄本明、三宅裕二、伊武雅刀、六平直政、徳井優という顔ぶれ。このおっさんたちが田中麗奈の気を引こうと大奮闘します。それがなんだか意地らしくてね〜・・。そして相変わらずワンパターンの演技なのに、おいしいところを持っていってしまう荒川良々、今回はとっても不思議でアヤシイ余貴美子など、役者を見ているだけでも楽しいですよ。最後のラクロスの試合はほとんど少林サッカーのノリでした(笑)。この楽しい話の脚本は超売れっ子の宮藤官九郎。さすがですね。そして監督は「釣りバカ日誌14」の本木克英です。
死ぬまでにしたい10のこと 監督 :イザベル・コヘット  出演:サラ・ポーリー、スコット・スピードマン
My Life Without Me  2002年 スペイン・カナダ映画
23歳のアンは失業中の夫と二人の娘に囲まれ、慌しい日々を送っていた。しかし、悲劇は突然訪れた。激しい腹痛で病院に担ぎ込まれた彼女は、自分が癌であり、余命幾許もないことを知らされる。あまりのショックに呆然とするアンに医師はキャンディを差し出した・・・。アンは自分の病気のことを家族にも友人にも秘密にすることを決意した。そして彼女が生きている間に、「できること」「したいこと」をできる限りしようと決め、ノートに書き出した。そして彼女は今の自分がどれだけ中途半端だったかもあらためて知る。初めてキスした夫と結婚。母親とはコミュニケーション不足。娘への愛も100%ではない。そして心のどこかに引掛かっていた服役中の父の事。彼女は一つ一つ実行していく。そしてそれは同時に彼女がいなくなった時の準備でもあった・・・・・
私評:これが私。生命のにおい、葉を打つ雨の音、読んでいない物語。それが私。他の誰でもない・・・・。このタイトルだとアンが死ぬまでに「自分のため」に10のことをする物語のようですが、(もちろん「自分のため」の物もありますが)実はこの映画の原題のとおり「自分がいなくなったときのため」の10のことをやり遂げる話です。23歳の彼女が本来、死ぬまでの50年間でのんびりしようと思っていたことを3ヶ月で成し遂げようと奮闘するのです。でも、きっと50年先を見越していたらできない事なのでしょうね。私もよく物事を先送りにしがちなのですが、そういう物に限っていまだに成し遂げていない事が多い。明日をも知れぬ命だと思えば、今この瞬間ももっと大切に見えてくるのでしょうが・・・・。また、この映画では人間同士の温かい心の絆を見事に描いています。私が特に好きなシーンはアンが子供たちと一緒にイカダ遊びをするシーンです。彼女は本当に子供が好きなんでしょうね・・。主演はサラ・ポーリー(別名ミニ・ユマ・サーマン)。彼女は大作とは縁がないですが、こういう小さい作品で良い味を出していますね。「写真家の女」も大好きな映画です。しかも、次回作は「ゾンビ」のリメイク。期待してます!!そして彼女の夫役は「アンダーワールド」のスコット・スピードマン。そして注目はアンの隣に越してくる、もう一人のアン役のレオノール・ワトリング。彼女は「トーク・トゥ・ハー」のバレリーナですが、雰囲気が全然違うのでちょっとビックリ。でも、相変わらず美人です・・。 悲しい話なのですが。ブルーになったり落ち込んだりする話ではありません。きっと、アンの気持ちに触れることができるでしょう・・。
ハリウッド的殺人事件 監督 :ロン・シェルトン  出演:ハリソン・フォード、ジョシュ・ハートネット
Hollywood Homicide  2003年 アメリカ映画
ハリウッド警察のコンビ、ギャビランとコールデン。しかし、ギャビランは警察の仕事以上に、副業の不動産の仲買の仕事に夢中。一方のコールデンも副業でヨガのインストラクターをしながら、虎視眈々と映画スターを目指していた。そんなある日、若者が集うライブ会場でラップグループのメンバーが射殺される。そしてその犯人も数時間後に焼死体で発見される。事件を追う二人はラップグループをバックアップしていた、敏腕プロデューサーに目を付ける。そして少しずつ事件の核心に近づいていくが、行く先々でギャビランの携帯が鳴る。彼は今、副業で大きな案件を抱えており、そちらにもご執心なのだ。一方のコールデンも、ハリウッドへの自分の売り込みに余念がない。そしてついに二人は犯人をつきとめ、ハリウッドの街を激走する・・・・
私評:今の演技、良かっただろう!ゴールデングローブ賞はいただき・・・。いや〜、面白い映画でした。とにかく終始笑いっぱなしでした。ハリソン・フォードはいつもと同じ芝居なのに、置かれている環境が違うだけでこんなに笑えるキャラになるんですね。また、ジョシュもいつもの好青年のヴェールを捨てて、ちょっと軽い(しかもすごくモテル)若者を好演。ふたりのキャラクターがぶつかり合いながらも、良さを引き出しあっていましたね。また、ハリソンがこだわるハンバーガー・ネタと2時間の映画の中で何十回も聞かされるハリソンの着メロには大爆笑(着メロは「マイ・ガール」)。あまりのしつこさに、着メロを聞くだけで「プーッ!」と吹き出しちゃいました。ところが後半の30分は、この笑いにアクションが加わりヒートアップ!カー・チェイスあり、殴り合いの格闘シーンありでハリソンもご老体に鞭打って走りまくり。まさに手に汗握りながら笑えるんですよ。観終えた後も気分爽快の映画です。そしてもう一人注目したいのが、アヤシイ霊感占い師役のレナ・オリン。彼女も笑わせてくれますよ〜。まさにハリウッド的な映画ですね!
バレット・モンク 監督 : ポール・ハンター  出演:チョウ・ユンファ、ジェイミー・キング
Bullet Monk  2003年 アメリカ映画
1943年、チベットの山奥の寺院では僧侶たちが修行に励んでいた。その寺院では古くからある「巻物」が秘密のうちに守られていた。世界を楽園へも破滅へも招くという究極のパワーを持つその巻物を守るのは代々3つの予言を満たすもの。そして今日、60年間巻物を守った前任者からある男に責任が譲渡された。その時点から男は名前を捨て去った。ところがこの巻物をナチスが狙っていた。突然の襲撃に寺院は血の海と化していく。そして男は巻物と一緒に断崖絶壁を落ちて行った。60年後のNY。男はこの地に来ていた。相変わらず巻物を狙う組織に追われている。そこで男はスリの常習犯カーと出会う。カーに何かを感じた男は彼に付きまとい、ついには組織との戦いにカーを引きずり込んでしまう。そして謎の女ジェイクをも引き込んで、男は組織との最終決戦に挑む・・・・・
私評:ボォーーーーズ!!・・・・こんな字幕ありかよ!(笑)。ジョン・ウー+チョウ・ユンファと言えば香港ルノワールの中心を担っていた名コンビ。その二人がタッグを組んでハリウッド映画に殴りこみ!?今回ジョン・ウーは製作ですが、映画の中に彼のテイストがたっぷり盛り込んであります。香港映画得意のワイヤーアクションも随所に(というかしつこいくらい)に登場します。オープニングの断崖絶壁のつり橋でのワイヤーアクションは、すごいんだけど、笑っちゃいました。チョウ・ユンファはすごく良いんだけど、あのズラはどうにかならなかったのかな?それだけで笑いを獲ろうとしているのか??アクションシーンは文句なしのカッコよさでした。そしてカー役は「エボリューション」のショーン・ウィリアムス・スコット。彼もすごいアクションを見せてくれます。そして私が注目したのは「パールハーバー」のジェイミー・キング(「パール・ハーバー」の時はジェームズ・キングという名前でした)。彼女キレイですよね〜。というか、私のタイプです(笑)。アクション映画を観て、スカッとしたい人にはオススメの映画です。
赤い月  監督 :降旗康男  出演:常盤貴子、伊勢谷友介、香川照之
 2004年 日本映画
1934年、森田波子は夫の祐太郎とともに満州へと渡った。そこで二人は清酒工場を作り、財を築いた。しかし、この酒工場は軍のお抱えとして成長してきた会社だった。祐太郎は、今後は独自の販路を築く必要性を知っていた。第2次世界大戦も末期に差し掛かり日本の戦況は極めて悪かった。そんな折、この家の家庭教師のエレナがソ連軍のスパイ容疑で捕まり斬首された。彼女を捕らえたのは彼女の恋人の氷室で、波子は彼に心を寄せていた。自由奔放な波子は以前には軍人の大杉とも関係を持っていた。エレナの逮捕には波子が関わっていた。いよいよ敗戦の色が濃くなった頃、祐太郎の留守中に清酒工場は空襲で破壊されてしまう。波子は二人の子供を抱え、列車に飛び乗り平壌へと向かう。列車の席を確保してくれたのは氷室だった。平壌での避難生活の最中、偶然夫の祐太郎と再会するが、彼は自ら志願して収容所へと赴き絶命した。そんな時、波子は氷室と再開を果たす。しかし、氷室はアヘン中毒になっていた・・・・・・
私評:生きるためには愛する人が必要なのよ!・・・自由奔放というより、我侭で独占欲が強い。しかし、彼女の「生きること」に対するパワーは恐ろしいくらい。私的には彼女の考えも行動も理解しがたい部分が多かったのですが、戦中・戦後の激動期を生き延びるには、彼女なりにパワーを得る必要があったのでしょうね。「生きること」は彼女の必須条件、「愛する事」は彼女のパワーの源なんですね。二人の子供を生かすためにも、自分がポジティブでいなければならなかったのです。まあ、そんな彼女を好きか嫌いかは別ですが・・。しかし、この物語の裏では、満州に取り残され歩いて大陸を渡ろうとして死んでいった数多くの日本人がいる事を忘れていはいけない。映画の中にその辺りをしっかり描いて欲しかったです。主演はキレイなんだけど、イマイチ華がない常盤貴子。そして彼女を巡る3人の男に香川照之(夫)、布袋寅泰(杉浦)、そして伊勢谷祐介。布袋に演技を期待しちゃいけないのですが・・・。そしてやはり職人の技が光る木村大作のカメラ。本当に美しい映像を見事に取り込んでいます。降旗監督映画には、やはり高倉健が出ていて欲しいな・・


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