10/7/2003
忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。
パピヨン | 監督:フランクリン・J・シャフナー | 出演:スティーブ・マックイーン、ダスティン・ホフマン | |
Papillon | 1973年 アメリカ映画 | ||
胸に蝶の刺青があり、「パピヨン」と呼ばれる男がいた。彼は無実の罪で捕まり今、悪魔島と呼ばれる島に護送されようとしていた。島に向かう船の中でパピヨンはドガという男と出会う。彼は偽札作りの天才で、偽の国債を作りこの島に送られる事になったのだ。パピヨンはドガに身を守る代わりに金の工面をしてもらう事にした。パピヨンの頭の中には「脱獄」の二文字しかなかったのだ。この島に生息する蝶の売人を丸め込んで、手配をつけたはずが、彼に裏切られパピヨンは2年間独房で過ごすことに。わずかな食料と狭い部屋は彼の精神を病んでいく。しかし、そんな彼に毎日ココナッツが届くようなる。ドガだ。しかし、ドガの善意がパピヨンを更なる地獄へと突き落とす。看守にココナッツが見つかってしまったのだ。送り主の名前を頑として言わないパピヨンは、食料を半分にされ、しかも独房の光さえも失い暗闇の中で過ごした。彼は独房の虫さえも食し、そして2年の独房生活は終わる。独房を出たパピヨンは、すでに次の脱獄を考えていた。13年間にも及ぶ、彼の脱獄人生が続く・・。 | |||
私評:くたばってたまるか・・・。当時40億ドルもの巨費を費やし作成された超大作映画です。主演のスティーブ・マックイーンは当時としては破格のギャラを手にし、まさにトップスターの貫禄を見せつけたことでしょう。この物語は実話です。作者のアンリ・シャリエールがDVDの特典映像に登場し、マックイーンと対面するシーンは感動的だった。そして彼はこの映画のセットを見て震えたという。それはあまりにも当時の監獄とそっくりだったからだそうです。しかし、彼はこの直後に映画の完成を待たず亡くなってしまったそうです。まず、オープニングで街道を囚人たちがぞろぞろ歩いてくるシーンからして圧巻。そして実際に作られた収容所のセットもすごいです。そして一番の注目はやはりスティーブ・マックイーンの演技。いつもの飄々としたカッコ良さとは違い、地べたを這いつくばってでも生きながらえ、そして脱獄をしようとする執念だけで生きているような男を怪演していました。これは裏話ですが、この映画の超ハードな撮影ですっかり疲れてしまったマックイーンは、コッポラからオファーのあった「地獄の黙示録」の出演を断念。(妻のアリー・マッグロウの大反対もあったらしい)そして選んだのがサンフランシスコで撮影された「タワーリング・インフェルノ」だったのです・・。ドガ役はダスティン・ホフマン。この頃の彼は本当に色んな役にチャレンジしています。監督は「パットン大戦車軍団」のフランクリン・J・シャフナーです。 |
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ミッドナイト・エクスプレス | 監督 :アラン・パーカー | 出演:ブラッド・デイビス、ランディ・クエイド | |
Midnight Express | 1978年 アメリカ映画 | ||
ビリーはトルコのイスタンブール空港で、まさに飛行機に搭乗しようとしていた。しかし、その直前で彼は警察に囲まれ、体にテープで巻きつけてあったハシシを発見される。空港警察に連れて行かれたビリーは凄まじい尋問を受ける。しかも言葉が通じない苛立ちも・・。そして彼は刑務所へと送られる。そこでビリーは新たな恐怖と対面する。狂人のごとく囚人を痛めつける鬼看守。薄汚い刑務所はまさに地獄だった。ビリーは父とコンタクトを取り、トルコ人の弁護士を雇って裁判を行うが実刑は3年半だった。辛い刑務所暮らしも間もなく終わろうとしていたとき、突然トルコ側の再審により懲役が30年になってしまう。さらに絶望の底へと叩き落されたビリーはついに脱獄を決意する・・・・。 | |||
私評:ビリー、あなたはアメリカとトルコの国交問題が生んだ犠牲者なのよ・・・・先日公開された「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」で衝撃を受けた方も多いと思いますが、更なるショックを受けたい方は、この「ミッドナイト・エクスプレス」を見てください。監督は「ライフ・・」と同じアラン・パーカー。彼はこういう社会派映画監督かというと、そうでもなく子供だけのミュージカル映画「ダウンタウン物語」やホラー映画の「エンゼルハート」の監督でもあります。この映画の内容は実話です。それゆえに冗談では済まされない映画でもあります。実際、この映画を民法で放送しようとした時、在日トルコ人から抗議があり、放映を見送ったという逸話まであります。映画の中の暴力描写は、かなりリアルです。足の裏を叩く拷問は、本当に痛そうでした・・。映画の中でビリー恋人とのガラス越しでの面談シーンがあります。廃人のようになっていたビリーはとんでもない要求をするのですが・・・。また、それが彼が脱獄を決意するための原動力になりました。主演はブラッド・デイビス。彼はこの作品だけで、その名を後世に残しました。そして冷酷な看守はポール・スミス、ビリーの刑務所内の仲間でジョン・ハート、ランディ・クエイドが出演しています。一度見たら、忘れられない映画になるでしょう・・。 |