東京ファンタスティック映画祭 2003


2003/10/30 - 11/3

今年のファンタは、会場が新宿に移ってしまったこともありオールナイト2発だけで
終了。まあ、このホラーオールナイトは毎年恒例なのですが、できれば平日じゃなく
週末にやって欲しかったな〜・・・実はもう一本「ヘル・レイザー/ヘルシーカー」が
あったのですが、爆睡してしまいました・・・・(笑)

恋する幼虫  監督:井口昇  出演:荒川良々、荒井亜樹、松尾スズキ
Koisuru Yochu  2003年 日本映画
今週のイチ押し:漫画家のフミオは少年時代に憧れていた親戚のお姉さんの情事を覗き見てしまい、それがトラウマになっている。しかも、彼の目に映った情事とは・・。大人になった今も、彼は女性と上手く付き合えない。ある日、彼の元に新しい編集者ユキがやってきた。彼女もフミオのように男と上手く付き合えない。少しずつシンパシーを感じ始める二人。しかし、ユキには恋人がいたのだ。その事でカッとなったフミオは発作的にユキの頬にペンを突き刺してしまう。しかも、その傷は醜く広がり、もうひとつの口として物を食べるようになる。しかも、その穴から出る触角は血を欲していた・・・・
私評:フミオちゃん、私が良いって言うまでお風呂から出ちゃダメよ・・・・。なんて、シュールな世界なんでしょう。思い切り低予算の映画なので、怖い演出があまりにチープで笑えてしまったりもするのですが、フミオとユキの関係はすごくピュアで、それがおぞましい展開になっても、不思議と嫌悪感を抱かなかった。そしてユキの恋人のマサル、なぜかフミオに言い寄る美女、佐々木らが絡まりとんでもない結末へと誘ってくれます。本当にとんでもないのですが・・・。出演者、及び監督は「大人計画」の面々。監督は井口昇。アダルト作品を中心に映画を製作してきた変り種。そしてフミオを演じるのは、今や映画にCMに引っ張りだこの荒川良々。彼って決して上手い役者じゃないけど、味がありますよね。そしてユキ役は新井亜紀。彼女が抜群に良いです。ユキの恋人役で松尾スズキも登場。怪しいけど、不思議な感動がある映画でした・・・
メイ  監督 :ラッキー・マッキー  出演:アンジェラ・ベティス、アンナ・ファリス
MAY  2002年 アメリカ映画
メイは斜視のため、少女時代はアイ・パッチをはめていた。同級生たちはそれを不気味がり、彼女は友達ができなかった。そんな彼女に母親が与えたのは手作りの人形スージーだった。以来、メイは人形と話をしながら自分でミシンを操り、服を作る事に夢中になった。大人になったメイは斜視用のコンタクトを作った。コンタクトはメイを美しい女性に変身させた。そんな時、彼女は一人の青年に恋をする。彼の美しい「手」が彼女を夢中にさせたのだ。初めてのデート、初めてのキス・・。恋は順調に育っているかのように思われた。しかし、恋愛下手の彼女はある勘違いから、彼を怒らせてしまう。レズビアンの同僚、アンとも関係を持ったメイだったがアンはさっさと別のオンナに乗り換えてしまう。その都度人形に八つ当たりするメイ。そしてついに彼女は狂気的な行動に出る。知り合いを次々と殺し、彼らの体のパーツを切り刻んで、寄せつめて、紡ぎ合わせ始めたのだ・・・・・・
私評:あなたの手が欲しいわ・・・・この映画が始まる前に配給会社の人が言っていたのですが、これはホラー版の「アメリ」かもしれません。ただ、今まで人目を避けて生きてきた女が、いきなりキレイになって人との交流も始めるのですが、経験のなさが仇になり、変な事ばかりしてしまうのです。これが私的にはとても気持ち悪かったです。後半のスプラッター映像より、彼女のキャラクターの方がよっぽど気持ち悪いんです。この気持ち悪さは私が苦手な「ピアニスト」のイザベル・ユペールっぽいのです。そしてビジュアル的には「キャリー」を意識しているのかな?と思えるシーンが幾つかありました。(ボーイフレンド役の男が、ウィリアム・カットみたいなパーマ頭だし・・)その気持ち悪い女を演じるのは「17歳のカルテ」のアンジェラ・ベティス。彼女はテレビ版の「キャリー」にも出ています。そして彼女のレズビアンの友人役は「最終絶叫計画」「最"新"絶叫計画」のアンナ・ファリスが色っぽい演技を見せてくれます。監督はこれがデビューのラッキー・マッキー・・・って変な名前。
アナトミー2  監督:ステファン・ルツォヴィツキー  出演:バーナビー・メチャラート、ハーバート・ナオプ
Anatomie 2  2003年 ドイツ映画
貧しい家庭で育ちながらも、努力で医者になったジョー。彼には不治の病を抱えた弟がいて、弟のためにも立派な医者になろうと意気揚々とベルリンの大病院に勤め始めた。最初はつまらない仕事ばかりをこなしていたジョーだったが、この病院のカリスマ的な医者チャールズに認められ、彼が率いるエリート軍団に引き込まれる。彼らはすでに人口筋肉を開発しておりメンバーは体のどこかに、その筋肉を移植していた。そして彼らの部屋には研究に身を捧げ、全身に人口筋肉をつけた男がいた。もちろん、この実験は違法だったが彼らは結果が全てだと信じていた。そんなある日、仲間の一人がジョーに密告をする。以前に、この実験が元で死んだ男の事、そして仲間が殺された事。その翌日、彼はビルの屋上から落ちて死んでしまう。また、全身に人口筋肉をつけた男も突然容態が悪くなり、あっという間に命を落としてしまう。この病院に蔓延る「悪」を摘み取るため警察も動き始める。しかし、ジョーは自分の体を研究材料に捧げる事を決意する・・・。
私評:その熱意を、ここの医者はみんな忘れてしまうのよ・・・・2000年に大ヒットしたアナトミーの続編です。監督は前作同様ステファン・ルツォヴィツキー。今回も病院独特のあの冷た〜い感じが良く出ていました。また、前作に比べサスペンス色が濃くなっています。前作で登場した悪の秘密結社「AAA」も登場するので、ご覧になる方は1作目を見ておいた方が楽しめます。しかし、今回はすごくテンポが速いです。それはこういう映画を見るうえではすごくいい事ですよね。けっこう、笑えるし、そしてちょっとエロいシーンもあったりして飽きさせません!!これはある意味、この映画がハリウッド映画っぽくなったという事でもあるのでしょうが・・・。グルグル回るカメラもすごく印象的でした。前作の主演フランカ・ポテンテ嬢も脇役で登場しますので、見つけてくださいね〜!!ジョーを演じるのはバーナビー・メッチャラート。彼がとにかく走りまくります!!1作目と比較して見るのも面白いかも??
ツイ・ハークの霊戦英雄伝  監督:ウェルソン・チン  出演:ユー・ロングァン、マイケル・チョウ
Vampire Hunters  2002年 香港映画
17世紀の中国。人間の血肉を喰らうという「キョンシー」を退治すべく5人の男たちが集まった。キョンシーに生気を吸い取られた者は、自らもキョンシーとなってしまうのだ。まさにキョンシーは強大にして邪悪な亡霊だった。キョンシー王を追ってある家にたどり着いた5人は、そこでこの家に伝わる独特な遺体処理を見つけてしまう。また、この家にある黄金を巡り盗賊もこの家にやってくる。道士たち、盗賊たち、そしてキョンシー王の3つ巴の大合戦が始まる・・・・・
私評:その時は仲間でも殺さねばならない・・・。香港映画といえばワイヤーアクション。香港映画といえばカンフー。そして香港映画といえばキョンシー?壮絶なアクションシーンに失笑を盛り込んだ、香港アクションらしい映画でした。しかし、オールナイトの4本目に見る映画ではないですね〜(笑)。アクションシーンに眼球が着いていきませんでした。キョンシーというと「霊幻同士」の両手を前に出してピョンピョン跳ねる幽霊を思い出しますが、この映画のキョンシーは全然違います。「スペースヴァンパイア」みたいに相手から生気を吸い取ってしまうし、屈強の男が5人がかりでもぶっ飛ばしてしまうくらい強いんです。しかも、ジャガイモみたいにデコボコで醜い顔。ところが、こいつがあまり怖くなくて、逆に笑ってしまいました。ツイ・ハークの映画のアクションは、30分くらいは「お〜!!」って感じで楽しめるのですが、もういい加減パターンを変えたほうが良いのでは??タイトルにツイ・ハークのとありますが、彼は製作と脚本の担当です。
レコニング・デイ 血まみれドッグ  監督:ジュリアン・ギルビー  出演:ローマン・カーパイネック、ジェームズ・ハッチンス
Reconing Day  2001年 イギリス映画
アメリカの特殊部隊の隊員、エドは極秘の任務に就いた。それはチャールズという男の企みを阻止するミッションだった。チャールズはイギリスで開発された「未知の力」というドラッグを盗み出し、それらを蔓延させようという企みだった。「未知の力」は反射神経を飛躍的に増強させると同時に、「痛み」を忘れてしまうという恐ろしい新薬だった。エドの存在を知ったチャールズは「未知の力」によって最強化された「死の軍団」を送り込む。エドと軍団の血で血を洗う戦いが開始された・・・
俺のショーへようこそ・・・・・これは「スプラッター・ムービー」というジャンルで「ホラー映画」ではありません。まあ、麻薬を打たれた奴らはゾンビも同然なのですが・・。それにしても、この映画の流血シーンはすごい。もう、血飛沫なんてもんじゃないです。脳みそが吹っ飛び、内臓が飛び出し、そして迸る血・血・血・・・。いや〜、かなり強烈でした。まあ、主人公があの手この手で最強軍団を葬っていくのですが、それは「ランボー」を髣髴させます。しかしながら、低予算の映画なので粗は隠しきれません・・・。スプラッターな「デスペラード」って感じかも??ノーCG!ノー・スタント!!って低予算じゃ、当たり前か??
ブラッド・フィースト 血の祝祭日2  監督:ハーシェル・ゴードン・スミス  出演:ジョン・マッコンネル、マーク・マクラクラン
Blood Feast 2 All U Can Eat  2002年 アメリカ映画
エジプト料理店を営むフアドは意気揚々と店を切り盛りして、評判も上場だった。ところがある日、彼は店の奥で怪しげな女神像を発見する(左の写真)。その時、彼の中に得体の知れない欲望が沸々と湧き出した。それは若い女性を切り刻み、この女神に捧げたいという欲望だった。なんとその昔、彼の祖父がこの女神像に魅入られ若い女性を惨殺し、その臓物や生き血をこの女神に捧げていたのだ。次々と起こる失踪事件を追う警察は、その昔に起きた「エジプト女神事件」と共通点を見出し、彼を追い詰めるが・・・・
皆様は「血の祝祭日」という映画をご存知だろうか??1963年というから、今から40年前に撮られた作品です。しかし、同じ監督が40年の歳月を経て、この映画の続編を撮ったのです。ところが「血の祝祭日」という映画は、当時は初めて人間の臓物をスクリーンに映したなどという伝説を作ったものの、最低の映画です。とにかく、人がやってないことをやってやろうという気持ちは分かるのですが・・。そして今回の続編がどうだったかというと、めちゃめちゃツマラナイ映画でした。まあ、スプラッター映画としての使命(?)である、血飛沫や臓物破裂などはカバーしているものの、それ以外には見所ナシ(笑)。ところが、このチープで面白くないところを笑い飛ばせるのが、このハーシェル・ゴードン・スミスのファンなんだそうで・・・。エド・ウッドの映画と比較されそうですが、どちらもいい勝負。まあ、こんな映画をミラノ座の大スクリーンで見ることなど、この先絶対にないでしょうから、そういう意味では得したかも??(ないない!)


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