12/15/2003
忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。
大統領の陰謀 | 監督:アラン・J・パクラ | 出演:ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン | |
All The President's Men | 1976年 アメリカ映画 | ||
1972年6月17日土曜日の午前2時30分。ワシントンのウォーターゲート・オフィス・ビルの5階にある民主党全国委員会本部に5人の男たちが侵入した。彼らは来るべき秋の大統領選挙にそなえて必勝を期する民主党のキャンペーンを攪乱するために、秘かに雇われた者たちだった。しかし、ビルの警備員に発見され、たちまち警察に通報、不法侵入の現行犯で逮捕された。そして事件から数時間後、ワシントンポストの新人記者ボブ・ウッドワードが局長に呼ばれた。この事件についての調査を依頼されたのだ。そしてこの事件に大きな陰謀の匂いを嗅ぎつけたベテラン記者カール・バーンスタインも事件について調査を始める。そして二人はこの侵入事件が国家の自由な選挙制度とプライバシーに対する市民権を破壊しようとする巧妙な犯罪である事を突き止める。つまり、ニクソンが大統領再選のために汚い手を使ったという事だ。そして二人の公の調査が開始されるが、政治家の圧力が二人を妨げる。訳の分からない国民からは誹謗中傷が浴びせられる。しかし、二人はめげなかった。次々と真実をすっぱ抜き、ついには国会で真相を究明するに至る。ニクソンを失脚へと導いていく・・・・。 | |||
私評:これはアメリカで実際に起きた「ウォーターゲイト事件」の映画です。登場人物、設定もすべて実名で、さながらドキュメンタリーのような作りになっています。ところが、この事件というのが、実に映画的な題材なのです。国家のトップの陰謀を2人の新聞記者が暴いていく様が、とても痛快でそして迫力があります。しかし、ニクソンという男は本当にすごい。良くも悪くも彼ほど記憶に残る大統領はいまだかつていないのでは?物語はだんだんと加速していくのですが、それに伴い、二人の叩くタイプライターの音もだんだん早くなっていきます。その音が見るものをドキドキさせワクワクさせるのです。主演の二人は当時の超売れっ子ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマン。二人の演技は「火花が散る」といった表現がピッタリ。そして二人の上司役のジャック・ウォーデンが重厚な演技を見せます。同僚のマーチン・バルサム、謎の男ディープ・スロート役のハル・ホルブルックなどの脇役も最高です。この映画を見た後にオリバー・ストーンの「ニクソン」を観ると、また一段と面白いんですよ〜。そしてこの報道により、一介の地方新聞に過ぎなかったワシントンポストは米国でクオリティーペーパーとしての地歩を固めたという、おまけ付き・・・。これめちゃめちゃ面白い映画ですよ! |
|||
愛と青春の旅立ち | 監督:テイラー・ハックフォード | 出演:リチャード・ギア、デブラ・ウィンガー | |
An Officer and the Gentleman | 1982年 アメリカ映画 | ||
シアトルに住むザックはパイロットになるため海軍士官学校を目指していた。彼の父親も軍人だった。ザックは父親の赴任先のフィリピンで悲惨な少年期を過ごした。父の反対を押し切りザックはシアトルの近くにある、レーニエ基地内の学校に入学を果たした。ザックと同期で入学した士官候補生は34名。彼らを待ち受けていたのは黒人の鬼軍曹フォーリー。これから13週間に渡り、フォーリーは士官候補生をしごきまくる。4週が過ぎた頃、彼らは市民との懇親パーティに出席が許された。ザックと同期のシドはパーティでポーラとリネットに出会う。彼女たちは近くの製糸工場の女工で、パイロットと結婚する目的で彼らを物色していたのだ。ザックはポーラと、シドはリネットと付き合うようになる。フォーリーは他の仲間と関わろうとしないザックに対して特別なしごきを与えた。そして彼に任意除隊を勧めるが、ザックは頑として断り続け、フォーリーのしごきに耐えた。一方、シドはリネットが妊娠したと聞いて除隊を決意し、彼女の元に婚約指輪を持って訪ねるが、リネットはパイロット以外とは結婚しないと言う。ショックを受けたシドは・・・。一方、ザックもポーラが玉の輿を狙っている事を知る・・・・ | |||
私評:お前を忘れない・・・・リチャード・ギアという男優を初めてカッコいいと思ったのがこの映画です。その前の彼といえばジゴロみたいな役ばかり。ところがこの映画では、不良っぽいチンピラからOfficerに変わって行く男を見事に演じ上げた。ラストの制服姿でポーラを抱き上げるシーンなんてめちゃめちゃクサーイのですが、彼がやると様になってしまうんですね。この映画は基本的にはラブ・ストーリーですが、私は教官のフォーリーとザックの絡みが好きです。最初はフォーリーのザックに対する態度は「毛嫌い」だったのですが、ザックの真情を探るうちにお互い打ち解けてくる。この展開がすごく好きだ。そして卒業を迎え、卒業生は軍曹のフォーリーの上司になるのですが、そこでザックがフォーリーに言った「お前を忘れない」というセリフは、短いけれどすごく素敵なセリフだと思いました。フォーリー役はルイス・ゴセット・jr。彼は本当に素晴らしかったです。この作品で彼はアカデミー最優秀助演男優賞を獲得しました。そしてポーラ役は今や伝説の女優?デブラ・ウィンガーです。彼女もこの映画でアカデミー主演女優賞にノミネートされました。しかし、この映画でも今年の「シカゴ」でも周りのみんなはアカデミー賞に登場するのに、リチャード・ギアだけはいつも蚊帳の外・・・。 | |||