2003/9/17号

最近、映画を見るペースが落ちています。色々とございまして・・・。

シモーヌ  監督:アンドリュー・ニコル  出演:アル・パチーノ、レイチェル・ロバーツ、キャサリン・キーナー
SIMONE  2002年 アメリカ映画
今週のイチ押し:落ちぶれた3流映画監督のヴィクター・タランスキーは新作映画で起用した人気女優ニコラに逃げられ、万事休す。映画会社の経営者のエレイン(元ヴィクターの妻)の助けで今までは何とか映画を撮り続けてきたが、この映画は製作中止になってしまう。そんな時、ヴィクターの前にハンクという男が現れる。彼はCGで女優を作り上げる画期的なソフトを開発したと告げるが、ヴィクターは取り合わなかった。しかし、ハンクはコンピューターの過剰使用のため腫瘍ができ、ついには死んでしまう。そして彼の遺品としてCGソフトがヴィクターの元に届けられた。恐る恐るソフトを起動した彼の前に現れたのは究極の美女だった。Simulation One からSimone と命名された彼女はニコラの降板した映画「サンライズ・サンセット」に書き込まれ、これが大ヒット。シモーヌは時の人となる。しかし、一向に人前に姿を現さないシモーヌをマスコミが必死になって探し始める・・・
私評:I am a Pig : Directed By Simone・・・・これは実際にありうる話です。バーチャル・リアリティの世界がどんどん進化していけば、こんな事は当たり前。もしかしたら、実際に触れることもできるようになるかもしれない。そうなると人間は煩わしい人間同士の交流をやめて虚構の世界にどっぷり浸ってしまうかもしれませんね。しかし、役者からしてみれば「やっぱり生で演じるのとは違う!」という人たちが多いはず。ましてや、この映画のヴィクターを演じることはタブー??ところが、この役をあのアル・パチーノが演じているのだから、またインパクトがあります。そして映画の中で彼は自分が創り上げた架空の女優に自分が使われていることに気づくのですが、そんな絶望的な役も彼が演じるからこそリアリティーが増すのです。この映画はアル・パチーノの独壇場です。そしてそんな奥深いアルの演技を向こうに廻し、ビジュアルだけでインパクトを残すのはシモーヌこと、レイチェル・ロバーツ。まさにスーパーモデルです。非の打ち所がありません!!そして登場シーンこそ少ないのですが妙なインパクトを残すのがウィノナ・ライダー。例の事件以来久々に彼女を見たな〜・・。監督は「ガタカ」「トゥルーマン・ショー」のアンドリュー・ニコル。やはり、彼はこういうバーチャルな設定が得意なのか??
パンチ・ドランク・ラブ  監督 : ポール・トーマス・アンダーソン  出演:アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン
Punch-Drunk Love  2002年 アメリカ映画
バリー・イーガンは友人と一緒に、トイレ詰まり用の吸引棒を販売している。真面目で几帳面な性格ではあるが、キレルと手がつけられない。その要因はどうやら女所帯の彼の家族にあるようだ。今日の家族パーティーでも彼はガラスをぶち壊してしまう。ある夜、彼はテレフォン・セックスのエージェントに電話をして、ひと時の癒しを得ようとするがそれが間違いの始まりだった。相手の女から借金をせがまれ、断ると相手は怒り心頭し職場にまで電話を掛けてくる始末。代金の支払いに使ったクレジットカードを無効にしたことが相手をさらに怒らせてしまう。また、一方では姉が連れてきた美女と意気投合し、デートをする事に。出張が多い彼女と一緒に出掛けたいと思った彼は、ある食品メーカーが行っていたマイレージのプレゼントに目をつける・・・・。
私評:ボクの体には力がみなぎっている・・・・「ブギー・ナイト」「マグノリア」ですっかり虜になったポール・トーマス・アンダーソン監督の新作。この監督の映画ってどんどん訳の分からない展開を見せておいて、「一体どうやって締めくくるのだろうか?」を色々と想像させ、そして見事に実を結んで裏切ってみせるのがすごいです。今回も「やられた〜!」って感じです。なんたって良いのが、アダム・サンドラー。ちょっと不気味な感じがするバリー役は彼には最高の題材でしょう。しかし、だんだんと彼の心情や思い入れが伝わってきて・・。そんな変な男には美人だけど、ちょっと変わった女性がピッタリ。そんな彼女を演じるのがエミリー・ワトソン。私は彼女がどうも苦手なのですが、この映画のエミリーはキュートでした。そしてP.T.A.映画の常連フィリップ・シーモア・ホフマンがまたしても怪演!!バリーとの電話のシーンは最高でした!でも、この映画はジャンルで括るとすれば「恋愛映画」でしょうね。MTVのベスト・キス賞にもノミネートされたアダム・サンドラーとエミリー・ワトソンのハワイでのキスシーンは最高ですよ〜。
永遠のマリア・カラス  監督 :フランコ・ゼフィレッリ  出演:ファニー・アルダン、ジェレミー・アイアンズ
Callas Forever  2002年 イタリア・フランス・イギリス・ルーマニア・スペイン映画
20世紀最高の女性オペラ歌手、マリア・カラス。彼女はかつての歌声をなくし夫とも死に別れ、パリで隠遁生活を送っていた。そんな彼女を名プロデューサーで彼女の親友でもあるラリーが訪ねてきた。今のマリアを見るに見かねたラリーは、マリアをもう一度表舞台に引っ張り出そうとする。それは彼女の全盛期の「録音された声」を使用してカルメンの映画を撮ろうというアイデアだった。実際の映像と録音をシンクロさせた映像を見て、マリアの中に眠っていた情熱が目を覚ます。誰をも圧倒するほどの力でマリアはカルメンを演じるが・・・・。
私評:マリア・カラスと仕事をするなら妥協はなしよ・・・・・マリア・カラスは小学校のときの音楽の先生が彼女を好きで、授業中にレコードを聞かせてもらいました。しかし、あまりに心地の良い歌声は私を眠りへと誘ったのですが・・。そんなわけで今回久々に彼女の名前を耳にしました。と言っても、私はレコードを聴いただけで、彼女の私生活はまったく知りません。この映画は実在の人物にスポットを当ててはいるものの、まったくのフィクションです。逆にマリアの事を知らない方が、この映画には没頭できるかもしれませんね。マリアを演じるのはファニー・アルダン。彼女の演技は圧倒的でした。堕落の底から這い上がり、今一度輝きたいという女の執念みたいなものを見事に演じていました。そんな彼女をバックアップするラリーを演じるのはジェレミー・アイアンズ。バリバリのプロデューサーで、しかも私生活は・・・。このギャップが妙に人間臭くて良いんですよ。そしてマリアの友人のジャーナリストを演じるのはジョーン・プロウライト。本当の脇役ながら、印象的な存在です。しかし、この映画の圧巻は「カルメン」のシーンです。ファニー・アルダンの凄まじい演技に感服しました。
トゥーム・レイダー2  監督:ヤン・デ・ボン  出演:アンジェリーナ・ジョリー、
Tomb Raider 2  2003年 アメリカ映画
ギリシャ沖で起こった大地震が原因で、アレクサンダー大王の財宝が隠された神殿が2300年ぶりに姿を現した。トレジャーハンターのララ・クロフトはさっそく島を訪れた。そこで彼女が発見したのはアレクサンダー大王の銅像の胸に掲げられたメダリオンとかごの中に入った珠。しかし、そこにやってきた6人の男たちによってメダリオンと珠は奪われてしまう。それらを奪ったのはジョナサンという生物兵器の密売人だった。彼の目的は珠に隠された偉大なる力。それは大王が東方遠征に出た際に見つけた「パンドラの箱」だった。もし、悪人によってパンドラの箱が開けられたら?ララはカザフスタンに飛び、かつての恋人テリーを訪ねる。いまや落ちぶれて刑務所に入っていたテリーを救出し仲間に引き入れたララは、メダリオンと珠を奪回すべく敵を追うことに。中国の山奥、香港、そしてアフリカと世界をまたに駆けた、ララの冒険は続く・・・・。
私評:パンドラの箱は世界を滅亡させる究極の兵器でもあるのよ・・・今回のトゥーム・レイダーはアクションの比重をめちゃめちゃ高くして、変な理屈は抜きにしたエンターテイメント映画になっています。「チャーリーズ・エンジェル フル・スロット」もそうでしたね。とにかくこの映画はアンジーが主役だけに、彼女のための映画。矢継ぎ早に見せ場が登場し、思わず「アンジー!かっちょイイ!!」と声を掛けたくなりました。スタンとなしのアクションもたくさんあって、彼女の意気込みが感じられましたね。監督は「スピード」「ツイスター」という名作を残しながら、その後が啼かず飛ばずだったヤン・デボン。久々に彼らしいスピーディーな演出は気持ち良かったですが、どうも物語の繋ぎが下手で、アクションとアクションの間が長くに思えてしまったのがちょっと残念。まあ、アンジーのファン以外がアクションシーンだけを楽しみに見に行っても、十分元手は取れると思いますよ。私はしっかり楽しみました!!


前回の記事も読んでね〜!



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