02/17/2002


忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。

恐怖の報酬  監督:ウィリアム・フリードキン  出演:ロイ・シェイダーブルーノ・クレメール
Wages of Fear  1977年 アメリカ映画
南米の小さな村には、過去から逃げ出してきた男が集っていた。ドミンゲスもその一人。強盗に押し入り神父に重症を負わせてしまい、逃走の末この村に辿りついたのだ。そんな時,アメリカ人が所有する油田が突如爆発をし多数の犠牲者を出してしまう。この火災を鎮火するには爆薬を用いるしかないという専門家の意見がでるが、倉庫に保管されていたダイナマイトはゲリラにより盗み出され、倉庫に残されていたのは揮発性の高い,古いニトログリセリンだけだった。ちょっとのショックでも爆発しかねないこの危険なブツをトラックで運ぶという任務に集ったのは,訳ありの4人の男たち。もちろんドミンゲスも、メンバーだ。ついに,死と隣り合わせの恐怖の旅が始まった・・・・・
私評:恐怖の300キロ。ニトログリセリンに命を賭ける4人の男たち! 「エクスソシスト」の監督ウィリアム・フリードキンの超大作です。これは1953年のフランス映画「恐怖の報酬」のリメイク。(オリジナル版はイヴ・モンタンが主演)箱に入れられ、ガタガタと揺れるトラックの荷台で運ばれるニトロの恐怖たるや・・。しかも、ジャングルの中は想像を絶する苦難を彼らに与えるのです。パンフレットの写真にもなっている嵐の中の吊り橋を渡るシーンは、本当に手に汗を握って見ました。主演は「ジョーズ」のロイ・シェイダー。彼も毎回,違う役に果敢に挑む役者さんですね。撮影はドミニカ共和国で行われました。最近だと「バーティカル・リミット」でもニトログリセリンの運搬がありましたね。でも、やはり「恐怖の報酬」の方が恐いです・・・。この映画は始めて渋谷のパンテオンで見たんですよ。
砂の器  監督 :野村芳太郎  出演:丹波哲郎、森田健作、加藤剛
Sand Castle  1974年  日本映画
国鉄蒲田駅操車場内で,その事件は起こった。被害者は身元が分からず、捜査は難航した。しかし、必死の捜査の末、蒲田駅近くで被害者と若い男が酒を呑んでいた事が判明。店のホステスはいわゆる東北弁のようなズーズー弁の男が何度か口にした「カメダ」という言葉から、捜査を開始するも、事件の解決になるようなものは発見できなかった。しかし、ひょんな事から被害者の身元が割れる。被害者は三木という男で、以前は島根県で巡査をしていたが,今は退職して隠居していた。今回は琴平、京都、奈良を旅行すると家族に告げたまま、」行方不明になっていた。果たして犯人は・・・・・・??
私評:「宿命」という運命のいたずらに翻弄される人々・・・。実はこの映画を見た日、私と友人は別の映画を見たくて、今はなき松竹セントラルを訪ねたのですが、お目当ての映画が、なんと前日で終わっていて、仕方なくこの映画を見ました。でも、この映画にして良かった。友人と二人で大泣きしたのを覚えてます。(ちなみにお目当ての映画は浅田美代子主演の「明日、輝く」でした)松本清張のベストセラー作品の映画化。殺人事件の裏に隠された、人間ドラマが秀逸です。犯人と被害者の意外な繋がり、そして犯人が背負った「宿命」、この描き方が素晴らしいです。丹波哲郎と森田健作の刑事が、すごく人間臭くて良いです。そして事件と意外な繋がりをみせる、有名なピアノ奏者和賀英良を加藤剛、事件の鍵を握る謎の女がめっちゃ可愛かった島田陽子、被害者の三木を演じるのは緒形拳。この緒形拳がまた、すごく良いんです〜!!かつて乞食の父子が旅した、日本列島の四季折々の映像は見物ですよ〜!厳寒の竜飛岬、春の信州、新緑の奥出雲、そして親子は島根に辿りつきます。この親子のエピソードには本当に号泣でした。たぶん、私が映画館で一番最初に号泣した作品がこの映画です。駅のシーンは、涙でスクリーンが見えなかった・・・。クライマックスは音楽家の芥川也寸志が作った「宿命」という曲が演奏されます。後半40分は映画と平行して、このコンサートシーンが描かれるのですが、きっと涙なしでは見られないでしょう。「カメダ」ネタはのちに書かれる、森村誠一の「人間の証明」の「キスミー」で真似されてますね??


前回のも見てね!



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