2/20/2003
忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。
今回は2作ともアガサ・クリスティ作品の映画です。
情婦 | 監督:ビリー・ワイルダー | 出演:マレーネ・ディートリッヒ、タイロン・パワー | |
Witness for the Prosecution | 1957年 アメリカ映画 | ||
病気治療から戻ってきた法曹界のベテランロバーツ卿。そんな折、未亡人エミリー・フレンチ殺人事件の容疑者レナード・ボールがロバーツ卿に弁護の依頼に訪れた。病み上がりを理由に断るロバーツ卿だったがついには、彼の弁護を受ける事にした。事件の当日、ボールは確かにエミリーを訪ねていた。しかし、事件の前に彼は家を出たという。彼のアリバイを証言できるのは彼の妻だけだったが、妻の証言は法廷では無力だった。しかも、エミリーの遺言が見つかり、ボールに8万ドルもの遺産を残すと書かれていたため、ボールはますます怪しまれてしまう。ついに裁判が始まった。無罪を訴えるボール。しかし、検察側が最後に証言台に呼んだのは、なんとボールの妻のクリスチーネだった。しかも、彼女はボールに不利な証言をする。いったい、なぜ・・・・??? ・・・ |
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私評:お願い!この映画の結末についてはどうか秘密をお守りください。・・・・昨年末のビリー・ワイルダー監督の特集上映で、久々に見た映画です。これはビリー・ワイルダーが放った法廷ミステリーの超!傑作です。原作はアガサ・クリスティの「検察側の証人」という短編小説です。しかし、なんと言っても、この映画のどんでん返しには、あっと驚くこと請け合いです。しかも、二重、三重のどんでん返しなのです。それゆえ、この映画の結末に触れる事はタブーです。もう、45年の前の映画ですが、このとんでもない結末は、今見ても充分驚きでしょう。左の写真の女性はマレーネ・ディートリッヒ。冷徹な女性を演じたかと思えば、映画の後半で違う素顔も見せてくれます。そしてちょっと軽い感じのボールを演じるのは希代の2枚目タイロン・パワー。そしてロバーツ卿を演じるチャールズ・ロートン(彼はこの作品でアカデミー主演男優賞にノミネートされました)が実に素晴らしい。緊迫の法廷映画の中で、彼と看護婦のエルザ・ランチェスター(彼女はこの映画でアカデミー助演女優賞にノミネート。そしてG・グローブ賞で最優秀助演女優賞をゲット!)掛け合いはめちゃ笑えます。ミステリーファンにはバイブルのような映画。これは見ておかないと! |
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そして誰もいなくなった | 監督 :ルネ・クレール | 出演:バリー・フィッツジェラルド、ウォルター・ヒューストン | |
And Then There Were None | 1945年 アメリカ映画 | ||
不気味な孤島に立つ豪邸U・N・オーエン邸に招待された10人の男女。見ず知らずの彼らは、なかなか姿を見せない主催者に苛立ちながらも夕食の席に着いた。その時、どこからともなく声が聞こえてきた。そしてその声は招待された10人の罪状を告発する内容だった。U・N・オーエンは巧みに彼らを呼び寄せただけでなく、彼らの過去を探っていたのだ。そんな中で招待者の一人スターロフ公爵が酒を飲んでいる最中喉を掻きむしりながら死んでいった。すると、ピアノの上にあった10個のインディアンの人形が、一つなくなっていった。彼らはマザーグ−スの歌を思い出していた。”10人の少年がごはんを食べて、一人息を詰まらせて9人になった”。そして一人、また一人とマザーグースの歌に沿って人が死んでいく。また、そのたびにインディアンの人形がひとつずと減っていく・・・・ | |||
私評:女を信じてはならぬ・・・・アガサ・クリスティの傑作の映画化。しかも、このルネ・クレール版は原作に忠実で、しかも良くできています。U・N・オーエンをくっつけるとUnowenつまり、発音が"Unknown"となり「ミスター・誰でもない」なんです。マザーグースの歌に沿って殺されていく人々。そして残った人々の中で起こる疑惑。当時、原作を読んでいなかった私はめちゃ面白い展開に、終始唸りっぱなし。しかし、この映画の面白さの90%以上は、アガサ・クリスティーの原作の素晴らしさにあるんです。ラストのオチは間違っても言えませんが、初めてこの作品に接する人はきっとビックリするはず。でも、この45年版ってビデオになってないんですよ・・・。ちなみに1975年にピーター・コリンソン監督が、この作品のリメイクを作りました。(主演はオリバー・リード)しかし、この作品のラストは原作と違うんです・・・ |