2/12/2003


忘れることのできない名画の数々。世界中で作られた素晴らしい映画の数々を
ご紹介します。作品の選定は私の独断と偏見です。
少なくとも私の心に深く残っている映画は誰かの心にも響くはずです。

ヤコペッティの大残酷  監督:グアルティエロ・ヤコペッティ  出演:クリストファー・ブラウン、ミシェル・ミラー
Mondo Cadido  1975年 イタリア映画
美しい城館にカンディドという青年がいた。彼は純真無垢な心を持ち、この世の全ては善であるという師の教えを信じていた。彼は城の姫クネゴンダに思いを寄せ、ついにその想いを果たそうと草むらで愛を交わしているところを見つかってしまう。身分の違う恋をしたカンディドは城外に追放されてしまう。城を出たカンディドはブルガリアの兵隊となる。そこでは殺戮の連続で彼はこの世の地獄を見るのだった。そんな折、彼は城館にいた彼の師と出会う。彼は梅毒で耳も鼻もなくしていたが、それでも世界は善だと主張する。そして彼が城を去った後に起きた悲劇を語り始める。城は敵軍に攻め滅ぼされた。王は頭を真っ二つにされ、女王は14の肉片となった。そしてカンディドが愛したクネゴンダ姫は、さんざん弄ばれた末に殺されたという。絶望に言葉を失うカンディド。そして彼は旅を続けるが、どこの地でも彼の目に映るのは殺戮と不条理だった。そんな時、彼はクネゴンダが生きているというニュースを聞く・・・

私評:行かせてあげなさい。何度でも繰り返すのです・・・1759年にボルテールが書いた小説「カンディド」がベースになった映画です。まだ中学生だった私はこの映画を見て、かなりショックを受けました。全編に渡って迸る流血。戦争の恐ろしさを語ると同時に、それらを非常に美しく描き出しているのです。左の写真にもある女性兵の戦闘シーンは強烈なインパクトを残しています。真っ赤なけしの花が、女たちの血を吸って一層赤く映えるのです・・。そしてこの映画には強烈なエンディングが待っています。まさにこの世の不条理です。無垢な心を持った青年が最後に見るのは天国か地獄か?監督のヤコペッティはドキュメンタリー作品で有名ですよね。「世界残酷物語」「世界女族物語」「さらばアフリカ」などはご存知の方も多いはず。ところがこの映画は、ビデオにもなっていないのです。25年の歳月を隔てて、ふたたび見てみたい映画なのですが・・・・

名探偵登場  監督 : ロバート・ムーア  出演:ピーター・フォーク、ピーター・セラーズ
Murder By Death  1974年 アメリカ映画
北カリフォルニアの霧に煙るビクトリア調の豪邸に、次々と人が集まってきた。そこに住むのは億万長者のライオネル・トウェイン。そして招待されたのは世界的に有名な?5人の名探偵たちだった。一人目はミロ・ペリエ。美食家でオシャレな彼はお抱え運転手のマルセルを伴ってやってきた。二人目は刑事コロンボ??サム・ダイヤモンドと彼女のテス。3人目はレディのジェシー・マーブルズと車椅子の看護婦ミス・ウィザース。そして謎の東洋人シドニー・ワンと養子のウィリー。最後は都会的な探偵ディック・チャールストンと妻のドラ。何も用意されていない晩餐会に集まった面々の前についにホストのトゥエインが登場した。「時計が真夜中の零時を告げるとき、このダイニングで誰かが殺されるだろう。これから起きる事件の謎を解いてみたまえ。真犯人を突き止めた者には100万ドルと世界一の探偵という称号が与えられるのだ」そして零時を告げる時計の音が・・・・
私評:真心を込めて、あなたを豪華な晩餐と殺人にご招待申し上げます・・・ブロードウェイの天才脚本家ニ−ル・サイモンがアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」をパロディーにした作品です。しかも、登場する名探偵も世界中で親しまれている探偵たちのパロディ。ミロ・ペリエはあのエルキュール・ポワロのパロディ、ジェシー・マーブルズもクリスティの小説で有名なミス・マープルがモデル。サム・”ダイヤモンド”はボギーが「マルタの鷹」で演じたサム・”スペード”のパロディ。でも彼を演じるのがピーター・フォークなんでどうしてもコロンボに見えちゃう。シドンー・ワンは中国人探偵チャーリー・チャンのパロディ。そしてディックはハメットの「影なき男」のキャラ(らしい・・。これは知りませんでした)その他にも、この映画には至る所に「ひっかけ」があるんですよ。英語が母国語だったら、この映画をまた何倍も楽しめるのに・・。私的にこの映画で最高なのはピーター・セラーズ演じるシドニー・ワン。あの口を開けずに喋る話し方が最高。そして目の不自由な執事は元祖オビワンのアレック・ギネス。若かりしマギー・スミスもこの映画で拝む事ができます。この映画のオチは絶対にいえませんが、めちゃ面白かった〜。ちなみにこの映画の続編「名探偵再登場」というのもあるのですが、ほとんど記憶に残っていません・・(笑)



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