6/20/2004


忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。

カイロの紫のバラ  監督:ウディ・アレン  出演:ミア・ファロー、ジェフ・ダニエルズ
Purple Rose in Cairo  1985年  アメリカ映画
大恐慌の余波が残る1930年代のニュージャージー。失業中の夫に代わり、ウェイトレスの仕事で家計を支える主婦のセシリアは、映画を見ることだけが生き甲斐だった。夫の暴力で涙する日も、映画を見れば元気になってしまう。今、セセリアが夢中になっているのは『カイロの紫のバラ』という映画で、1日5回も映画館に通うほどこの映画に入れ込んでいる。そして主人公のトム・バクスターをうっとりと見つめていれば幸せ・・。それに気づいた映画の主役トムは、なんとスクリーンの中から抜け出した、セシリアに声を掛けた!映画は途中で止まってしまい、脇役たちは憤慨しているし、映画館も次の作品が掛けられず大弱り。しかも、この映画のトムを演じたギルが、この事件を知りわざわざニュージャージーまでやってくる。トムとトムを演じた俳優のギルとの2人から恋をされて、セシリアは、最上の幸せを味わうのだが・・・・・・。

私評:やあ、また来てくれたんだね・・・ウッディ・アレンが自分の作品の中でも一番好きだと言ったとか、言わないとか・・? でも、この映画は実に評判が良いですよね。なんたって主人公が大の映画ファン。つまり、この映画は映画ファンの夢を叶えるお話なんですね。いつの時代も銀幕のスターに憧れて、ロマンチックな夢を見る人はたくさんいるでしょう? しかし、彼らはまったく手が届かない、いわば天上人。そんな憧れの人が自分のためにスクリーンから飛び出し、しかも自分に恋をする・・・。こんなロマンチックな話はないでしょう!? 主人公の冴えない主婦役は、この頃のウッディ作品の常連、ミア・ファロー。彼女がすごくかわいいんですよ。私は彼女が出演の作品をかなり見ましたが、「カイロの紫のバラ」と「ラジオ・デイズ」のミアが好きです。ラストで、傷心したセシリアがふたたび映画館に足を運び見る映画がフレッド・アステア。そして映画は彼女を癒し、そして彼女は再び映画の世界へ・・・。これぞ映画ファンには最高のエンディングでしょう!監督はウディ・アレン。共演者はダニー・アイエロ、ジェフ・ダニエルズ、ダイアン・ウィースト。

タンポポ  監督 : 伊丹十三  出演:宮本信子、山崎努
Tampopo  1985年 日本映画
街道沿いの小さなラーメン屋を営むタンポポは、息子と二人暮らし。そこの店に偶然立ち寄ったトラック運転手のゴローとガンは、なんとも言えない不吉な雰囲気を感じた。覇気のない女、濁ったスープ、置きっぱなしの麺・・・。ゴローの予想通り、この店のラーメンは最悪だった。そのことを指摘するとタンポポはゴローに、本当に美味しいラーメンの作り方を教えて欲しいと頼み込む。渋々、請け負ったゴローだったが、その日からタンポポの血のにじむような(?)特訓が始まった。体力アップはもちろん、他店へのスパイ、情報収集・・・。しかし、彼女の目的はただひとつ。亡き夫が遺したこのラーメン屋を、何とか続けていくこと。二人に感化された男たちが、次々とタンポポのために集まってくる。そして最後の審判のときが来た。男たちが最後のスープの一滴まで飲み干せば、タンポポラーメンの完成なのだが・・・・・
私評:これから俺が主演の人生最後の映画が始まるんだ・・・1995年に突如、自殺をしてこの世を去った伊丹十三監督。彼の作品の中でも一番好きなのが、この「タンポポ」だ。上に書いた話がメインになっているのですが、その他にたくさんの短編を散りばめてあるのです。勝手にタイトルをつければ「白スーツの男のグルメと映画論」「食通の詐欺師」「かあちゃんの最後のチャーハン」「イタリア流テーブルマナー」「ホームレスたちのグルメ口座」「ワタシの部下はフランス料理通」・・・。これらがのひとつひとつがまた、面白いんです。もちろん、ラーメンの話もすごく面白い。そして最後にできたラーメンは、マジで美味そう。この映画を観ると絶対にラーメンが食べたくなるんですよ。(それとオムライスね・・)でもこの映画を観ていて思ったことは「食事ってエロくて、グロイ」ってことかな??(笑) 主演は伊丹映画の定番、宮本信子さん。彼女って「美人でもない」「若くもない」「華もない」の3x「ない」なのですが、やはり彼女じゃないとだめなんです。そしてゴロー役は山崎勉。最高です。そしてガン役には若かりし渡辺謙!!その他役所広司、安岡力也、井川比佐氏、加藤嘉、中村伸朗、そして映画の前半で正しいラーメンの食べ方を教授する大友柳太郎・・・。(実は私、このラーメンの食べ方をずっと実践しています。特にチャーシューの扱い)大友さんもこの映画のあとに飛び降り自殺をしたのです。何か因縁めいたものがそこには・・・??



前回の記事


I Love Moviesに戻る