(映画ではゴッドファーザーの部分です)


コニーの結婚式 ドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は、ニューヨーク・マフィアの五大ファミリーで最も強力なコルレオーネ・ファミリーを率いる頭目になっていた。第2次世界大戦が終わったばかりの1945年、ニューヨーク・ロングビーチにあるドンの自宅では娘のコニー(タリア・シャイア)とカルロ・リッツィ(ジアンニ・ルッソ)の結婚披露宴が行われていた


カルロは長男のソニー(ジェームズ・カーン)の友人である。シチリア人の伝統として、結婚式では花嫁の父親は出席者の頼み事をきかなければならない。権力者であるドン・コルレオーネのもとにはたくさんの嘆願者が訪れていた。 葬儀屋のアメリゴ・ボナセーラ、パン屋のナゾリーネ。ヴィトーは次々と彼らの懇願に対処していく。ドンはコンシリアーリ(注1)代行のトム・ハーゲン(ロバート・デュバル)に指示を出すのだった。

最後にヴィトーの元に現れたのは結婚式に祝いの歌を歌いに来た、人気歌手のジョニー・フォンテーンだった。ジョニーの人気は下り坂で、歌手としてのキャリアも危うい状態なので、映画俳優を目指そうと思っていた。しかし、彼はハリウッドの大物プロデューサー、ジャック・ウォルツの秘蔵っ子に手を出したため仕事を干されている。もし、ウォルツの次回作の主役がとれればアカデミー賞も夢ではないが、そのためにもウォルツを何とかして欲しいという。ドンは泣き言を並べるジョニーに映画の主役をとってやると約束する。 結婚式には、ドンの三男、マイケル(アル・パチーノ)もフィアンセのケイ・アダムズ(ダイアン・キートン)を伴ってやってきていた。



マイケルは大学で数学を専攻する学生で、ドンの意向に逆らい、マフィアの仕事を毛嫌いしている男だ。 マイケルはケイに、下の兄のフレドー(ジョン・カザール)やトムを紹介した。 すべての嘆願者の話を聞いた後、ドンはパーティに戻り、コニーとワルツを踊り、コニーの結婚式は無事に終わる。



ジョニーの問題を解決するために、トムはハリウッドへ飛びジャック・ウォルツ(ジョン・マーレイ)に会う。組合のストライキと子飼いのスターの麻薬問題を解決するのと引き替えにジョニーに主役を与えるという提案をするも、まったく聞き入れては貰えなかった。。しかし、トムを調べドン・コルレオーネの腹心であることを知ったウォルツはトムを食事に招待し、自宅を見せ、厩で自分が最も可愛がっている愛馬を見せる。しかし・・・・ 翌朝、ウォルツは悪夢を見る。血塗れのブランケットに包まれて足元にあったのはなんと切断された愛馬の首。あまりの恐怖に言葉も出ない・・・そしてウォルツはジョニーに主役を与えた。


バージル・ソロッツォ(アル・レッティエーリ)は麻薬密売人で、ニューヨークで大規模な密売活動をするためにドン・コルレオーネに資金援助と警察からの保護を求めてきた。この提案を受けてドンはトムとソニーとともに対応を協議する。ソニーは麻薬の生み出す金が莫大であることを指摘してソロッツォの提案を受けるべきだと主張する。トムもうまく麻薬密売に関与しなければ、別のファミリーがその仕事を取って代わり、その資金を元にコルレオーネ・ファミリーを脅かすだろうと主張する。 しかし、会談の席上でドンはソロッツォの提案の拒否する。麻薬への関与は自らの首を締めると主張したのだ。しかし、納得がいかないのはソニーだった。 ソロッツォの動きに不安を感じたドンは最も信頼の置ける殺し屋、ルカ・ブラージにタッタリア・ファミリーに潜入してタッタリアとソロッツォに関する情報を収集するよう命じる。しかし、ルカはタッタリオの息子ブルーノに、まんまと乗せられ絞殺されてしまう。


クリスマスイブ、ドンは次男のフレドーの運転で帰宅する。途中、スーパーマーケットに立ち寄ったヴィトーの元に、どこからともなく銃を持った男が現れ銃弾を撃ち込んだ。ドンはすぐに病院に運ばれ、かろうじて命は取り留めた。


ソニーは父が襲撃されたことを知ると、すぐに電話会社の関係者にポーリー・ガットー(ジョン・マルティーノ)とクレメンザの電話記録を調べさせ、ドンをタッタリアとソロッツォに売った裏切り者がポーリーであることを突き止める。マイケルは、クリスマスをケイと楽しんでいたが、街角の新聞売場で父親が襲撃されたことを知り、ロングビーチの自宅に戻る。そこではソニーを中心に、幹部のクレメンザ、サル・テッシオがドン襲撃の復讐のために暗殺リストを作成していた。そこにソロッツォから解放されたトムが帰ってくる。トムは血気にはやるソニーに、ソロッツォと停戦するよう説得する。一応、納得したソニーだったが・・・裏切り者ポーリーの処刑をクレメンザに命じる。 マイケルは病院の父を見舞いに行くが、病院を警護しているはずのクレメンザの部下がひとり残らず消え、ヴィトーが完全に無防備な状態にあることを知り驚愕する。ソロッツォと結託しているニューヨーク市警のマクルスキー警部が、彼らを全員拘留したためだった。 ソニーに電話で状況を説明したマイケルは、ひとりソロッツォの暗殺者を追い返す。自分の計画がうまくいかなかったことを知り怒ったマスクスキーは病院に駆けつけ、マイケルを殴り倒す。しかし、トムをはじめとするコルレオーネ・ファミリーが駆けつけ、ソロッツォによるヴィトー暗殺計画は失敗に終わる。これに怒ったソニーは、その日の深夜、ブルーノ・タッタリアを暗殺する。 自宅に帰ったマイケルは、今後の対応を協議しているファミリーのメンバーたちの会話から、ソロッツォが停戦を申し込んでおり、交渉人に自分をよこせと主張しているのを知り、交渉の場でソロッツォとマルクスキーを自分が殺すと申し出る。 翌日、マイケルは、ソロッツォとマルクスキーが乗った車に拾われ、ブロンクスの小さなイタリアン・レストランに連れていかれる。警察筋から、交渉の場を突き止めていたソニーたちは、レストランのトイレにある水洗用タンクに拳銃を隠しておいた。マルクスキーとソロッツォの三人で食事をしていたマイケルは途中で、トイレでその銃を拾いソロッツォとマルクスキーを射殺する。

マイケルはふたりを射殺した後、シチリア島に逃亡する。これをきっかけに1946年のニューヨークマフィアの大抗争が始まった。


ドンは帰宅したものの、抗争の指揮を執れる状態ではなく、ソニーが実戦の指揮を執っていた。あまりにも残酷な戦法に敵たちの憎悪はソニーに集中していた。 コルレオーネ・ファミリーの敵たちは、ソニーを罠にはめるのにコニーの夫、カルロ・リッツィを利用した。カルロは結婚後、ドンからすぐに無能さを見抜かれ、飼い殺しの状態にされていたため、不満を募らせていた。ある日、コニーがカルロに殴られたことを知ったソニーは、公衆の面前で彼を半殺しにし「次に妹を殴ったら殺す」と警告する。敵はこの事件に目をつけたのだ。 敵から買収されたカルロはある日、意図的にコニーと諍いを起こし、暴力を振るう。コニーからの電話でそのことを知ったソニーは激怒し、カルロを殺すつもりで車に飛び乗り、コニーの家に向かう。その途中にある高速道路の料金所には殺し屋たちが待ちかまえていた。前の車にブロックされ、身動きのとれなくなったソニーは機関銃で蜂の巣にされ殺されてしまう。


<シチリア島のマイケル> 一方、シチリア島でドンの友人、ドン・トマシーノ(コーラド・ガイパ)に身柄をかくまわれていたマイケルは、シチリアで過ごすうちに自分のルーツを深く理解するようになる。ある日、ボディーガードのカロとファブリッツィオを連れてマイケルは父の生まれ故郷であるコルレオーネ村を訪れる。途中でマイケルは花を摘んでいる少女、アポロニア(シモネッタ・ステファネリ)に一目惚れしてしまう。 マイケルはアポロニアの父、ヴィテリに自分の事情を説明し、結婚を前提にアポロニアと交際させて欲しいと頼む。マイケルはシチリアの伝統にのっとり、礼儀正しくアポロニアとの交際を深め、結婚する。


マイケルとアポロニアは幸せな新婚生活を送っていたが、シチリア島にもコルレオーネ・ファミリーの敵たちの手は伸びていた。これを察知したドン・トマシーノはもっと田舎にマイケルとアポロニアを避難させようとする。しかし引越の朝、アポロニアは車に仕掛けられた爆弾で爆殺され、マイケルも爆発に巻き込まれ負傷する。爆発の直前にマイケルが目にしたのは、家からに逃げていくボディガード、ファブリッツィオの姿だった。危うく命を取り留めたマイケルはアポロニアの復讐を誓う。 マイケルの暗殺未遂を知ったドンは、マイケルを無事にシチリアから連れ戻すために、停戦を決意する。ニューヨークのドンたちをはじめ、全国のマフィアの首領が会議のためにニューヨークのある銀行に召集された。 会議の主導権を握ったのは、ニューヨークでコルレオーネ・ファミリーと同じくらい強大な勢力を持つバルジーニ・ファミリーの首領、エミリオ・バルジーニだった。バルジーニの主導により、コルレオーネ・ファミリーは大幅な譲歩を強いられ、麻薬取引に政治的な保護を与えることとなる。ドンとフィリップ・タッタリアはバルジーニの仲介で息子の復讐を放棄し停戦することに合意した。この成り行きからドンは、抗争は表面的にはコルレオーネ・ファミリーとタッタリア・ファミリーの闘いだったが、タッタリアの背後で最初からバルジーニが糸を引いていたことを理解する。 マイケルは無事に帰国し、ヴィトーの跡を継ぐ決意をする。柔和だったマイケルが、この頃から鉄仮面のような顔に変わり始める。


マイケルはケイと再会し結婚する。マイケルはドンの元で、ファミリーの仕事を引き継ぎ次第に権力を継承して行くが、ニューヨークではバルジーニの勢力が強まり、幹部のクレメンザとテッシオは劣勢に立たされていた。 そんなある日、マイケルとドンはファミリーの今後の方針を説明するために幹部を召集する。マイケルは、半年後にニューヨークでの事業を精算し、ラスベガスでカジノとホテルを経営する、と発表する。また、トムをコンシリオーリから外し、純粋に法律業務だけに専念させることを決定する。 ドンはマイケルに「近い将来、バルジーニが停戦の合意を確認するためにおまえを誘き出し、そこでおまえは殺される。バルジーニのメッセージを伝えに来るヤツが裏切り者だ、それを忘れるな」と警告する。 マイケルはビジネスをラスベガスに移すため、ラスベガスに行きモー・グリーンの経営するカジノ・ホテルを買収しようとするが、グリーンはこの申し出を拒否する。しかし、そのすぐ後にヴィトーは死亡する。孫と庭で遊んでいるときに、心臓発作を起こしたのだ。


マイケルは急ぎ、トムをラスベガスから呼び戻し、コンシリアーリに復帰させる。葬儀の席で、バルジーニとの停戦の再交渉のメッセージを持ってきたのはテッシオだった。テッシオはマイケルをバルジーニに売り、コルレオーネ・ファミリーを乗っ取る決心を固めたのだ。 マイケルはコニーとカルロの間に生まれた赤ん坊のゴッドファーザーになると約束をする。そしてその洗礼式の時に、バルジーニをはじめとする五大ファミリーの首領全員を暗殺する作戦を実施したのだ。バルジーニはマイケル直属の殺し屋、アル・ネリに射殺される。フィリップ・タッタリアは、モーテルで愛人と一緒にいるところを、ロッコ・ランポーネの部隊にマシンガンで蜂の巣にされる。モー・グリーンはマッサージをしているときに、目を撃ち抜かれて死亡。残るふたつのファミリーの首領、クネオはクレメンザにショットガンで射殺され、ストラッチもホテルの回転扉に閉じこめられて射殺される。


この強烈な一撃で、五大ファミリーに壊滅的な打撃を与えたマイケルは、同時に内部の粛正も実行する。裏切り者のテッシオを捕らえ、ソニーを売ったカルロも処刑する。処刑前にマイケルは本人から自白を引き出すために、命の保証をしてやるかわりに、ソニーを売れとそそのかしたのは誰かを教えろ、と尋問する。カルロの状況証拠は完全にクロだったが、妹の夫を殺すのだから念には念を入れたのだ。騙されたカルロはバルジーニだ、と答える。カルロは車の中でクレメンザに絞殺される。 ラスベガスに引越をする朝、夫を殺されたことを知り半狂乱になったコニーが、マイケルとケイがくつろいでいるリビングに飛び込んでくる。そして、ケイに、あんたの夫はカルロばかりでなく五大ファミリーの首領を皆殺しにした冷血な獣だ、と叫び、マイケルに唾を吐きかける。ショックを受けたケイは、マイケルに真相を問いただす。マイケルはそれはIt’s Not True”と嘘をつく。 リビングではコルレオーネ・ファミリーの幹部たちがマイケルの周りに集まっていた。そしてクレメンザが傲然と差し出されたマイケルの手に恭しく接吻し「ドン・コルレオーネ」と畏敬の念を込めて呼ぶのを聞く。ケイは、コニーの言ったことがすべて”True”であったことを知る……。 (以上、ゴッドファーザー)


注1:(コンシリアーリとは、ファミリーの中で最も重要なポジションで、ドンのあらゆる問題に関する相談役であり、腹心である。このとき、コンシリアーリのゲンコ・アバンダントは癌で死の床にあった。トムはドンの長男、ソニーの幼友達で両親と死別したためコルレオーネ・ファミリーに引き取られた男だった。大学で法律を専攻し司法試験に合格ドンのすすめで数年間、弁護士として活動した後ドンの懐刀となった。)


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