2003/1/5号

さあ、2003年の一発目です。イチ押しはオール・ナイト・イベントで見た最新作。

ハンテッド  監督 :ウィリアム・フリードキン  出演:トミー・リー・ジョーンズ、ベニトチオ・デル・トロ
The Hunted  2003年 アメリカ映画
今週のイチ押し:森の中でハンターが殺害された。犯人は元特殊部隊のエリート、ハラーム。彼の逮捕に手を焼いたFBIは追跡の天才L.T.に強力を求める。実は以前、特殊部隊でL.T.はハラームの教官だった。天性の追跡者L.T.と追われることに快感を覚える頭脳凶悪犯のゲームが開始された。第一ラウンドはL.T.がハラームを取り押さえ、逮捕に成功する。しかし、ハラームは逃走に成功。そしてL.T.に対し、自分自身を追いかけることをふたたび要求する。そして自分を追わなければ毎日一人ずつ人を殺すと告げる。ついにゲームの第2ラウンドが開始された。その間にFBIの捜査官が一人、また一人と犠牲になっていく・・・
私評:かくれんぼをしようぜ・・・。トミー・リー・ジョーンズが野生動物保護教会の従業員で森を駆けずり回る男。しかし、彼は元特殊部隊の教官。そしてベニチオ・デル・トロが歴戦の勇士で帰国後も戦争の興奮に駆られる男。そしてこの二人がガチンコ勝負をします。それがまた、すごい迫力。素手の殴り合い、ナイフを使った殺し合い、森に仕掛けられたブービートラップ・・・。この魅力的な男優二人の対決を見ているだけでも十分に楽しめる映画なのですが、迫力のシーンの連続に度肝を抜かれっぱなし。それもそのはず監督は(最近ヒット作がなかったけど・・・)オスカー監督のウィリアム・フリードキン。オープニングの戦場のシーンから気合が入ってました!ベニチオがちょっとランボーみたいに見えるところがありますが、それもご愛嬌。しかし、トミー・リーは「追跡者」でも追う男を演じましたが、この映画のL.T.役はまさにはまり役。これは拾い物の映画でした。
 
ゴーストシップ  監督:スティーブ・ベック  出演:ジュリアナ・マグリース、ガブリエル・バーン
Ghost Ship  2002年 アメリカ映画
イタリア船舶界の威信をかけ、1954年に就航した豪華客船アントニア・グラーザ号。だが1962年春、アメリカに向けて大西洋を航行していたこの船は、突然一切の連絡を絶って姿を消してしまう。それから40年後、海難救助会社“アークティック・ウォリアー”のメンバーたちは、カナダ空軍のパイロットのジャックから、ベーリング海に漂う謎めいた船の話を聞く。現場に到着したメンバーたちがそこで見つけたのは、40年来行方不明だったアントニア・グラーザ号だった。船内は無人。海事法によれば、こうした場合発見者がその船についてすべての権利を保有することになる。やがて船内からは大量の金塊も見つかった。しかし、乗組員のひとりモーリンは船内で何度も少女の姿を見る。いったい、この船で何が起こったのか??・・・・
私評:ダークキャッスル・エンターテイメントの次なる作品は幽霊船。怖さは中くらい、謎解きも中くらい、だけど映像がすごい。映画が開始されてまもなく、ど肝を抜くようなすごいシーンがあります。思わず「お〜!!」と声に出してしまった。もし、あんな状況で死んだら・・・。そして40年の時を経てボロボロになった船の中での映像がすごい。時間が逆戻りする部屋のシーンはすごいですよ〜(ボールルーム)。そして圧巻はラストシーン。(あれってハッピーなシーンなんでしょうね・・)美しさにウットリでした。 ラストのオチはちょっと・・・ね。主演のジュリアナ・マグリースはなかなかの熱演だったのですが、華がないですね。そして唯一のビッグネーム、ガブリエル・バーンも・・・、あんな○○方で良いのか??まあ、91分という短い映画なので、サクっと見れる映画だと思いますよ。
スイート・シックスティーン  監督:ケン・ローチ  出演:マーティン・コムストン、ウィリアム・ルアン
Sweet Sixteen  2002年 イギリス・ドイツ・スペイン映画
スコットランドの片田舎に住むリアムは15歳。彼は服役中の母親を愛していた。父親を亡くしていたリアムは、母親の恋人スタンと一緒に住んでいたが、家を飛び出し姉のシャンテルの家へと転がり込む。リアムの夢は、出所した母親と住む家を持つことだった。そして彼は丘の上の一軒家を手に入れたいと思う。そんな時、リアムが考えたのはスタンからドラッグを盗み、それを売りさばくことだった。まんまとドラッグを盗みあっという間に金を稼いだリアムはその金を、丘の上の家の頭金としてつぎ込む。そんな時、この街のドラッグを牛耳るビッグ・ジェイに呼び出されたリアムは、逆にビッグ・ジェイに気に入られ、彼の元でドラッグの売人になる。リアムは売人としてどんどん成りあがって行くが・・・・・・・。
私評:あれは勇気じゃない。自分を捨てただけ・・・・見ていて辛くなる映画だった。それは子供と大人の境目にいるリアムが暴走していく様が悲しかったからです。母親との幸せな生活を夢見るリアムは、本当に純真で愛すべき少年。不良で、バカな真似はするけれど、それさえも愛すべき行為だったのですが、夢を手に入れるために、がむしゃらに悪の道に突き進んでいく彼が悲しい。そしてもっと悲しいラストの彼に対するさまざまな仕打ち。ラストは最終的な答えを見せずに映画は終わってしまうので、余計に遣る瀬なさが心に残る。この展開はいかにもケン・ローチ監督の映画って感じがしましたね。決してハッピーな映画ではありませんが(というか、かなりブルーになります)すごく印象的な映画でした。それはリアムの気持ちが痛いほど理解できたからでしょうね。主演のマーティン少年はこの映画がデビュー作とは思えないほどの演技。そして彼の親友役のウィリアム・ルアンが、またすごく良いんですよ。しかし、この映画の”英語”は全然聞き取れませんでした。映画祭では英語作品なのに英語字幕を付けて上映したとか・・・。
007/ダイ・アナザー・デイ  監督:リー・タマホリ  出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー
Die Another Day  2002年 アメリカ・イギリス映画
ジェームズ・ボンドの今回の使命は北朝鮮での武器の売買の現場を押さえること。地雷原でのホバークラフトを使った攻防の末、ボンドは敵に捕まり14ヶ月に渡り拷問を受ける。ところがある日、彼は急に釈放される。彼はやはり捕虜になっていた、北朝鮮のザオとトレードされたのだ。しかし、彼は諜報部員としてのライセンスをなくしてしまう。彼を陥れた裏切り者を挙げるため彼は単身キューバに渡り、そこに根付くテロ活動を暴こうとしていた。そこで彼はジンクスという女性と出会う。ミステリアスな彼女もテロと戦っているようだ。そして行き着いたテロの黒幕は、財力に物を言わせ北朝鮮に武器を横流しをし、ふたたび世界大戦を起させようと企んでいた・・・・・・・・
私評:マイ・ネーム・イズ・ボンド。ジェームズ・ボンド・・・・オープニングは暗い海でのすごいサーフィンのシーン。そして絶体絶命のピンチから無事に脱出・・・・・これが今までの007のパターンだったが、今回は逃げられずボンドは捕まってしまう。この展開に「お〜、今までと違うぞ!!」と期待値がグーンと上がる。マドンナのテーマ曲に合わせてボンドの拷問シーンが続く。しかし、外に出てからは相変わらずの展開。最後には必ずボンドが勝つのだから、その辺りは仕方ないのですが、どうもワンパターン化してないか?? それにしても過激なアクションシーンは回を追うごとに迫力を増していく。しかも、今回の車はついに・・・・。こんな事あり得ないでしょう(笑)。ピアーズ・ブロスナンもすっかりボンド役が定着して、まったく違和感なし。というか、もう彼以外のボンドは考えられない。まだ、何作か出演するみたいですね。今回のボンドガールは、昨年のオスカー女優ハル・ベリー。キューバで海から颯爽と登場するシーンはめちゃセクシーでしたが、私的にはもう一人のボンドガールのロザムンド・パイクの方がインパクトがありました。なんだか、回を追うごとに大雑把になっていくような気はしますが勧善懲悪のアクション映画を見たければ、それなりに楽しめるのでは??しかし、舞台が北朝鮮というのが洒落にならない・・
シベリア超特急3  監督・主演:マイク水野(水野晴郎)  出演:三田佳子、宇津木健
Siberian Express 3  2002年 日本映画
瀬戸内海で豪華クルーズ船でパーティーが行われていた。主催者は有名デザイナーの森裕美。そのパーティーに呼ばれたマスコミ界の巨頭、宮城伝蔵の誕生日を祝うパーティだった。しかし、そのクルーザーの上で事件が起こる。招待客の一人が背中を刺され死んでいるところを発見されたのだ。彼が死ぬ前に部屋に入っていった謎の女は、煙のように姿を消していた。しかし、その事件の現場を見て伝蔵と彼の友人沢村は60年前の事件を思い出す。・・・・ヒトラー、スターリンとの会談を終えシベリア超特急で帰国途中の山下大将。ところがこの列車の上で殺人事件が起こる。金髪の謎の女が窓に書いたπの文字、殺害現場に最後に入っていったのも彼女だったが、被害者は背中にナイフを突き立てられ、女は煙のように姿を消してしまう。はたして事件の真相は??そしてクルーザーの上での事件との繋がりは??・・・・
私評:もう、悲劇は見とうない・・・・Mike Mizuno こと水野晴郎が監督・原作・脚本・製作・訳詞を務めるシリーズの第3弾。前2作は思わず笑っちゃうほど、安っぽい感じの映画だったのですが、今回はなかなか良くできた映画でした。(というか見慣れてしまったのかな・・??)いつもだと、せっかくの映画を水野晴郎がぶち壊してしまうのですが、今回はまあまあの演技で無難にこなしていました。しかし、相変わらずパクリまくりの内容です。オープニングでデ・パルマもビックリの長回しのシーンがあります(なんと11分!!)。ずっとカメラに追われる三田佳子の演技もなんだかぎこちない・・。そして今まであった名作映画のシーンが次々と登場します。これは見方によってはかなり楽しめる。このシリーズはいつもすごい俳優が登場するのでビックリしてしまう。今回も三田佳子、宇津井健というすごい面子です。また、この映画のエンドクレジットが終わった後に、新たな謎解きがあります。これも見逃さないように・・。パート4もできるらしいので、また見に行かなくちゃ・・・。


前回の記事も読んでね〜!



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