2001/1/5号

明けましておめでとうございます。 2000年の締めくくりは妙なテンションのタイ映画。 そして2001年の
最初は血なまぐさいヤクザ映画&ホラー映画でした。(笑) 私らしい??

私が愛したギャングスター  監督:サディウス・オサリヴァン 主演 : ケヴィン・スペイシー、リンダ・フィオレンティーノ
Ordinary Decent Criminal  1999年 イギリス・アイルランド映画
今週のイチ押し作品! アイルランドの街ダブリン。 マイケル・リンチは天才的な強盗団のボスだ。知的センスでマスコミや世論を見方に付け、いとも簡単に犯罪を繰り返す。 しかも、彼の目的は金ではない。警察を煙に巻き逃げ延びる”スリル”こそが彼の生き甲斐なのだ。そんな彼も仕事(?)を離れ家に帰れば(二人の妻を持つこと以外は)理想的なマイホーム・パパ。 家族には惜しみない愛情を注いでいた。次に彼のターゲットはカラヴァッジオの絵画の強奪。観光客に扮し美術館に忍び込んだ彼らは、まんまと絵画の強奪に成功する。 しかし、このヤマを境に彼の運命は思わぬ方向へ・・・。 

私評:ダブリンに実在したカリスマ的ギャング、マーティン・カーヒルという人物が、この映画のマイケル・リンチのモデルになっているらしい。彼の存在はまったく知らなかったが、この映画を見た後、ちょっと調べてみた。実際彼も金目当てではなく、盗み自体の行為に憑かれた男だったみたいです。まさに、映画の題材としてはうってつけの男ですね。そんなカリスマ強盗を演じるのが、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのケヴィン・スペイシー。 この役に惚れ込んだと言うだけあって、ノリノリの演技。 パンツまで脱いでくれます。(笑) 彼の一番目の妻が、リンダ・フィオレンティーノ。彼女って知的なマスクと、ちょっとアホっぽい演技のギャップが良いです。(「MIB」でも「ドグマ」でもそうでしたね!) スティーブン・ディレーンが演じる刑事クイッグリ−の最後のセリフが、なんとなくルパン3世に向けた、銭形警部のセリフのように聞こえたのは私だけでしょうか? ラストの検死のシーンは最高。 大爆笑でした。 

 ぼくの国、パパの国   監督 : ダミアン・オドネル    主演 : オーム・プリー、リンダ・バセット
East is East  1999年 イギリス映画
私評:1970年代、イギリスの小さな町に住む大家族。 彼らのパパはパキスタン人、ママはイギリス人、そして子どもたちはみんなイギリス生まれ。しかし、パキスタン人のパパは全てをパキスタン風にし、家族に押し付ける。 ついには息子たちの嫁まで勝手に決められてしまい、子どもたちは反旗を翻したが・・。 国や文化の違いってなかなか知る機会がないけれど、この映画でパキスタンの「恐ろしい」文化を垣間見る事ができました(笑)。 果たして全て本当なのかどうかは??ですが・・。 しかし、伴侶を親たちが勝手に決めると言うのは、困った風習ですね。 でも、パパの立場からすれば、パキスタンでそれを当然として教えられ、その事自体を「正しい」とハナから信じているので始末に負えない。でも、それもパパなりの愛情だったりするから、憎めなくて・・。 でも、一番の被害者はママでしょう。 「なんで、こんなパキスタンのおっさんと結婚して、いまだに連れ添っているのか??」。 私は終始そんな事を思っていたのですが、ラストに二人の経営する店でのパパとママの会話を聞いて、「なるほどね!」と納得させられた。 それって理屈じゃないんだよね。 有名人はまったく出ていないだけに、余計にこの映画には不思議感が漂っています。 笑って笑って、ちょっと怒って、そして泣かされて。 こんな映画は大好きです。 
ダンサー・イン・ザ・ダーク  監督 : ラース・フォン・トリアー 主演 : ビョーク、カトリーヌ・ドヌーヴ、デヴィッド・モース
Dancer In The Dark  2000年 デンマーク映画
私評:2000年のカンヌの話題を独占した話題作が日本上陸。チェコからアメリカにやってきたセルマは女手一つで息子を育てている。しかし、彼女には誰にも言えない悲しい秘密があった。病のため視力を失いつつあり、手術を受けないと息子も同じ運命を辿るのだ。生活を切り詰め、彼の手術ために少しずつお金を貯めていたが、・・・。 ビョークの演技にはマイッタ。 不幸な運命を受け入れつつ、息子のためにただひたすら働き続ける。母親の愛の大きさを体現した彼女の演技は素晴らしかった。 そして辛さを乗り切ろうとする時、彼女の中のどこかで創り上げられるミュージカルのシーンが秀逸だ。目の見えない彼女には日常のノイズがリズムになる。 列車の音、工場の機械・・。 ラストは心臓をぎゅーっと掴まれたような衝撃だった。 とても辛かった。あまりの悲しみに涙が溢れた。 ラース・フォン・トリアー監督の作品は「奇跡の海」の時にもそうだった。 もう、2度と見たくない映画です。 でもこの映画自体は素晴らしいと思います。 あくまで私には辛すぎる映画なので・・。 共演陣はメッチャ良かったですね。 特にカトリーヌ・ドヌーブは最高。 セルマの一番の理解者でしかも親友。 普通のオバさん役なのですが、彼女が演じるとちょっと違う! 素朴な役柄であるのですが、彼女の迸る愛情が見る側に伝わってくるはず。 カトリーヌは自らこの役を志願したとのこと。 そしてセルマの隣人のデヴィッド・モース! やっぱり彼は良い! 今回は非常に難しい役柄であるはずなのに、すんなりと演じてしまうところがスゴイ! しかし、彼のせいで・・・。この映画は一人で見るべきですね。メッチャブルーになって下さい。
ナトゥ 踊る/ニンジャ伝説  監督 : 大森一樹  主演 : 南々見狂也、ケディ、天山
Nattu  2000年 日本=インド映画
私評:日本テレビの人気番組「ウリナリ」のメンバー総出演の和製マサラムービー。 インドの片田舎に住む仲の良い兄妹ナトゥとケディ。頭の良いケディは大学に行きたいと思っていたが、貧しい家計を考えると・・。ナトゥが仕事をしていた大邸宅に彼の憧れの歌手ミーナがやってきた。その夜、彼女は何者かに誘拐されそうになるが、ナトゥの活躍で無事救出。次の日から彼はミーナのボディーガードになる・・。 なんだかTVのバラエティーのキャラをスクリーンで見るのはちょっと変な感じだ。「あ、ウドだ!ウッチャンだ!!」。 しかも、舞台がインドだから余計に変に映るんですね。 マサラムービーが苦手でほとんど見ない私も、「ウリナリ」は良く見ているので、映画を見たわけですが、やっぱり私には、マサラムービーは合わないようです。 まあ、この映画を純インド産のマサラと比較したら、マサラムービーファンが怒るかもしれないけど・・?? 不思議パート2は、全編吹き替えなんですね。 もちろん、インドの役者さんはインド語で、日本の役者さんは日本語で演じているのでしょうが、実際に見てみると、実に違和感がある・・。 監督は平成ゴジラシリーズの大森一樹・・・。 ついに、ここまで落ちたか・・。 話題性はあったんだけどね。 
シックスティナイン  監督 : ペンエーグ・ラッタナルホーン  出演:ラリター・パンヨーパート
6ixtynin9  1999年 タイ映画
私評:めっちゃ予告編が面白そうだったんです。でも・・。信販会社で働いていたトゥムはリストラに遭い呆然としていた。しかし、次の朝彼女部屋の外に怪しいダンボールが。中を見るとなんと現金がぎっしり詰まっている。彼女の部屋は6号室なのだが、ドアについている「6」の片側の釘が取れていて、いつも「9」になっていたため、間違えて届けられたのだ。部屋を間違えた事に気づいたヤクザが金を取り返しにやってくる。強引に部屋に入ってきた二人に必死に抵抗していた彼女は気がつくと二人を殺していた・・。本国タイでは全国で70ある映画館のうち45館で上映され、約1年に渡るロングラン。タイ史上最多の500万人を動員、社会現象にもなった・・という、宣伝文句から、さながら「タイ版のシュリ??」などと勝手に想像を巡らせていた私です。 映画の作り自体はとても面白いと思うのですが、私が残念なのは(恐らく)タイの映画の倫理規制。暴力シーンがとても中途半端にしか描かれていないんですね。本来であれば見せ場にもなるような、死体の解体シーンなどが、笑いに変わってしまった。けっこう、ブラックな笑いのシーンもたくさん含んでいると思うのですが、どうも笑えなかった・・。 タランティーノの真似をした、3つ巴の銃撃戦もとても軽〜く作られていました。 これもお国柄なんでしょうね。
BROTHER  監督・主演 :北野武  出演:オーマ・エプス、真木蔵人、加藤雅也
Brother  2000年 日本映画
私評:この映画はアブナイ! めっちゃ気に入る人もいるかもしれないが、嫌悪感を抱く人も多いでしょうね。東京での抗争の果てに組を失った男、山本。 逃げ場を失った彼は弟のいるLAに向かう。ジャンキーの売人をしていた弟、ケンのトレードの場で、やはり山本は本能に逆らうことなく銃を放った。そしてその小さないざこざは、巨大な組織を巻き込んでの大きな抗争へと広がって行く。殺るか、殺られるか。 そして逃げ場をなくした男たちは・・・。 バトル・ロワイアルでガタガタ言ってる議員さんがこれを見たらなんと言うだろうか? たけしの映画の独特の『間』が好きだ。 セリフとセリフの間の、一瞬の静寂・・。 特にこう言うバイオレンス映画にはめっちゃ効果的だと思う。 でも、この映画を好きか嫌いかと言われれば、私は即「嫌いです」と答えるでしょう。この映画の主人公は「この男、狂暴につき」よりスゴイ。 人を殺す事なんかなんとも思っていない。 でも、たけしはこういう役が多いですね。 でも、たけしは「あの夏一番静かな海」みたいな叙情的で、感動で心を揺さぶるような映画も作るのに・・。対極にこういう映画があるのかな? まったく良く分からない人ですが、それがまた、魅力なんでしょうね。 
ヘル・レイザ−/
ゲイト・オブ・インフェルノ
 監督:スコット・デリクソン  出演:クレイグ・シェーファー、ダグ・ブラッドリー
Hellraiser Inferno  2000年 アメリカ映画
私評:デンバー警察のジョセフ・ソーンは几帳面な男。ある日、彼の管轄で体中の肉を引き千切られて殺されるという猟奇的な事件が起こる。しかも、被害者はジョセフの高校時代の同級生。現場で彼はパズルのような不思議な箱を見つける。そしてパズルボックスが開かれた夜、彼は地獄の魔道師たちに襲われる夢を見る。次の日から彼に関わる人物が次々と無残に殺される。そして捜査線上に浮かび上がったエンジニアと呼ばれる謎の人物が浮かぶ・・・。 おなじみのシリーズですが、いつもの魔道師はピンヘッドだけ。(だと思う) 娼婦のような二人組の女魔道師、そして歯をカチカチ鳴らす、胸から下のない魔道師。 今回はこの3つ魔道師が主人公をいたぶる。でも、やっぱり1作目のあの究極のマゾヒズムには足元にも及ばない。例の鉤で肉を引き千切るシーンも甘いぞ! このシリーズが好きだから、余計に厳しい評価になってしまう。 ダグ・ブラッドリーはヘルレイザーシリーズの全5作品に出演し、ピンヘッド(左の写真の魔道師)を演じている。 これもすごい事だと思う。 彼の演技に免じてこの映画も○としましょう! 映画館はガラガラで観客は10人にも満たない。 そのうち、5人は場違いなオバちゃんのグループで、こんな映画を見ながら弁当をバリバリ食べてました。(笑) パズルボックスも魔道師たちも健在のまま映画が終わったのでの、また続編があるのかな? ほとんど、ジェイソン&フレディー化しているこのシリーズですが、きっと私は見るでしょう。(爆)


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