久々に更新の、読書コーナー。 ネット通じて紹介していただいた作品を中心に書いてみました。
以前のように、ウイークリーの記事は書けませんが、今後はマンスリーベースでアップして行きたいと思います。
角川書店 1400円
櫛森秀一は湘南地方の高校2年生。母と妹の3人暮らしだったが、母と10年前に離婚した
はずの曽根隆司が10日ほど前から突然家に転がり込んできていた。曽根は昼間から
酒を飲み、3人は怯えて暮らしていた。 そしてついに秀一は曽根の殺害を決意する。
「あの男を強制終了するんだ」
周到に練られた完全犯罪。 そして彼は計画通りに、そして完璧に実行された。
しかし、事件は意外なところからほころび始める。
私評:私が期待していた貴志祐介の世界とは、まったく違う作品だった。 高校生の男の子が
企む完全犯罪。 貴志祐介特有のリアリティーとディテイルが、この作品の良さでもあり、
また、ネックにもなっている。 殺害を完全に行うまでのスタンバイに、お金が掛かり
すぎたり、真面目で頭の切れる彼のイメージと、日常の生活の乱れがアンバランスだ。
完全犯罪のシナリオを完璧に書き上げようと思えば思うほど、シナリオに無理が出てくる。
よく研究された、犯罪ではあるのですが高校生の男の子が犯す犯罪ではないですね。
ラストシーンはなんとなく想像できたけど、やっぱり悲しかったな〜。
幻冬社 上巻:1800円、 下巻:1900円
霧の霊峰で少女・久坂優希と二人の少年が起こした聖なる事件。その秘密を
抱えたまま別れた三人が、17年後再会した。そして過去を探ろうとする弟の動きと
殺人事件の捜査によって優希の平穏な日々は終わりを告げた-。
優希は看護婦、
二人の少年は弁護士と刑事になっていたが、再び悲劇が優希を襲う。
連続殺人、
放火、母の死…。17年前の聖なる事件、その霧に包まれた霊峰に潜んでいた真実とは何か。
再会は地獄への扉だった
私評:「あなたが生きていてくれるだけで良い」。 人はそんな言葉に生かされているのかな?
でも、誰かが自分に対してそんな気持ちを持ってくれている事って、この物語の3人、特に
優希には、何よりも必要な言葉だったのかもしれませんね。 「自分なんて・・」と思う
気持ちとは、裏腹に「生きていても良いよ」という言葉で救われている彼らが、いったい
何を掴むのか? ミステリーとしても面白いけど、やっぱり人間ドラマ。 見終わったあと、
何か納得できない苛立ちとと、納得せざるを得ない悲しみで胸が痛くなった。
かなり、ブルーになれます。ページ数がかなりありますが、一気に読めました。
(紹介者:さとみさん)
中央公論社 2400円
毛沢東時代の1959年から61年、中国で公式には「三年連続の大災害」といわれる
事態が起きた。全国各地で飢饉が発生し、そのため多数の死者が出た。それが確認され
たのは、文化大革命の終了後、1982年に人口調査が行われてからである。その結果、
建国以降、毎年右肩上がりで増加していた総人口が1959年の6億7千万人から
61年には6億5千万人へ減少したことが明らかになった。 本書では目を覆いたく
なるような惨事をストレートにルポし、責任の所在を問いかける。
私評:中国の暗部をまたも垣間見た。 本来であれば穀倉として知られる河南省の信陽
地区で起きた大量餓死事件は、(この本が事実であれば)本当に許す事のできぬ惨劇です。
これは中国に広く浸透した農民蔑視が根底にある。暴行・脅迫、そして餓死。
ついには人肉食にまで至ったこの惨状は想像を絶します。
しかし、事実から目を背けてばかりでは事柄は前には進まない。 真実を見据えて、
事実を見定める事が私にできる精一杯の抵抗です。 (紹介者:SUMIREさん)
講談社ノベルズ 980円
美少女の猟奇連続殺人事件が起きていた。犯人は犯行後に、被害者の喉にハサミを
突きさしていたため「ハサミ男」と呼ばれていた。 この犯人が次のターゲットの少女に
執拗に付きまとっていた最中、彼を差置いて、彼とまったく同じ手口で彼女が殺される。
彼は自ら犯人探しを始める。警察の捜査と「ハサミ男」本人の独自の捜査が進む中、
意外な犯人が浮かび上がる・・・。
私評:意表を突く視点で楽しめるミステリーでした。犯人が犯人を探すと言うのが
まず面白いです。この「ハサミ男」がまた、変なヤツで活字から想像するだけでも
ちょっと見た目からして怪しい。自殺癖があり、色々な手段で自殺を試みるがことごとく
失敗に終わり、医師にあざけ笑われる。 その当たりのやり取りはコミカル。しかし、
その自殺の描写がすごくリアル。 この作者は実際に試したのではないでしょうか?
こういう事件にありがちな犯人の異常さはなく、むしろ淡々と物事を考え実行に移す
「ハサミ男」はある意味、こういうジャンルの新しいキャラクターだった。最後まで
一気に楽しめました。 (紹介者:さくらさん)
静山社 1900円
ハリー・ポッタ−とは一見、普通の少年。 イジワルな叔父夫婦と従兄弟に
虐げられた生活を送っていた。 しかし、11才の誕生日に彼の元に届いた一通の手紙。
それは魔法学校への入学案内だった。 実は彼の両親は強力な魔術師だったのだ。両親は、
世界最強の魔術師ヴォルデモート(Voldemort)との戦いで殺されたという。邪悪な
ヴォルデモートは、さらに幼いハリーをも手にかけようとしたが、なぜか魔力をすべて失い
姿さえも消えてしまった。その際、額に稲妻型の傷を負ったハリーは魔法界ではヒーロー
だった。学校では楽しい日々を送るが、あるとき、悪者の手に渡れば世界を混乱に陥れ
かねない「あるもの」が学校の中に隠される。ハリーと仲間たちは、それを悪に走った
魔術師たちから守らなければならなかった・・・。
私評:世界中でベストセラーとなったハリー・ポッターのシリーズがついに日本にも
やってきました。いわゆる、童話なんですがピーターパンを髣髴する夢と冒険が
たくさん詰まっています。 ただ、登場人物の名前が複雑でまた、多いんです。
覚えるのが大変。(というか、私は本に挟まっていたアンチョコを片手に読んでました)
ハリー・ポッターのシリーズは全部で7作あるらしいのですが、今回がその第1弾。 1900円x7冊・・・・。
ちょっと高いよね〜!! (紹介者:ハルさん)