2013/9/8

2020年、東京オリンピック開催決定の日!
イチ押しはハリウッドの名作の日本版リメイクと60年代ロンドンの
感受性の強い少女の物語

許されざる者  監督 : 李相日  出演 :渡辺謙、佐藤浩市、柄本明
 2013年 日本映画
今週のイチ押し:明治維新を迎え、侍は無用の産物となった。かつては「人斬り十兵衛」と呼ばれ恐れられた男は追ってから逃げ、ついには蝦夷の地に辿り着いた。そこで彼は愛する妻と出会い、貧しい中でも自分の居所を見出した。しかし、妻が亡きあと、幼いふたりの子供との生活は貧しさを極めその日の食べ物にも窮していた。そんなある日、彼の元に昔の仲間の馬場金吾が“賞金首”の話を持ってくる。客に顔を切りつけられた幼い女郎の仲間が、相手の男に賞金を掛けたのだ。しかし、十兵衛は亡き妻と二度と刀は抜かないという誓いを立てていた。しかし、子供たちのために彼は地中深く埋めボロボロになった刀を掘り起こした。十兵衛と金吾の前に立ち塞がったのは小さな町を絶対的な権力で納める男、大石一蔵。大石は十兵衛の目的を知り残忍な手口で彼を痛めつける。そしてある事件が元で、封印していた刀を抜くことになるが・・
私評:人を斬って斬って、そしていつか誰かに斬られて。それだけの人生だと思っていた・・・クリント・イーストウッドの名作を日本人が日本を舞台に置き換えてリメイクした。「許されざる者」はイーストウッド作品の中でもかなりお気に入りの作品。しかし、そんな名作に更なるパワーを吹き込んだ今作は個人的にはオリジナル版を超えていました。ストーリーはオリジナルに準じているのですが、作品の舞台を自然環境の厳しい蝦夷に置き換えたところがまず良い!ここで素晴らしいのが壮大な大自然の映像。これはぜひ大画面で楽しみたいですね。アクションシーンもすごくリアルでド迫力。クライマックスの"特攻“も良いのですが、トイレのシーンとラストの火事のシーンは必見!(これは見てのお楽しみ)そして登場人物のひとりひとりを個性的なキャラクターとして描いているのもすごい。主要の11人は誰もがしっかり記憶に残っています。それを実現させたのが名監督と彼の元に集まった素晴らしい役者陣。主演の渡辺謙、佐藤浩市、柄本明はもとより、女郎役の小池栄子、怱那汐里、アイヌの若者役の柳楽優弥、事件の発端の小澤征悦、三浦貴大、女郎屋の主人の近藤芳正、物書きの滝藤賢一、そして長州の勤皇の志士役の國村隼という個性派揃い。素晴らしいです!監督は「フラガール」「悪人」の李相日。この監督の演出は本当に素晴らしい。この倍くらいの情報を書きたいのですが、この辺にしておきます。
ジンジャーの朝 さよならわたしが愛した世界  監督 : サリー・ポッター  出演 :エル・ファニング、アリス・イングラート
Giner & Rosa  2012年 イギリス。デンマーク、カナダ・クロアチア映画
今週のイチ押し:1960年代、ロンドン。分娩台も隣同士だったジンジャーとローザはどこに行くのも一緒の仲良しの女の子同士。宗教も政治もファッションも彼女たちの会話の大事なアイテム。少女から大人への階段を一歩ずつ上がっていった。しかし、ローザは自由奔放でセックスに関しても開放的で、ジンジャーは付いていけずにいた。次第にジンジャーはひとりで詩を書いたりする事が好きになり、ふたりの間には徐々に溝ができ始めていた。ラジオからは核の脅威が語られ、ふたりは反戦の集会に参加し始める。ローザの父親のローランドは思想家で夫として、そして父親としては失格だったが周りからは魅力的に思われ、ジンジャーもそんな父を愛していた。その魅力は父親のいないローザには格別だった。ローザが別居中のローランドとの時間を多く割くようになり、核に関してもジンジャーと意見の相違が現れさらにふたりの関係は悪くなっていた。それが決定的になったのはローランドがローザと関係を持った事だった・・
私評:こんな世界でも、私は生きていく、私はこの世界が好き・・・社会不安が蔓延る60年代のイギリスで懸命に青春を謳歌するふたりの少女。前半はこのふたりの日常が微笑ましく映るのですがふたりの仲の崩壊と不安定な社会情勢が同時進行で描かれていく。少年時代に(ちょっと意味合いは違うかもしれませんが)「ノストラダムスの大予言」や「日本沈没」などを読んで、この世の終わりに何ができるのか?を子供ながらに真剣に考え、周りの友人や大人たちにも必死に語りかけていた自分とちょっと重なったりして個人的には面白い展開でした。しかし、ラストはふたりの少女を決定的に分裂させる出来事があり、それはかなりショッキングでした。あと、この映画の中で使われている曲のチョイスが良いです。「テイク・ファイブ」、シャドウズ、マイルス・デイビスなどかなり私の好みでした。主演は「スーパーエイト」「ヴァージニア」のエル・ファニング。たぶん、私は彼女の出演作は全部見ていますが、どれも魅力的。ローザ役は初めてお目にかかったアリス・イングラード。この子も魅力的です。その他、アレサンドロ・ニヴォラ、アネット・べニング、ティモシー・スポール、オリヴァー・プラットなど脇役も豪華です。監督は「オルランド」「耳に残るは君の歌声」のサリー・ポッター。
キャプテン・ハーロック  監督 : 荒牧伸志  出演 : 小栗旬、三浦春馬、蒼井優
 2013年 日本映画
人類は銀河の果てまで進出し、人口は600億を超えた。しかし、結局人類は地球を目指した。そして地球での居住権をめぐる「カム・ホーム戦争」が起こった。この戦争で活躍した宇宙戦艦の艦長のハーロックは終戦とともに姿を消した。そして再び彼が現れた時、彼は呪われた宇宙海賊となり政府に反旗を翻した。そして彼は全宇宙の指名手配となっていた。戦争後に各惑星の有識者によって作れた「ガイア・サンクション」によって、地球は「何人たりとも立ち入る事の出来ない"聖地“」と定められた。以来、100年間人類は寂れた植民地惑星で、ただ死を待つのみだった。そんな運命に逆らっていたのがハーロックだった。彼は無限のエネルギーのダークマター機関を操り、宇宙を旅し続けていた。そんなある日、彼の艦に新しいメンバーが加わった。彼の名前はヤマ。実は彼はガイア・サンクション総監の直属の親衛隊の長官イソラの弟で、ハーロックを殺すために艦に忍び込んだのだ・・・・
私評:己の自由のために戦え!・・・「キャプテン・ハーロック」と言えば松本零士の名作中の名作。「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」など数々の名作を世に送り出した彼の作品の中でも特にお気に入りの作品です。今回は原作とキャラクターを生かしながらも、新たな設定と解釈で作られた作品。しかし、ハーロックの原点にある「自由と希望」は映画の中でも明確に生かされています。大銀河の中を飛び回るアルカディア号を美しいCG&3Dで、改めて見てカッコいいな~と惚れ惚れ。「新・ハーロック」は大好きな映画となりました。しかも、この映画を見たハリウッドの巨匠ジェームズ・キャメロンも賛辞の言葉を贈ったとの事。これは嬉しい事ですよね。ハーロックの声は「岳」「少年H」の小栗旬、ヤマ役には「菜穂子」「君に届け」の三浦春馬、そして異星人ミーメ役は蒼井優。この3人のキャスティングは私的にはかなりグッド!そしてトリさんの(鳴き)声担当は物まね芸人の福田彩乃。ギャーとかカーとか言うだけですが、クレジットの名前はかなり上の方です(笑)監督は「アップルシード」「スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン」の荒牧伸志。


前回の記事も読んでね~!



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