実に4ヶ月ぶりの読書コーナーのアップです。 他にも読んではいるのですが印象的だった
ものを、ピックアップしてみました。
余生 | 北野武 | |
Yosei | ロッキング・オン 1500円(税別) | |
私評:皆様、おなじみの北野武が自分の半生について語り尽くします。彼のインタビューをそのまま活字にしたものです。芸人への道、浅草での下積み時代、結婚、浮気、愛人とフライデー事件、バイク事故、そして映画。 知られざる彼の心の叫びが淡々と語られる。やっぱり彼は普通の人とはちょっと違う。私の中では理解を超えた事柄が、数々語られています。しかし、一番興味深かったのはやはり映画についてのインタビュー。彼の独特な演出方法、こだわり。 なぜ、あんな暴力的な映画が多いのかは、彼の心の中の恐怖の裏返しのように感じた。 毎回,彼が演じる死神のような男(いい加減ワンパターンになりつつあるが・・)は、彼自身が一番恐れているキャラなんでしょう。そしてあの(私から見ると)独特な映画の構図も、彼なりのこだわりがあるんですね。 この本を読んだあとにもう一度「Brother」を見たのですが、なるほどと思う映像が、あちこちに登場した。彼のファンは読んでみる価値ありですよ。 |
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ホスピスでむかえる死 | 大沢周子 | |
Hospis De Mukaeru Shi | 文藝春秋 1476円(税別) | |
私評:ホスピス。その物の名前は知っていても、なかなか知り得ない世界ですね。この本は実際にホスピスで余生を過ごし、安らぎの中で「死」を迎えていった七人の患者のルポです。 ある意味、医療とは対極の場所にあるこのホスピスですが、この本を読んで色々と考えさせられた。誰にでも「死」は訪れる。自分が病気で余命幾許もないと知ったら?? この本に登場する七人は、それぞれ「生」を全うし納得のうちに「死」を迎えていた。辛い治療をして、1日でも長く生きる事を選ぶか、それとも静かに「死」を待つか? これは究極の選択だ。 私は前々から思っていたが、この本を読んで殊更、後者を選びたいと思った。 また、ホスピスについての間違った知識を持っていないだろうか? やたらと高額なのか? どうしたらホスピスに入れるのか?この本はそんなガイドブック的な役割も果たしています。 ホスピスについて、そしてこの本についても色々な意見があるだろうし、この本を読んだからといって他人にホスピスを勧めるような事はしません。 でも,この本に書かれた7人の「死に方」については,ある意味羨ましく思います。 |
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モーリー先生との火曜日 | ミッチ・アルボム | |
Tusedays with Morrie | 栄光出版社 1300円(税別) | |
ミッチは大学時代、社会学のモリー・シュワルツ教授の教えを受けた。モリーは当時から「愛の必要性」を説いていたが、その頃のミッチには分かる由もなかった。卒業後、紆余曲折はあったものの、スポーツライターとして成功を納め、富も名誉も手に入れたミッチだったが、今の生活には何かが欠如していた。ある日、彼は偶然TVで大学時代の恩師モリーを見つけた。彼はALS(筋萎縮性側索硬化症、通称ルー・ゲーリック病)という難病に
冒されて、余命いくばくもない状態だったのである。居ても立ってもいられなくなったミッチは恩師を訪ねた。そこでモリーはミッチの抱える悩みを見抜き、二人は交流を始める・・・。 |
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夜の記憶 | トマス・H・クック | |
Instruments of Night | 文春文庫 619円(税別) | |
少年時代に両親を亡くしたあと、姉が目の前で惨殺されるという悲惨な過去を持つ売れっ子作家ポール。彼の小説は少年時代の彼の経験がそのまま恐怖描写となり、作家としては成功していた。しかし彼は、その自分の過去のトラウマを蘇らせるような依頼を受ける。ある女性から50年前に起きた少女の殺人事件の謎解きを依頼されたのだ。1歩ずつ事件の核心に迫るポールだったが、ついには封印したはずの、過去の記憶を蘇らせる羽目に・・・。 |
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シドニー | 村上春樹 | |
Sydney | 文藝春秋 1619円(税別) | |
私評:村上春樹のシドニー・オリンピックのルポです。しかし、私たちがTVで釘漬けになるような競技には目もくれず独自の観点でオリンピックとその周辺の色々な由無し事をずらずらと書いています。 タイトルが「シドニー」なのは、シドニーの観光&レストラン案内に重点が置かれているせいか?? オープニングの「1996年7月28日 アトランタ」は、村上春樹らしい素晴らしい文章だった。 これはアトランタの有森裕子のマラソンの事について書いた、彼のオリジナル。 もちろん、有森とのインタビューに基づき作り上げたものです。 近々、オーストラリアに行く予定がある方には、穴場のガイドブックとしてお薦めします(笑) |
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そして粛清の扉を | 黒武洋 | |
Soshite Shukusei No Tobira wo | 新潮社 1500円(税別) | |
卒業式を明日に控えた高校。女教師の近藤亜矢子は受け持ちの3年D組の生徒を教室に監禁し、人質の生徒の処刑を開始した。暴走族、売春、恐喝、麻薬・・、社会のモラルなどなんとも思わぬ、腐り切った生徒たちへの教育、そして暴走族によって殺された大事な一人娘の復讐でもあった。 警察との攻防、身代金の要求、TVの生中継。 いったい彼女の計画とは?そしてついには意外なクライマックスへとなだれ込む・・・。 私評:すごい小説だった。暴力描写はかなりきわどい。あの「バトルロワイアル」と良く比較されているくらいですからね。 この小説も映画化されたらR15は堅いでしょう。 どうしようもなく腐り切った学校は生徒だけではなく、教師も、そして生徒の親たちもクズのような人間ばかり。 先日見た「処刑人」と言う映画に良く似た展開で、法の手の届かぬワルたちを天に代わって裁くというストーリーはある意味、気持ちが良い。でも、やっぱりこう言う事をしちゃいけません!クライマックスで明かされる意外な計画、そしてどんでん返しの連続は読んでいて飽きさせません。けっこう大きな文字の270ページは一気に読めるボリウムでしょう! ただし、かなりスプラッターな内容で、ある意味モラルを欠いた作品でもあります。嫌悪感を抱く人もきっといるはず。 スプラッター好きな私は楽しんでしまいました。 |
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