2002/1/28号

2002年、第2弾公開作品が続々と始まりましたね。私はけっこう試写会で見てしまっているのですが
また、劇場で見たくなる作品がたくさん。ちなみに私は2回目の「仄暗い水の底から」を見ました。
今回は母と娘の話しに泣けた・・。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ  監督・主演:ジョン・キャメロン・ミッチェル  主演:マイケル・ピット、ミリアム・ショア
Hedwig and the Angry Inch  2001年 アメリカ映画
共産主義の国,東ドイツで生を受けたヘドウィッグは、いつかアメリカに渡りロックスターになることを夢見ていた。しかし、彼は生来のゲイでもあった。彼は夢を実現させるため優しい米兵と結婚し、その代償として性転換の手術を受けた。しかし、その手術の失敗でペニスが1インチだけ残ってしまう。(これをアングリーインチ、つまり怒りの1インチと呼んでいる)やがて,彼は音楽の夢を実現するため活動をはじめる。そんな時、彼はトミーと言う純なハートを持った青年と出会う。やはり、ロックスターを目指すトミーにヘドウィグはすべての愛情とロック魂を注ぎ,彼を育てるが、いつしかトミーはヘドウィグの元を去り、二人で築き上げた音楽を使用し、トップスターになる・・・・。
私評:自分の失われた「カタワレ」を探すのが人生。そしてそれを見つけた時に起きる感情が「愛」なんだ・・・。左の写真を見て,退いてしまう人もいるかもしれない。実際、私も最初はちょっと気持ちが退けました(笑)。しかし、映画を見始めてすぐに,私はもうこの映画の虜だった。ヘドウィグの歌の大半は「愛」のメッセージ。それはあまりにピュアで、そして切ない・・。パンクっぽい曲にもすごくメッセージがたくさん盛り込まれている。もともと、この映画はオフ・ブロードウェイで上演されてたいたもの。しかも2年半も連続上演されたという,すごい作品の映画化です。それゆえこの映画は舞台っぽい設定のところが随所に見られるが,逆に映画ならではのお遊び的な映像もじつに楽しい。映画の中でヘドウィグが語る、哲学的な愛のあり方に、私はしびれてしまった。でも、この映画は万人受けする映画ではないと思います。実際,試写会での反応もあまり良くなった。でも、1度この魅力にとりつかれたら抜け出せないくらい、ハマル映画だと思いますよ。サントラ盤もめっちゃ良いです。
ソウル  監督 : 長澤雅彦  出演:長瀬智也、チェ・ミンス
Seoul  2001年 韓国・日本映画
若き日本の警察官早瀬は、韓国に護送犯を送り届け,日本に帰る途中、偶然現金輸送車強奪事件に巻き込まれる。必死の追撃の末,彼は犯人を撃ち殺してしまう。そして彼には72時間の在韓許可がおり、捜査を手伝う事に。しかしソウル市警の刑事キムは、彼には異常なまでに厳しい態度で接する。その間にも何度も現金輸送車強奪事件が起こる。しかし、なぜか釈然としたものを感じない早瀬だった。そんな折、ソウルでアジアの首脳会議が行われることに。その時警察に会議の阻止を予告するメッセージが届く。しかも、日本の外務大臣が誘拐されてしまう・・・・。

私評:一番大事なのは,命だろう・・・。「ホワイトアウト」と「シュリ」のスタッフによる日韓共同の映画。日本からはTOKIOの長瀬が,そして韓国からはチェ・ミンスが参加。かなり気合の入った映画でした。アクションはもちろん、男同士の友情、そして大胆にして奇抜な犯罪組織との戦いと,見所も満載でした。(色々とツッコミ所が多い映画でもあります。クライマックスアクションシーンは、爆笑でした<笑>)長瀬はセリフこそ、イマイチなところもありましたが、体を張ってのアクションはなかなかでしたよ。しかし、チェ・ミンスはちょっと冴えなかった・・。完全に長瀬の引き立て役になってました。でも、後半に登場する怒涛のキメのポーズのオン・パレードにチェのファンは大満足のはず??あと,私の目を引いたのが通訳の女性(名前がわからない・・)。美保純に似たカワイイ女性でした。監督は「ココニイルコト」の長澤雅彦。こんな映画も作れるのか!!犯罪の手口も途中まではすごくリアルで面白かったのに、ラストがイマイチ。でも、2時間近い映画を最後まで飽きずに見れたのは、やっぱりこの映画の魅力なんでしょう。私は好きだな〜、この映画。 
キリング・ミー・ソフトリー  監督:チェン・カイコー  出演:ヘザー・グラハム、ジョセフ・ファインズ
Killing Me Softly  2001年 アメリカ映画
ロンドンに住むアリスは、ある日出勤途中で一人の魅力的な男・アダムと出会う。あっという間に心を奪われたアリスは彼との愛欲の日々に溺れて行く。しかし、彼に溺れれば溺れるほど、彼のミステリアスな過去に疑問を抱き始める。そして彼女の元に届くブラックメール,鍵の掛かったワードロブの中で見つけた手紙。いったい,彼の正体は??そして、アダムのかつての恋人が行方不明になっていることを知る。アリスの中でアダムに対する疑惑がどんどん膨れ上がっていく。そしてそこには隠されたもうひとつの事実が・・・・。

私評:中国映画の巨匠、チェン・カイコーが挑んだ初の英語作品。しかし、彼の映像は美しい。私は彼の「さらば我が愛、覇王別姫」が大好きなのですが、この映画も期待を裏切らない作品でした。ストーリーはなんとなく平凡な感じなのですが、それが彼の手に掛かるとアートになってしまう。それは寒々したロンドンの町並みでもあり、二人が愛を交し合うほの暗い部屋や暖炉の火だったりする。しかし、なによりも美しいのがヘザー・グラハム。前々から彼女はキュートだと思っていましたが、この映画のヘザーは美しかった・・。しかし、ジョセフ・ファインズは相変わらずシェイクスピアのイメージを払拭できない。あれだけ濃い顔をしているから、仕方ないけどね・・。R18作品なのは2人のセックスシーンが多いからなのでしょうが、私は全然いやらしさを感じなかった。いや、それより美しいと感じました・・。ミステリーの部分でもそれなりに楽しめる内容だったと思います。
快盗ブラック・タイガー  監督:ウィシット・サナティヤン  主演:チャチャイ・ガムーサン、ステラ・マールギー
Tears of th Black Tiger  2000年 タイ映画
強盗団の一員ブラック・タイガーことダムは、ボスを裏切った男を追い詰め、驚くべきガンさばきであっという間に葬り去った。そして彼は待ち合わせの東屋へと馬を走らせたが、時既に遅く、彼女は去った後だった。彼女の名前はラムプイ。いわゆるお嬢様だ。その昔、ダムはラムプイをいじめっ子から守る為額に傷を負った。以来、彼は陰ながらラムプイを慕ってきたのだ。そして運命的な再会を果たした二人は結婚を誓い合う。しかし、ダムは久々に帰った故郷で盗賊たちに襲われた家族を発見。激怒したダムは復讐を果たすべく単身アジトに乗りこむが逆に追われる立場に。しかし、そんな彼を救ったのは強盗団のボスファーイだった。そして彼はブラック・タイガーの異名を名乗ることに・・・・・。

私評:恋に涙する・・・。タイからやってきた摩訶不思議な映画です。このチラシを見ても、タイトルを見ても、到底ふざけた映画としか思えなかったのですが、なんとなく気にはなっていました。オープニングから血しぶきが迸りまくりの銃撃戦。ところがこれが笑えるんだ・・・。これで私への掴みはOK!!いや〜、面白かったです!!映画の中には仇やライバルと戦うというヒーローものとしての楽しみ、身分を越えたダムとラムプイの純愛、スプラッター映画も真っ青(?)の血しぶき、そして思わず失笑のギャグと、実に色々なエッセンスがギューっと詰まったお徳版映画。 くだらないと思いつつも、いつしかこの映画のペースにすっかりハマって、ラストではちょっとウルウルしてしまった。西部劇のパクリもたくさんあって、それを見つけるのも面白いかも??タイ映画恐るべし・・・。強いて苦言を言わせてもらえれば、ヒロインが私好みじゃなかったことくらいかな??(笑) 不思議体験してみる??
プリティ・プリンセス  監督:ゲーリー・マーシャル  主演:アン・ハザウェイ、ジュリー・アンドリュース
The Princess Diaries  2001年   アメリカ映画
サン・フランシスコで母親と二人で暮らすミアは、冴えない女子高生。友人のリリィと彼女の兄のマイケル以外からは、ほとんどシカトされている。そんなある日、彼女の祖母がヨーロッパのジェノヴィアからやってくる。そして実はミアはジェノヴィアの正当な王位後継者であり、プリンセスであると告げる。初めは冗談だと思っていた彼女も、ことの深刻さにあたふた。そして2週間後の舞踏会までに、プリンセスとしてのレッスンを受けると共に、自分の進むべき道も決める事にした。果たしてミアは無事に舞踏会を迎える事ができるのか?そして今まで通りの女子高生とプリンセスのどちらを選ぶのか??・・・・

私評:あなたに似た人を知っています。それは私よ・・・。 これはクイーンのジュリー・アンドリュースがミアに掛ける言葉のひとつ。でも、すごく好きなセリフです。ほとんどセガールの「沈黙」シリーズと同じ道を進み始めたゲイリー・マーシャルの「プリティ」シリーズ。この話もベースになっているのは「マイ・フェア・レディ」ですね。その昔、舞台ではイライザを演じたジュリー・アンドリュースが、今回はプロフェッサー・ヒギンズのように教える立場を演じると言うのも、すごく面白いです。この映画のジュリーはまさにはまり役でした。気品があって、威厳があって、そしてコミカルで、しかも暖かくて。久々にスクリーンで彼女を見ましたが、いまだ健在で嬉しい限りです。主演のミアを演じるのは各界から絶賛を浴びている新人アン・ハザウェイ。とにかく顔のパーツの一つ一つがデカイ!クルクルと変わる表情がとてもキュートです。今後が楽しみな女優ですね。(生憎私好みではありませんが・・)。そしてプリティシリーズの常連へクター・エリゾンドが、また渋いおっさん役で登場します。こちらもお楽しみに。 
フロム・ヘル  監督:アレン&アルバート・ヒューズ  主演:ジョニー・デップ、ヘザー・グラハム
From Hell  2001年 アメリカ映画
1888年、ロンドン。一人の娼婦が惨殺された。しかも、死体は解剖されたかのように臓器が取り出されていた。あまりに残虐なこの事件を担当する事になったのは、不思議な能力を持つアバーライン警部だった。しかし、彼の捜査をあざ笑うかのように、続発する事件。そして犯人は自ら「切り裂きジャック」と名乗り、犯行の予告をする。そしてアバーラインはメアリという一人の美しい娼婦と出会い、心を奪われる。しかし、切り裂きジャックの次の獲物は、メアリだった・・・・。

私評:いつか人々は過去を振り返り、私が20世紀を誕生させたと言うであろう・・・。この映画の見どころはなんと言っても映像でしょう。霧のロンドンの薄暗い雰囲気が不気味さを醸し出す。そしてガス燈の仄かな明かりが、また怪しい。娼婦たちがはびこる怪しい裏通りもすごく雰囲気が出ている。この映画のキー・パーソンの「切り裂きジャック」の話しを知っていると、また映画が楽しいかもしれません。(逆効果もあるけど) 映画の中で殺される娼婦たちは実際、切り裂きジャックに殺された娼婦たちと同じ名前で、同じ順序で、しかも同じ殺され方をしている。つまり、この部分でフィクションの世界と史実とをごちゃ混ぜにして、観客にリアルな世界を見せつける。一方、アバーラインは実在したものの写真の一枚も残っていない謎の人物。しかし、その謎の部分が霊感捜査をそれらしく見せているんですね。ちなみに、私は「切り裂きジャック」関係の本は何冊か読んでいるので、こんな楽しみもできたのですが・・・。ジョニー・デップがミステリアスで良かったです〜。ヘザー・グラハムは「キリング・ミー・・」が美しすぎて、この映画の彼女のことは忘れてしまった(笑)。


前回の記事も読んでね〜!



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