10/14/2002


忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。
今回は日比谷のシャンテ・シネの?落としで公開された映画が2作品です。

紳士協定  監督:エリア・カザン  出演:グレゴリー・ペック、ドロシー・マグァイア
Gentlemna's Agreement  1947年 アメリカ映画
人気ライターのフィリップ・グリーンは週刊誌の編集長ミニフィの誘いでニューヨークへとやってきた。そこで彼は反ユダヤ主義に関する記事の執筆を依頼される。この企画の発案者はミニフィの姪のキャシーだった。フィルはパーティで彼女を見て心を動かされた。フィルは記事を書くため自ら「自分がユダヤ人だ」と偽り社の幹部の昼食会で、その事を告げる。実は彼の秘書のウェイルズも本当はユダヤ人で、自らの素性を隠していたのだ。こんな一流会社の中にまでユダヤ人に対する差別が横行していることを知り、愕然とするフィル。それからも彼は数々のユダヤ人に対する差別を目の当たりにする。そしてついにフィルの記事は完成する。「私は8週間ユダヤ人だった」という記事が・・・・・・。

私評:いい人はいい人。私は偏見なんかない・・・・黒人差別の映画は今でもたくさんありますが、ユダヤ人差別の映画は第2次世界大戦のヒットラーの占領下でしか見たことがない。この映画は社会的な映画としても、すごいセンセーショナルな作品だったと思います。このユダヤ人に対するバッシングは1950年位を境に、急速に力を失ったらしいですが、この映画を作った頃はまさにそういった風潮の真っ只中だったはず。このことを考えると、「この映画の持つ意味」ってすごい事だと思いませんか?また、この映画の「紳士協定」っていうタイトル自体がすごく皮肉っぽいですよね。この映画の中では直接ユダヤ人に対してバッシングするのではなく、そういった偏見を見て見ぬ振りをすること。その沈黙って面と向かって言葉を放つ差別より酷い。この映画はそんな事実を、包み隠さずに真正面から捉えています。主演はこの頃のハリウッドのトップスターのグレゴリー・ペック。いかにも意志の強い、そして正義感あふれる男が似合う。また、輝くばかりの美しさのドロシー・マグァイアには、目が釘付けです。そしてフィルのユダヤ人の友人役のジョン・ガーフィールドがまた、良いんですよ・・。これは見なきゃいけない映画でしょう?? 

グッドモーニング・バビロン!  監督 : パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ  出演:ヴィンセント・スパーノ、ジョキアム・デ・アルメイダ
Good Morning Babilonia  1987年  イタリア・フランス・アメリカ映画
1913年、イタリアトスカーナ地方。ロマネスク様式の「奇跡の聖堂」の修復がおわった。その修復を請け負ったのはロマネスク大伽藍の建築と修復に代々携わってきた、ボナンニ家だった。しかし、借金に追われ、一家にとってこれが最後に仕事となった。7人の息子の末息子2人はアメリカに渡り金を稼ぎ、ふたたび戻って家業を続けると心に誓った。アメリカに渡った二人はサンフランシスコ博でイタリア館の建築の一行に交わる。そんな時、歴史的なイタリア映画「カビリア」を一人で鑑賞する一人の男がいた。彼の名はグリフィス。彼は宿願の超大作「イントレランス」に着手した。二人はグリフィスの下で「イントレランス」のバビロンの宮殿のセットの象を依頼される。そして二人は踊り子のエドナとメイベルに恋をし、そして結ばれる。そして超大作「イントレランス」は完成した。幸せいっぱいの二人だったが、ある事件が元で諍いを起こしてしまう・・・・
私評:一緒にいることがお前たちの力なんだ。覚えておけ、お前たちはいつも平等だ・・・・・ハリウッド映画の創成期にイタリアからやってきた二人の兄弟の話です。実は私はこの映画を見るまでグリフィスという名前を知りませんでした。そしてこの映画を見て「イントレランス」という映画を知ったのです。もう、見たくて見たくて・・・。そしてこの映画を見た2年後の1989年。フジテレビの企画でついにこの映画を見ることができました。しかも、武道館で!サイレント映画だったので、音楽は生で東京フィルハーモニーが演奏するという、めっちゃ贅沢な環境で見たのです。そしてそこで見つけました。この「グッドモーニング・バビロン!」でイタリア兄弟が作った象を。なんだかすごく感激してしまった。しかし、この映画は途中までは兄弟が力を合わせ、少しずつ夢に近づいていくハッピーな話なのですが、後半はかなり暗い話になってしまいます。ラストシーンはかなり辛いシーンでした・・。また逆に、この映画の中ですごく好きなシーンは、兄弟がそれぞれ好きになった踊り子の娘のために蛍を捕まえて見せるシーン。あれはもう最高でしたね。それと映画のスタジオの中に、太陽の光を取り込むシーン。「映画は光だ!」。まさにそうなんですよね。


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