8/15号
忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。
1976年 アメリカ映画
監督 : マーチン・スコセッシ
主演 : ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ジョディ・フォスター
ベトナム帰りのトラヴィスはいつもなにか釈然としないものを感じていた。
彼はタクシードライバーとなり、1番金の儲かる夜中の勤務についた。 そこで彼が
目にしたものは大都会ニューヨークに潜む、狂気、恐怖、挫折、そして絶望。 町のそんな恥部
ばかりを見せつけられた彼は一人、怒りに震えた。 彼が何気なく通った大統領候補の応援事務書で
彼は一人の女を見初める。 強引にデートに誘い出したが、敢え無くふられてしまう。 それは彼の
あまりに非常識な態度が原因だった。 また、町で彼は12歳の娼婦と出会う。 こんなに若い子が
売春をしている。 何かが間違っている。 彼は怒りの矛先を徐々に変えつつあった。 銃を買いこみ
その日に備えた。 彼は大統領候補の男の暗殺を企てていたのだ。
私評: 若き日のデ・ニーロのパワー炸裂です。 たぶん、主人公のトラヴィスはベトナムでかなり神経を病んでいたのでしょう。
自分を正義に置き換えた時、NYの街はあまりに汚れすぎていた。 目をつぶることもできたが正義の天誅を打つのは
自分だと信じていたのでしょうね。 この時代のアメリカの狂気は全てベトナムが、因を発しているよう。
シビル・シェパードが美しい。 70年代のキャリアウーマン的な役柄ですが、彼女の知的な面持ちときりりとした目が
ピッタリでした。 そしてもう一人の才女、ジョディー・フォスター。 この映画でブレイクしたんですよね。 私と同じ年の生まれなんで
「やっぱりアメリカの女の子は違うな〜!」って思った。 そして注目すべきが、ジョディー・フォスターの売春を斡旋する長髪の男。
これがハーベイ・カイテルだと知った時はちょっとショックだった。 若い! 痩せてる! でも、やっぱりハーベイだ!
最後にデ・ニーロの鬼気迫る演技は、凄まじい。 真面目な男がドンドン深みに落ちて行く。 正義と現実の間のギャップに葛藤する。
はじめて見た時は高校生だったが、大人になって改めて見ると、やっぱり素晴らしい作品です。
1976年
出演 : ジョン・レノン、 ポール・マッカートニー、 ジョージ・ハリソン、 リンゴ・スター
ビートルズの映画3本立て。 「ビートルズがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!」「HELP 4人はアイドル」
そして「LET IT BE」。 イギリス映画の「ヤア!ヤア!・・」と「HELP]は監督:リチャード・レスター。
まさにアイドルのための映画だ。 「LET IT BE」このアルバムの為のスタジオでのセッションのドキュメント。
もう、解散を目の前に控えた彼らの最後のセッションらしい。 アルバム「LET IT BE」のメイキングとも言える作品。
「ゲット・バック」の屋上ライブはあまりにも有名。
私評: この映画は一時期の有楽町をスゴイ勢いで襲った。 3本立ての映画を3回待つ人がいた。
映画館は有楽シネマ、スバル座の2館だったが朝から映画館のまわりをぐるりと人の列ができていた。
彼らが解散して、伝説になろうとしていた時期だった。 次の世代がレコードを聞いてビートルズを知り始めた時期だった
ビートルズを見たことのない世代が、そしてタイムリーにビートルズと青春を共にした人々がこぞって映画館に集まった。 ことにLET IT BEは
ビデオも発売されていない。 テレビ放送は、かまやつひろしの解説が入ってしまい、作品をめちゃめちゃにした。 彼らの伝説はまだ終わったわけでは
ない。 ジョンは既に他界してしまったがビートルズの音楽は永遠に不滅だ。 きっとまた、リバイバルで劇場での公開を期待したい。
名曲LET IT BEの録音風景やゲットバックの屋上ライブは、眼の裏に焼きついている。