04/21/2002


忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。

ジェレミー  監督:アーサー・バロン  出演:ロビイ・ベンソン、グリニス・オコーナー
Jeremy  1973年 アメリカ映画
音楽学校に通う、内気な少年ジェレミーはチェロリストになる夢を持っている。ある日、彼はバレリーナを目指す可憐な少女スーザンに出会い,人目で気に入ってしまう。初めてのコンサートが成功したその夜、ジェレミーはスーザンにデートの申し込みの電話をした。すると、彼女は喜んで申し出を受け,やがて二人は恋に落ちる。二人の親たちは二人の事にはあまりに無関心だった。ジェレミーとスーザンは日に日に想いを深め、やがて雨の夜,二人は初めて愛の夜を迎えた。しかし、二人に悲劇が訪れる・・・・・。
私評:15歳の恋愛っていうのはこんなにも純だったかな??30年前のこの映画を初めて見たのは名画座だった。たぶん、私はジェレミーと同い年くらいだったと思う。彼らのデートシーンが眩しくって,羨ましくって変にジェラシーを感じたのを覚えています。見た目も冴えない少年ジェレミーを、とても優しくそして強く愛するスーザンに憧れましたね。また,当時のニューヨークが、すごくおしゃれでした。あまりに純な恋物語なだけに、今見直したらどういう思いを抱くかはちょっと分かりませんが、15歳の私にはキラキラ輝くような恋物語でした。恋愛慣れしてしまって、こんな気持ちをなくしてしまっている人にはお薦めの純愛映画。 しかし、この恋に意外な形で、終わりが来てしまいます。しかし,別れにも慣れていない二人がもどかしくて、切なくて、そしていとおしかった。もう1度,見たい映画ですね。
IP5  監督 :ジャン・ジャック・ベネックス  出演:イヴ・モンタン、オリヴィエ・マルティネス
IP5  1992年  フランス映画
ストリート・アーティストのトニーはカラー・スプレーを片手に絵を描く天才。同じアパートに住むジョッキー少年は彼の弟分だ。ある日,ジョッキーの父親が泥酔し倒れてしまう。そこに駆けつけた看護婦グロリアにより、父親は事無きを得、そしてその時トニーはグロリアに恋をする。得意のスプレーアートで恋を告げるが,彼女にはそっぽを向かれてしまう。そんなある日、トニーは不良に脅され「人形」の運び屋をさせられる。一緒に付いて来たジョッキーとの道中で、彼らは不思議な老人と出会う。老人は死にかかった兎を生き返らせたり、トニーの捻挫を直したり,不思議な力を持っていた。そして3人は車を捨て森を歩いて行く事に。そして美しい湖に辿りついた老人は静かに40年前の恋の話を始めるのだった・・・・・
私評:この映画はフランスの名優イヴ・モンタンの遺作です。だから,このパンフレットは半分くらいがイヴ・モンタンの特集記事になってます。この映画のイヴ・モンタンもすごく良かったです。森と対話する不思議な老人という役どころがピッタリでした。しかし、この映画の見所は、ジャン・ジャック・ベネックス監督の描き出す,美しい映像の数々です。映画の前半部分のパリの雑踏、スプレーで絵を描かれた壁、薄汚れたアパート・・。それらは暗く,フィルターが掛かっているのですが、雨に煙る森、虹、月を映す湖、夜の湖を泳ぐ青年、そして雪を頂くアルプスの山々。これらは不思議な光を得て、実際の数倍も輝いて見えるのです。この話は不思議な老人、ちょっと不良の青年、黒人の少年というバラバラのキャラクターのロード・ムービー。そして彼らの間に芽生える優しさ,そして強い絆が涙を誘います。ラストシーンでアルプスの山に響き渡る老人とジョッキーの声・・・・。泣きました・・・。 


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