2003/1/16号

今回のオススメは韓国からやってきたバイオレンスな美女の話と
フランス産の中国のお話。どちらも超オススメです。 

猟奇的な彼女  監督 :クァク・ジョエン  出演:チョン・ジヒャン、チャ・テヒョン
My Sassy Girl  2001年 韓国映画
今週のイチ押し:大学生のキョヌは子供のときから、女っぽく育てられてきた。ある日、彼は地下鉄の中で泥酔し乗客にからむ美女と出会う。「いくら美人でも、こんな女はイヤだ」。ところが彼女は乗客にとんでもないことをした挙句、キョヌを「ダーリン」と呼んで倒れてしまう。仕方なく彼女を背負って地下鉄を降り、近くの旅館に担ぎ込んだまでは良かったが・・。翌日キョヌの携帯に彼女から電話が入る。酒を飲みながら事情を説明していると、突然彼女は泣き出した。「昨日彼と別れたばかりなの・・」。そして酔った彼女とまたしても・・・。それ以来、なんとなく付き合い始めた二人。キョヌは彼女の心に棲む悲しみを取り除こうとする。しかし・・・・、彼女はとんでもない女だった。口癖は「ぶっ殺されたい?」、すぐに殴る、わがままし放題で言うことを聞かないとまた殴る・・・。しかし、そんな猟奇的な彼女にどんどん惹かれていくキョヌだった・・・
私評:おい!ピンクの服は着るな・・・・最高!あんなにめちゃめちゃな事をするチャン・ジヒャンにメロメロです。まさに、21世紀の新ヒロインの誕生!!!彼女はイルマーレのときとは全然違う雰囲気。しかし、この猟奇的な美女役がなんともピッタリなんです。そしてそんな彼女に振り回され続けながらも、どんどん彼女の嵌っていくキョヌを演じるチャ・テヒョンがまた、良いんですよ。本当に優しい男なんです・・。しかし、この映画の面白さは暴力女と軟弱男のコメディ的な部分と、そんな二人のすごく純粋な恋愛なんです。もう、初っ端からこの強烈なキャラクターの二人が大好きになって、ハッピーエンドを祈りながら最後まで二人を応援し続けてしまった・・。もちろん最後のオチはここには書けませんが、きっとたくさんの人が私と同じ気持ちになれると思いますよ。元々この話は韓国のネットで掲示板に投稿された実話が元になっているとの事。ハリウッドでのリメイクも決まったらしいです。それも頷けるくらい、すごく愛すべき作品。めちゃ面白かったです〜!!
 
小さな中国のお針子  監督:ダイ・シージエ  出演:ジョウ・シュン、チュン・コン、ルィウ・イエ
Blazac et La Petite Tailleuse Chinoise  2002年 フランス映画
今週のイチ押し:1970年代初頭の中国。毛沢東が斡旋した文化大革命の最中二人の青年ルーとマオは山村の貧しい農家に出向いた。文明から取り残されたようなこの村の生活は、都会育ちの二人には辛いものだった。そんなある日、この村に仕立て屋の一団がやってきた。その中でも一際美しい少女は「小さなお針子」と呼ばれていた。ルーとマオは彼女を一目見て好きになってしまう。そんな折、彼らは先にこの村に来ていた通称「めがね」が世界の文学の本を隠し持っているという情報を得る。当時は禁書とされていた本を盗み出した二人は、お針子と一緒にその本を洞窟に隠し、字が読めないお針子のために読んで聞かせた。それらの文学は今まで外の世界を知らなかったお針子を次第に変えていくのだった・・
私評:バルザックが彼女を変えた・・・めちゃ面白かった。上のシノプシス以外にも心に残るエピソードがいっぱいあります。しかし、1970年代になってもまったく文明から切り離されていたこの村に、二人の青年が持ち込んだ目覚まし時計、バイオリン、映画を聴く会などが、少しずつ人々を変えていく様が微笑ましい。そして何よりヨーロッパの貴婦人の話を聞いたお針子が、自分の殻を破って行く様は微笑ましい反面、何か心にしこりを残すのです。それはまっさらな心に入り込んだ邪悪なもののようにも感じられるのです・・。この映画の中で好きなシーンが「映画を聴く会」のシーンです。文盲の村民のために青年たちが町で映画を見て、それを語って聞かせる会があるのです。そのシーンはすごく好きです。この映画は中国が舞台のフランス映画。それゆえ普通の中国映画とは雰囲気もちょっと違います。しかし、それが良い雰囲気を醸し出しています。もちろん、水墨画のような中国の美しい風景も要注目。主演は中国では超人気女優ジョウ・シュン、そして最近出演作が目白押しの「山の郵便配達」のリィウ・イエ。心に残る秀作でした・・。
壬生義士伝  監督:滝田洋二郎  出演:中井貴一、佐藤浩一、夏川結衣、村田雄浩
Mibugishiden  2002年 日本映画
京都の壬生で産声を上げた新撰組。数々のエピソードを残してきた希代の軍団も歴史の流れには逆らえず、内部崩壊も始まっていた。そんな状況を醒めた目で見る男、斉藤一は組頭の近藤勇からも一目置かれる男だった。ある日、新撰組の入隊試験の場にひと際腕の立つ男がいた。彼は盛岡何部藩出身の吉村寛一郎だった。斉藤はこの吉村にはうんざりしていた。酒の席の帰り、斉藤は吉村に急に斬りかかるが吉村は斉藤の剣を跳ね返し「自分は死ぬわけにはいかない。だから人を斬るのだ」と告げた。寛一郎は金に執着してた。実は彼には国に残した妻と3人の子供がいた。盛岡では食うにも困り、吉村はやむなく脱藩を決意し新撰組へと入隊したのだ。彼の剣の力はそんな家族を思う力だったのだ・・・・。
私評:何があっても刀は離すな。敵が来たら振り回せ。それでもダメなときは相手の腰にしがみつけ。何があっても生きて戻って来い・・・松竹映画が昨年の「たそがれ清兵衛」で描きあげた日本人の「美徳」、そして」誉」がこの映画でもすごく良く描かれている。美しい故郷を思う心、そこに残してきた家族のために、必死になって戦う吉村。そしてこの映画の中で一番強烈なセリフが生まれた。斉藤一は「俺は誰も俺を切ってくれない・・。死ぬ覚悟はできている」という。しかし、吉村は「自分は死ぬわけにはいかない。生きるために人を斬る」という。しかし、家族の事を思いながらも男として、そして武士としての「義」も備え持っている吉村という男が私は大好きです。私は原作も大好きなんです。作者は活字で人を感動させる達人浅田次郎。彼の本には何回も泣かされたけど、この「壬生義士伝」もその一つです。原作はかなりの長編ですが、映画はエピソードのいくつかを省きながらも、良い構成になっていました。ただ、後半吉村寛一郎が一人語るシーンがあるのですが、これが異常に長い・・・。このシーンだけがちょっと気になりました。主演は中井貴一。私は前にも書いたかもしれませんが、中井貴一ってあまり好きじゃないのですが、この映画の彼は最高でした!!そして斉藤一役の佐藤浩一が、また良いんです。そして私の大好きな夏川結衣!!彼女もだんだんメジャーになってきました!
T.R.Y. トライ  監督:大森一樹  出演:織田裕二、渡辺謙
TRY  2002年 日本・中国・韓国映画
時は20世紀の初頭。世界を股に掛けるペテン師、伊沢修は活気あふれる上海にいた。武器商人を詐欺でだまし大金を巻き上げた伊沢だったが、ついに彼も捕まり監獄へ。金持ちは伊沢に「赤い眉の殺し屋が来る」と告げた。所内で赤い眉の男に殺されかけた伊沢を救ったのは中国人の関飛虎だった。彼は監獄内で彼を守ることを条件に、とてつもないプランを伊沢に告げ、そのプロジェクトの協力を依頼する。それは日本陸軍から大量の武器と弾薬を奪い取ることだった。陸軍のエリート中のエリート東を陥れるため、伊沢は巧妙に罠を仕掛けるのだが・・・・・
私評:所詮、俺は3流のペテン師なんだよ。革命なんかに興味はない・・・織田裕二はやっぱり映画スターですね。TV番組に出るより映画に出て欲しいな。今回のペテン師・伊沢修役はまさにはまり役。なかなかカッコ良かったです。ストーリーも次々と張り巡らした罠の数々、そして軽快なやり取り、ラストは怒涛の大アクション!と楽しめました。時間も長くないのでダラダラした感じがなくて良いですね。日中韓の3カ国が共同で作った映画というのも実に興味深い。それぞれの国から良い役者が出揃い映画に花を添えます。しかし、私が一番注目したのは男優たちのファッション!1900年代初頭のスリーピースにカンカン帽、(しかも、ベストにボタンがいっぱい付いててこれがカッコいい!)開襟シャツの白のスーツなどおおお!と思うファッションで、次々と衣装を変えていく。私は普段は決してオシャレではないのですが、この映画はとても参考になりました・・。織田裕二の宿敵(?)になる日本陸軍の東を演じる渡辺謙が、またカッコいいんですよ〜。エンターテイメント作品としてはなかなか良くできている映画だと思いました。
イナフ  監督:マイケル・アプテッド  出演:ジェニファー・ロペス、ビリー・キャンベル
Enough  2002年 アメリカ映画
ウェイトレスのスリムは、ひょんなことで知り合ったミッチお恋に落ち結婚。かわいい娘も生まれ彼女は幸せの絶頂だった。しかし、ある夜ミッチのペイジャーに入ったメッセージを見たスリムは、彼が浮気をしていることを知る。言い訳をしてたミッチもついには開き直り、なんと浮気をしていることを認め、しかもスリムに暴力をふるい彼女を服従させようとした。そんな夫に耐えられなくなったスリムは家を出ようとするが、ミッチはそれを許さずその都度スリムは暴行を受けていた。やっとの思いで娘を連れ家を飛び出したスリムは、別の土地に移り住み名前を変え別人として新しい人生を歩き出した。しかし、そんな生活も長くは続かなかった。ミッチは彼女を見つけ、追いかけてきたのだ。ついにスリムの中で、何かが弾け飛んだ。そして彼女がとった手段とは・・・・
私評:Piece of Cake! Piece of Pie!! ・・・・ドメスティック・バイオレンスの作品が数々ありましたが、この映画はすごい迫力でした。恐ろしい夫が追ってくるという展開はジュリア・ロバーツの「愛がこわれるとき」とちょっと似ていますが、どちらも共通して怖いのが、夫役がめちゃめちゃ怖いこと。今回、ミッチを演じたビリー・キャンベルがとにかく不気味。でも、彼をそこまで突き動かす力の源は、もしかしたらスリムに対する彼の愛なのかもしれない。映画の中で「浮気相手はセックスの処理だけ・・、愛しているのはお前だ」みたいな台詞があるんですよ。スリムがそれを浮気だから仕方ない・・と諦めてしまえばこの悲劇は起こらずに済んだのですね。しかし、"そんなことは何があっても絶対に"許さない女の代表みたいなジェニファー・ロペスがスリム役だから、この映画は成立するのです(?)。ラストがまさかあんな展開になるとは思いもしませんでしたが、これもすべてジェニロペがなせる業。やっぱり彼女はすごいです。スリムの親友役で久々にジュリエット・ルイスを見ました。ちょっと軽い子連れの未亡人役なのですが、それがまたピッタリ!でも、彼女も脇役になっちゃったんですね・・・。


前回の記事も読んでね〜!



I Love Movieに戻る